こちらについてその後、調べてみました。
この曲が出た当時、大人気だったチェッカーズと、超売れっ子だった作詞家の売野雅勇さんの作品です。
間違っているはずがない、信頼できるネイティブにもチェックしてもらっているはず。
で、結論から言うと、"the"が正解だそうです。
理由は次のとおり。
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英語では抽象的状態を言うとき、
the + 名詞 = 「その典型そのもの」「完全にそれ」
というニュアンスが出ることがある。
たとえば:
I'm the fool.
(私はまさにその愚か者だ)
I'm the victim here.
(ここでは私が完全に被害者だ)
この the は「既出」ではなく、
「状況から見てまさにそれと決まっている存在」
という強い断定。
Yes, I'm the slave.
これは単なる「奴隷の一人」ではなく、
「この叶わない恋という構図の中で、
まさに奴隷という役割を担っているのは俺だ」
というドラマ的ポジション宣言になる。
つまり
a slave → 奴隷の一例
the slave → この物語の中での唯一の奴隷役
という違い。
歌詞としては、the の方がドラマ性が強い。
■ 「Yes」があるから a では?
私の解釈:
苦しい状態を言語化した瞬間
→ 「そうだ、奴隷なんだ!」
→ 新出概念だから a
これは日本語的には自然。
しかし英語では、
「そうだ!」= 状況がはっきり腑に落ちた
→ その役割が確定した
→ the
と感じる可能性が高い。
Yes は「発見」よりも「確信」のニュアンスになっている。
■ 歌詞英語としての可能性
1980年代の日本ポップス英語では
ネイティブ感覚より「響き」や「強さ」が優先されることもある。
この場合、
the の方が ドラマチックでインパクトがある
ので、意図的に選ばれた可能性がある。
■ さらに深い話
抽象名詞+the は、
the loneliness of love
the pain of memory
のように、
「その恋特有の孤独」
「その記憶特有の痛み」
という限定ニュアンスを出す。
つまり
the slave of impossible love
と言えば、
「叶わぬ恋という構造の中で定義される奴隷」
になる。
歌詞としてはかなり文学的。
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なるほど、腑に落ちました。
しかし、冠詞・定冠詞ってやはり難しいですね・・