『踏切の幽霊』     原作/高野和明

【あらすじ】1994年、師走。元新聞記者で今は女性誌取材記者の松田法夫(54歳)は、

編集長からとある取材と記事作成を命じられる。それは下北沢3号踏切で撮影された

8mmフィルムとコンパクトカメラで撮影された髪の長い女の幽霊に関してだった。

当初は心霊現象に懐疑的だった松田だが、取材を重ねる中に心霊写真が合成では作り得ないもの

であること、1年前に踏切で殺人事件が起こり犠牲者が髪の長い若い女であったこと、

取材を始めた頃から時折午前1時3分(犯行時刻)に電話が鳴り若い女の苦悶の呻き声が聴こえ

事切れたように切れること、等の霊の存在を信じざるを得ない状況になっていく。

既に犯人は(若い暴力団員の男)通報直後に逮捕され起訴されていたが、被害者がキャバクラの

ホステスのであったこと以外 本名も身元も未だ一切判らないという謎に松田は対峙する・・・。

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是非とも映画化して欲しい作品です。『残穢』を読んだ時と同じ感覚です。

これは大変上質なホラー映画になる!(・・・ハズ!)

(『残穢』の映画感想はこちら↓)

 
ホラー小説なのにサスペンスa~ndクリミナル、尚且つ哀しい人間ドラマも描かれ
ハラハラドキドキワクワクゾクゾクしつつホロリともしてサクサク読めました。
ゴースト出現シーンは恐いけれど、アメリカ映画的なテーマパークのお化け屋敷風味
ではなくS子やK子みたく這いずり回ったりもしません。
どちらかと言えば、日本が誇る怨霊クイーン お岩様に近い。これぞ真のJホラー。
いきなり大音響と共に飛び出るのはお化けでなくても驚くっつの!
ホラーは背筋をゾッとさせてナンボです。
 
殺人事件の裏が少しずつ明らかになっていく展開は殆ど推理小説なのですが、
要所要所は心霊現象によって詳らかになって行く構成です。
ネタバレに直結しない点で書きますと、何が良いって霊能者のキャラ設定が秀逸。
見た目、平凡な温和な佇まいの中年女性。ハッキリ言って普通のおばちゃんです。
が!この人が半端なくホンモノ。心霊写真視ただけで若い女性がどんな亡くなり方だったか
ピッタリと当てます。もっと素晴らしい事に、おばちゃん、めっちゃ優しい人♪
相談者に対して「地獄へ堕ちるわよ」なんて絶対に言いません(わははは!)。
主人公の松田は、実は2年前に愛妻が病死して立ち直ってない。その事は一切おばちゃんに
話していないのに「奥様は幸せな人生だった。今も貴方の傍に素敵な笑顔のままでいる」と
彼を救う言葉を言ってあげるのです。松田の涙にもらい泣きしてしまいました。
 
この心優しい霊能者の力で、幽霊の身元の手掛かりを得て一気にクライマックスへ。
ラストまで息を詰めて読み進めました。恐くて哀しいゴースト・ストーリー、お薦めです♪
そして映画化するなら、霊能者は宮崎美子さんでお願い♪(-人-)どなたにお願い?