日仏会館の催事で昨年、中止になったもの。

 1年たったかあ。

 

 コンサート、たぶん3年ぶり?

 都内にでかけるのも久しぶりで、すっごい気疲れしました。

 当分、コンサートはいいです。仕事で疲れているし。

 でも私の中の世界が少しだけ広がった気がして行った甲斐はありました。

 

 

 演奏会では、プルーストと友人だったレ―ナルド・アノー、それから「失われた」に登場する作品などが演奏されました。

 プルーストの描きたかった雰囲気を実感。

 

 私にとって最も興味深かったのが、プルースト本人が好んだ音楽です。

 一つがこれ。

 

 

 

 高橋さんの落ち着いた声と抑揚をおさえた唱い方、歌詞にあっている気がします。

 歌詞にpour elleとあるので歌手は男が適切なのかもしれませんが、雰囲気はソプラノの方がいいと思います。

 

 アメリングさんは可憐な声でrの発音も「ガララララ」にならなくて、それがフランス語的にいいのか私はわからないのですが、ニュアンス豊かで優雅です。

 

 

 これを聴いたプルーストは感激してフォーレに手紙を送り、以後、2人のあいだで交流が始まったのだそうです。

 プルーストにとってフォーレのイメージを決定づけた曲ですね、きっと。

 なんだか安定しない感じがプルーストの好みなのでしょうか。 

 

 

 もう一曲。

 演奏会では、ピアニストさんが(たぶん)インテンポで(たぶん その2)あまり強弱をつけずに演奏なさったので、ちょっと驚いたのですが、過去の演奏を聴いて、なるほどと。

 とはいえ不思議な曲です。

 私はこちらが気に入りました。

 

 プルーストは知人にこの曲を聴いた方がいいと勧めたそうで、プルーストが気に入ったのか、本人はそうでもなくその知人の好みだと思って勧めたのか不明です。

 でもどちらでもいいです。

 

 

 

 私は知らないのですがコルトーの弟子の方だそうです。

 タリアフェロさんのデビュー時は、まだこの曲は「今の音楽」だったはず。

 当時の演奏はこのような感じだったのでしょうか。 

 メロディー・ラインをこのように溜めたり強弱をつけると楽しげで素朴。

 インテンポでフラットかつ速いと、わかりやすいメロディーの右手とリズムが際立つ左手が全く別々に聞こえて、完全に現代音楽でした。

 それはそれでかっこよかったですが。

 

 

   

   4:00からです。

 Youtubeで見つけましたが私の存じ上げない方です。

 クラシックファンの間では有名な方でしょうか。

 バルビゼさん、とにかく楽しそう。

 跳ね回る高音部が聴いていて笑顔に。

 

 

 

 この方も存じ上げません。すごくかっちりしている。

 私の聴いた演奏はこのくらいの速度でしたが音色がぜんぜん違う。

 これまた良いです。てか、こんな感じが私は好み。

 

 

 あとこの曲、後にシャブリエ本人がオーケストラ版を作っていて、これもYoutubeで聴けます。

 アンセルメ指揮のものもありますが、この曲の田舎臭さがないので、こちらを。

 もちろんアンセルメも素晴らしい演奏ですけど。

 

 

 

 パレ―さんは幻想交響曲しか聴いたことがなくて、フランク族的な荒々しい演奏する人という印象なのですが、素朴なメロディーと飛び跳ねるリズムのこの曲にピッタリあっている気が。

 

 てか、正直に申し上げると、私はピアノ版でピンとこなくて、こちらを聴いて、ああ、こういう感じかあ、確かに「牧歌」だわあと思ってからピアノ版に戻りました。

 

 交響曲しか聴いてないから、こういうことになるんですね。

 

 まま、皆様、それぞれでお楽しみを。

 これは私的視聴用ページなので(いちいちYoutubeで検索しなくてすむ)。

 

 そういえば「ヴァントゥイユのソナタの元ネタ」問題に触れていましたが・・・・

 これは秘密で(←ケチ)。

 

 

 

 

 ついでに2階にあがって美術のほうも。

 これも面白かった。

 この絵。

 描かれた人物の着ているものがアルベルチーヌが羽織っていたコートに似ていると「私」が悲しくなるシーンで出てくる絵。

 

 

 左下のあたり。拡大します。

 こういうローブみたいなコートだったんですね。

 しかし、一枚の絵をどんだけ長時間眺めていたのかと。

 

 何しろ急に立ち止まって花をじーっと眺めだすような人だったようですから。

 (それを離れたところでじっと待っていたプルーストの友人も素晴らしい)

 

 

 

 

日仏会館「フランス音楽の夕べ プルーストと音楽」  2022年3月21日