先日、厚労省と財務省の長い駆け引きの末に、ついに来年度の改訂において、診療報酬のわずかながらの引き上げと、薬価、材料費の引き下げが決定された。
これはこれで医師としては喜ぶべきことなのかもしれないが、どうも釈然としない。
詳細に、どの分野にどのような診療報酬の割り当てがされているのかが不明なので、
いまだコメントはしないほうがいいのかもしれないが、ひとつ言えることは、
手術点数を引き上げることで、確実に集約化が遅れるということだ。
日本の医療、特に高度な技術を必要とする心臓外科や脳外科を始めとする手術医療では、
相当数の症例をこなして初めて、技術を習得、向上、維持ができる。しかし、現在の日本の医療施設では、規模が小さい医療施設が多く乱立することで、その技術レベルを落としている。
一年間で、心臓手術を50もやらない施設では、そもそも、いろいろな道具が無駄になるばかりか、安全性も保証されない。そのような施設で手術をうけるのはまさに自殺行為でもある。
しかし、手術の保険点数(診療報酬)を上げることで、そうした非効率、安全でない施設も採算があってしまい、少数でも手術を行うことの経済合理性が成り立ってしまう。それにより、さらに少数乱立を招き、集約化から逆方向へと向かうことになる。
こと、医療施設の集約化には、診療報酬の引き上げは逆効果であることは間違いない。
そして、集約化が遅れれば、それだけ、非効率的な施設で、過重労働を強いられる勤務医が減らないことが厚労省はわからないのだろうか。
そもそも診療報酬を上げられるほど、財政に余裕がある国とはとても思えないが。