子ども2。熱が下がったものの、まだ登校制限。
週末は時間があったのでレンタルして映画を観たのですが、子ども2も私の隣で食い入るように観ていました。
何か感じるところがあったのかな。
さて、コーエン兄弟の脚本、そして「生まれ変わったらこの人になりたい、実はNO1」のジョージ・クルーニーが監督。
私の「生まれ変わったら」シリーズは、思春期までクリント・イーストウッド。
とはいえ、もう80歳を超えてしまって、ちょっと・・なので、この数年はヴィゴ・モーテンセンhttps://ameblo.jp/lecture12/entry-12546404326.html, https://ameblo.jp/lecture12/entry-12552761038.html。
でも、本当はジョージ・クルーニーです。
だけど、それって図々しいじゃないですか(てか、妄想だから、誰にも遠慮する必要ないですね。でもなあ・・・・)。
うちの家内は、画面にジョージ・クルーニーが出ると「きゃー」と奇声をあげる始末です。
さて、この映画。
冒頭、ニューヨーク、オハイオ、ミシシッピーといろいろなところから集まっている住みやすい街です!と、架空の町サバ―ビコンのCM(?)から始まります。
つまり、「アメリカ全土から集まっている町=これから登場する町はアメリカの縮図ですからね」という意味ですよね。
NYは「青い州」ですけど、オハイオは調べると「青と赤が交代する州」、そしてミシシッピーは南部ですからね「真っ赤な州」です(念のためですけど、もちろん共産主義でなく逆。共和党支持で一貫した州)。
うーん、よく選ばれています。さすがコーエン兄弟。
さて、一見、美しく、幸せそうで、秩序と善意に満ちたアメリカの郊外。
しかし、一皮むくと・・・・というのは、実はやりつくされた感のある物語です。
近いところで名作「ブルー・ベルベット」、古ければちょっと意味が違うけど「ステップフォードの妻たち」など。
そういうソープ・オペラ的世界をパロディーにしたのが「ツイン・ピークス」でした。
一皮むくと、もう誰が誰とくっついているか分からんみたいな。
私的にはそういう世界はご縁がないし、関心もないので(誰と誰がくっついて、誰と誰が・・・みたいな。おモテになる方は羨ましいですな)、どうでもいいのですが。
さて、この映画。
ストーリー自体は書きません。
たださっき書いたけど「アメリカの縮図」なので、殺人、虐待、不倫、倒錯、暴力、人種差別(主人公さえも、名前からその種の嫌な思いをさせられる。あとテレビでも、このことがずーっと流れています)、暴動、偽善(一人になりたいであろう主人公を呼びつけて、クリシェな慰めの言葉をおずおずと一方的にかけて「君と話せてよかった」とか言っちゃう社長とか。主人公、無表情のまま確か一言くらいしか言葉を発しません)なんでもありです。
てか、内容、ちょっと書いてしまっていますね、すいません。
そして、こういう問題が「<古き良き>1950年代から、もうあったじゃんねえ(←最近、口調がどうしても田畑さんに・・・)」ということですね。
よく町山さんが指摘されていますが、何しろ1950年代といえば、ウィスコンシン州の片田舎でエド・ゲインなる人物が一人で墓を荒らして例の事件を起こしていた訳ですし。
あと1950年直前ですが、かのブラック・ダリア事件も起きている。
アメリカの歴史に連綿と流れるダークサイド(これがテーマなのが「ヒストリー・オブ・ヴァイオレンス」でした)。
それにしても出てくる人物が、ある一家以外(その一家はあまり描写のない<空>です)、全員隈なくロクでもない。
いかにもコーエン兄弟らしい。
一人だけ、最初は「なんじゃ、この馴れ馴れしいイタリア訛りの親父は。もしかしてその筋の人?」という人物がいますが、実は彼こそ唯一頼りになる人だったりします。
これもコーエン節。
しかし観ていて、あれ?ジェソン・ボーン、どうした?そんなの一撃で倒せよ!てか、お前には倫理観というものはないのかよ!
二代目クラリス捜査官も、そんな抑揚のない何も考えてないの丸出しなしゃべり方してないで、しっかりと胡散臭いポー・ダメロンを逮捕しろよ!
・・・とイライラします・・・って、別の映画とごっちゃですね。すいません。
つまり、出演者が豪華なんです。
まあ、コーエン兄弟らしい、笑っていいのか、やりすぎで笑えないこともある、どうしていいのか困ってしまう、でも面白い映画でした。
ナイツのネタでマックの「スマイル0円」のことで「半分笑う」というのがありますが、あんな感じ?(どんな感じだ)
でも、ラスト・シーンが素晴らしい。
次世代への期待。
しかし、そう甘くはないよ、と。
なぜなら二人の間には、まだ「何か」があります。
ご覧くださいませ。
100分程度でさらっと観れる、でもある程度は覚悟しておいた方がいい毒のある面白い映画です。
そういえば、ラストシーン近く、ジェイソン・ボーン・・・・じゃなくてマット・デイモン扮する親父が、ニッキ―に話す内容は怖かったです。
そこで、ニッキ―が親父を凝視したまま瞬きもせずに、すっと流す涙。
今、思い出しても胸が締め付けられる。
可哀想でした・・・。
あと最後に、またも邦題問題です。
「仮面をかぶった」って、副題がもろにネタバレじゃないですか。
いいんですかね。
それと原題Suburbiconは、たぶん、Suburb「郊外」+icon「宗教的出来事を描いた絵」の造語ですよね。
白人が黒人から逃れて「郊外Suburb」を形成して一斉に移り住んだ1950年代。
その架空の「ある郊外」をいわば神話的、「象徴的な意味」で描いたという意味も含めているタイトルではないかと愚考します。
だから筋がいびつというか、まとまりがない。
私は途中から「ああ、大体、わかりましたよ・・・」(by 星崎剣三)と思って、「観方スイッチ」を切り替えました。
そういう感じの邦題にできなかったのでしょうかね。
まま、私も英語がダメなので、いいんですけど。
ジョージ・クルーニー監督「サバ―ビコン」 2018年日本公開 原題 Suburbicon 2017年公開