以前学習したEPSは現在発行されている(期中平均の)普通株式数に対して、(普通株式に係る)当期純利益を割り振っていた。

今回は潜在株式調整とある。まずは「潜在株式」の意義から。

・潜在株式:その保有者が普通株式を取得することができる権利もしくは普通株式への転換請求権またはこれらに準じる権利が付された証券または契約

硬い文章で定義されているが、要するに潜在株式とは発行されそうな感じの普通株式のことである。

通常、その他の条件を一定とした上で株式数のみが増加するのであれば、一株当たりの価値や、一株当り当期純利益は減少する。投資家の判断基準となる情報としてEPSが存在する以上、この数値の今後の変動も当然視野に入れて投資判断は行われる。そこで、相当程度の蓋然性をもった普通株式の発行(または処分)についての情報は開示のニーズがある。ディスクロージャー全般に言えることだが、ある情報を公開するのであれば、公開する理由=その情報のニーズが存在する。財務会計においてはやはり大元は投資判断材料である。これを念頭に考えれば、多くの会計処理やそこに至るプロセスは、ある程度の合理性をもって考えることができる。つまり「投資判断により有用な情報開示」をベースに考えれば、現状のディスクロージャーから極端に外れるような考えには至らない(そもそも自分は投資判断ができないのであんまり意味ないけど)。

さてもう一度潜在株式が何かといえば、発行(または処分)されそうな株式のことであり、何をもってこうした判断が下されるかと言えば、上の固い定義、つまり会社が与えている「普通株式を取得することができる権利」などを指す。これらは具体的に次のような形を取る。

・新株予約権(ワラント)
・一括法で処理されている転換社債型新株予約権付社債(転換証券)
・転換株式(転換証券)


まずワラントは分かりやすい。現在の株価を下回る行使価額をもった新株予約権を発行しているのであれば、いつ権利行使されてもおかしくない。ある投資家がEPSを元に株式の購入を検討する場合、こうしたワラントがない場合と大量にある場合ではやはり意思決定に影響を及ぼすと考えるのが普通である。

次に転換社債型新株予約権付社債と転換株式。
転換株式についてはよく分からないのでこれから勉強します。。
それから転換社債型新株予約権付社債について。これ自体は一応わかるものの、どういった理由で「一括法で処理されている」との条件が付されるのだろうか。あるいは転換社債型であろうがなかろうが、新株予約権付社債を発行しているのであれば、結局のところワラントを発行している状態と大差ないような気がするのだが。。。これについても勉強します。

色々課題はあるものの、こうした「普通株式の流通数を変化させ得る事象」を勘案してEPSを算出することを、『潜在株式調整後1株当り当期純利益』と言う。投資家の心理を考えれば、会計処理についてもある程度範囲を絞れる。つまり投資家は「潜在株式が顕在化した結果、購入した株式が希薄化して損失を出したら困る」と考えているのである。

逆に言えば希薄化効果を有しない場合の潜在株式調整後1株当り当期純利益の開示は不要なのである。

この意味をもう少し説明する。市場にある普通株式が100、潜在株式が50だとする。この時、利益が一定であれば潜在株式がすべて顕在化した場合には確実に希薄化効果を有する(EPSは3分の2になる)。言い換えれば、希薄化効果を有しない場合とは、潜在株式が顕在化した結果利益を増加させる効果があるということである。この増加する利益は、潜在株式が顕在化した結果、希薄化する比率以上のものでなければならない。上の数値例で言えば、2分の3以上、当期純利益を増加させる効果を持っている場合のみ開示は不要となる。

ただし、そもそも開示が不要であれば計算も不要であるので、問題上は希薄化効果があるものと決めてかかってもよさそうである。次のエントリで算定について説明する。