オーストラリア戦線参加前・・・ | リースとミスラそして@息子+@次男の奮闘記

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家族のこと、バイクや車、オーディオ、ゲームネタなんかも書いてます。そんな感じのブログですので、ゆるりとお付き合いください。

旅立ち

暗い部屋の中にそれはいた・・・
白く浮かび上がり輪郭すらままならないその者は、私にこう語りかけた。

「生き残りたい。そして倒したい・・・」

次の瞬間それは目の前から消え、暗い部屋には静寂が戻った。

「な・・・なんだったんだ」

リース・バヤはそうつぶやく、それは彼がジオン士官学校にいたときの記憶であった。







それから1年が過ぎ、後に【1年戦争】と呼ばれる最後の戦い、
アバオアクーでの出来事であった。
学徒兵として士官学校から徴兵されたリースは
目の前にあるMSに、まさに搭乗しようとしていた。




先ほどまで、学徒兵は倉庫のような場所に
数十人単位で押し込められ、出撃の時を待たされていた。
数刻して聞こえてきた放送は、作戦を指示するものであった。
コンテナの中は蒸し暑く、皆すでに放送の内容など
どうでもいいまでになっていた。

最後に覚えているのは、
「この戦いは負け戦ではなく巧妙な作戦である」という一部分だけである。
放送の主は、ここから出て学生である自分に戦えと言っている。



昨日まで士官学校で聞かされていた話と
大きくずれているとリースは思った。
放送を信じるならば、確かに作戦なのかもしれないが、
なぜ優勢なはずのジオン軍は、最終拠点での戦闘を
「作戦」と呼ぶのであろう・・・
すでに排水の陣なのではないかとが飛び始めていた。




そう、昨日まで教えられてきた、学んできたことを鵜呑みにするならば、
ジオンが負けるはずが無いのだ。





士官学校で放送される番組はすべてジオン優勢の知らせばかりが流れ、
そこで学ぶ学生はみな今回の動因の意味も理解できないでいた。
先だって動員された先輩たちはみな、補給部隊の人員不足のために
徴収されたと聞かされていた。







しかし、自分の目の前にはMSが見える。

先輩たちは?補給部隊は?何故MSが・・・



さらには、それに乗れというのだ。
確かにMS乗りを志望していた我々は「動かす」事は可能だろう、
だが実戦経験は皆無なのである。



ルバニスク大尉:「教えられたとおりにやればいい!
とにかく敵を1機でも多く打ち落とすんだ!
シュミレーターの成績順に搭乗MSを発表する!
いいか!1度しか言わん、聞き漏らすなよ!」

ミシャエル・ルン 成績38番 搭乗機体ザクⅠ
ギョクレ・サマー 成績37番 搭乗機体ザクⅡC
ロード・ジャマー 成績36番 搭乗機体ザクⅡC
  ・
  ・
  ・

リース・バヤ :(な・・・何なんだ!?これに乗って宇宙(そと)へ出ろって言うのか)

ルバニスク大尉:「次!リース・バヤ 成績8番 搭乗機体ゲルググ」
リース・バヤ :「は、はい!・・・


そして私はシートに滑り込み、シミュレーターどおりにコックピットハッチを閉めた。
ノーマルスーツのヘルメットが少しきつく感じられ、生唾が口の中に溢れかえる。


大型宇宙空母ドロスのハッチが開くと
そこは眩いばかりの光のが広がっていた。

リース・バヤ  :「み、みんな行くのか?ほんとにいくのか?」
ラクシイ・ジェイ:「しかたないだろ。行くしかない」


そう言うと昨日まで共に机を並べていた友人たちが次々と、出撃していく。


ドロス管制官:「おい!そこのゲルググ!お前の番だ!」
リース・バヤ :「は、はい。」




ゆっくりとハッチに近づき、スロットルを前に倒すと、
何も無い空間に機体が飛び出していく。

シミュレーターで何度か味わっていたが、生の感覚に戸惑いを隠せない。
とにかく戦況を見ようと、正面と横にあるモニター、
そしてあてになるはずも無いレーダーを懸命に見比べた。


どこに敵がいて、どこに味方がいるか、今のリースに判断が出来るはずもなく、
とにかく目の前に飛び込んでくる白い機体にビームライフルを撃ち込んだ。


リース・バヤ:「うわあぁぁぁぁぁぁあっちへ、あっちへ行け!」


次の瞬間、ものすごい衝撃が体を襲う、




あわててモニターを確認すると、友軍のザクⅡがぶつかって来たのだ。
一瞬銃口を向けるも、友軍を撃たずにすんだのは
自分が戦闘なれしていないのが幸いしたと言うしかない。


ベンゲル・カーツ:「す、すまない」
リース・バヤ   :「いや、撃たなくてよかった」

接触回線から聞こえてくるその声は、自分と変わらない年頃だと感じた。

(生き残ろう。とにかく生き残るんだ)

それしか考えることが出来なかった。






リース・バヤ:「つ、つかまった!?振り切れない」
小隊は通常3機で構成されている場合がほとんどである、
つまり今自分の後ろにいる連邦軍のジムは1小隊にあたる。



相手の攻撃をよけるために、すでに撃破された機体に隠れるように移動をする。



反撃?そんな余裕は今のリースには持ち合わせていない。

(誰か気がついてくれ!後ろの3機を落としてくれ!)そう願いながら
必死で逃げる。
追撃の手が揺るみ、大きな残骸の影に入ったとき、後ろで閃光が見えた。


僕の代わりに誰かがやられたのか・・・


そう思うと虚しさが沸き上がる、「逃げていても仕方が無い」
決死の覚悟でビームライフルを構え残骸から飛び出す。




リースは、無残にも破壊されたリックドムが漂い、
そのモノアイのが消えるのを確認した。




次にやられるのは自分だ!・・・
その時にどんな行動をしたらいいか考える余裕はなかった。
目の前にいるジムが勝利の余韻に浸っているうちに撃つしかない。


そう、最強と呼ばれた「ガンダム」に匹敵する機体に
自分が乗っているなど知りもしない、目の前のパイロットが自分より力量が
高いなんて関係ない。



「とにかく敵を倒すんだ。」



そのことしか頭には浮かんでこなかった。
ビームライフルをジムめがけて打ち込み、1機目を撃破し、
そのまま真っ直ぐに駆け抜けた。
幸いにも自分の乗っている機体は、連邦軍のジムの初速より
数段早いのがわかった。

追いかけてくる敵から距離をとり、ビームライフルをとにかく乱射する。




リース:「死ね!死ね!僕は生きるんだ!」




そうつぶやきながらエネルギーパックが切れるまで
ジムがいた空間にビームライフルを打ち込む。



しかし・・・閃光が見えない


リース・バヤ:「逃げたのか!?」

そう、思いモニターから目を離そうとしたその時、
コックピット内に警報が鳴り響く

(いる!)そう感じるには十分すぎるほどのいやな感覚を覚えた。


機体がオートで回避行動に入る、
今のリースには、それと同時にシールドを出すのが精一杯だった。



鈍いが一面に広がり、
シールドがジムのビームサーベルを受け止めた。



リース・バヤ「他に ぶ、武器は?武器は無いのか!

とにかくマニュアルひとつ渡されていない、
当然事前にこのMSの性能を知らされているわけでもない。
学徒兵は、どんな武器がついているかすら理解しないまま
戦場へ投入されている。




(これで生き残れるのかよ・・・)



とにかくビームライフルのエネルギーが尽きた今、
腰にある格闘兵器に頼るしかない。

必死だった、わけもわからず格闘兵器を抜き、相手をめがけて振り下ろした・・・


リース・バヤ:「何でもいい!あたってくれ!」
息苦しいパイロットスーツの中でそうつぶやいていた。


1対2の状況は【不利】以外の何者でもないことぐらいは、
学徒兵の自分であっても理解できる。


ジムは回避行動をとるも 間に合わず頭部が四散する。



これで、後1機!
リースは最後の1機をしとめるか、ここから逃げるかを迷い、
宇宙空間でやってはいけない行為を犯していた。





そう、MSの動きをめたのだ。





隊長機と思われるそのジムは先ほどのジムとは動きが違う・・・
ジムはバーニアを全開にし、ビームサーベルでゲルググのコックピットを貫こうとした。


恐怖で滅茶苦茶にレバーを引いたり押したりした。
こんな時にどうすべきかなんてわかるはずも無い、とにかくもがいた。

その時、ジムの背中のバックパックが爆発したのだ







バズーカ!





すぐにモニターを確認すると、白いザクが立ち去るところだった。

リース・バヤ:「ありがとうございます!」
ミノフスキー粒子が戦闘濃度まで散布されたこの空間で
そうそう聞こえるはずも無い・・・
しかし、自然にその言葉が口からでていた。


目の前のジムに止めを刺し、すぐさま友軍がいるはずの方向へゲルググを向けた。
ひどい状況だった・・・消耗戦もいいところだ。

そのフィールドに着いたときにはすでに帰るべき艦・・・
落ちるはずがないと信じていたドロスの姿も無く。



圧倒的な数の前に、次々に友軍が落とされている。



撤退信号を確認するも、
どこへ撤退すればいいのかもわからない状況だ。


リース・バヤ:「1機じゃやられる」とにかく友軍を探した。


先ほどの白いザクがあちこちの機体に触れながら進んでいるのが見えた。
多分、接触回線で連絡をとっているのであろう・・・



あの人についていこう)そうするしかなかった。



事実上ジオンは負けたのだ。
何人の友人が生き残れたのだろう・・・




共に逃げる目の前のザクをみながらそう思った。



今からどこへ・・・

ジオン共和国はどうなったんだ・・・



そして僕は・・・どうなるんだ




その数ヵ月後にメルボルンの地に降り立つリース・バヤ。
この時すでに次の戦いは始まっていたのだ。


そう、広大なオーストラリアの小さな戦力として。
次に出会うべき戦友のいるメルボルンに。





ブログ平成18年6月6日に続く・・・



『リース・バヤ始動編 終わり』



*上記文章はUCGOの世界設定が曖昧な為、私個人が勝手に歴史を前後させ、書きつづったものです。
*本小説に登場した人物名の方がUCGO内にいたとしても、ご本人様とは一切関係がございません。
*ブログを書く前のリースはどうしていたかを考えて書いてみました。