サイコガンダムシナリオ 外伝
「ニュータイプ」
第一話:ifからの始まり
1年戦争終了間際、ギレン・ザビ率いるジオン軍は、ア・バオアクーでの
戦いに勝利を収め地球連邦軍を壊滅状態にまで追いやることに成功した。
オデッサを落とし、地球圏のほぼ全域を掌握したジオン群は、
アースノイドの人権を認めず、多くの抵抗する人々を抹殺し、
残った人々を奴隷のように扱った。
これが、ギレン・ザビが求めた「優良人種による人類の支配」の実体であった。
闇市では、堂々と女子供が売られ、ジオンが設立した労働基準局では
奴隷働者の斡旋をおこなっていた。
この事態(処置)に反対をした名だたるジオンの名将達は、家族共々
悲惨な死を遂げたと噂されている。
ジオン内部にもギレン・ザビのやり方に疑問を持ち、
離反する人間も多々存在していた。
しかし、地球に移住したその多くのジオン国民は元々、地球連邦政府
(アースノイド)の悪政に業を煮やし立ち上がった人々が多く、
奴隷制度に疑問を抱く声は次第に薄れていった。
当然、ジオン軍と言えども、強大な連邦軍に勝利することは並大抵な
ことではなく、元地球連邦軍の高官達の中にも裏切り者は存在し、
今ではその地位を確保するため同胞狩りをする、迷彩柄に塗られた
ジム部隊まで存在すると噂されている。
指揮官を失った連邦軍に再度決起する力はなく、抵抗勢力は次第に
陰を潜めていった。
そんな中、地下組織で活動するセイラ・マスは一つの結論に達していた。
数年前に閉鎖されている連邦軍オークランド研究所の奪取であった。
オークランド研究所は、「地下に小規模なMS工場」を持つ
研究施設である。しかし、連邦軍部の人間でもそのことを知る
人材は少なく、今では研究施設としての役目を終え廃墟として
扱われている。
だが、ここに研究途中で放棄されたMSが存在しているとの情報があるのだ。
この情報を得るまでに多くの同胞を失ったセイラの目には決意が伺えた。
セイラ・マス:今のままではいずれ見つかってしまう。アムロも拘束され、
最後に私を逃がしてくれた兄さんも行方不明の今、ザビ家の
圧政を見逃して置くわけには行かない、父の成し遂げたかった
統一国家のあり方はこんな世界ではないはず。
もしもそこに力があるのなら、
この小さな銃よりも大きな力が手にはいるなら・・・
そうつぶやくと、銃を片手に数名(5名)を伴い、
暗闇に身を沈めていくのであった。
第二話:その闇へ つづく・・・