近年、大規模工場において1種類の製品を単一工程だけで大量生産するケースはあまりない。つまりこの「単一工程単純総合原価計算」をそのまま採用することは稀だが、ここから派生する論点を理解する為の基本原則として必要とされる知識である。

まず大前提として

完成品原価=月初仕掛品原価+当月製造費用-月末仕掛品原価

の基本式があり、あとはこの応用といえる。なお月初および月末の仕掛品がない場合は、当然に当月製造費用が完成品原価になる。

~月末仕掛品の計算要素~
総合原価計算において、原価はその発生形態の違いにより直接材料費(原料費)と加工費に分けて計算される。

加工費とは個別原価計算での分類における1.直接労務費、2.直接経費、3.製造間接費の集合体である。ひるがえせば直接材料費以外はすべて加工費に集計される。


~月末仕掛品原価の計算方法~
月初仕掛品が存在する場合、月初仕掛品が当月においてどのように加工されていくのかという仮定の違いから(実態はどうあれ)、次のような計算方法が用いられる。

1.平均法、2.先入先出し法、3.後入先出法、4.直接材料費法、5.予定原価法、6.無視法

このうち重要なのは1~3で、4~6については一定の要件を充たす場合に認められる例外的な方法である。1~3については知悉しているものとして、重要度は低いが4~6の論点を一応記しておく。

・直接材料費法
条件として、「加工費について期末仕掛品の完成品換算量を計測することが困難な場合」に認められる。当月の加工費総額はすべて完成品に負担させる。また、『期末仕掛品は直接材料費のみをもって計算することができる』とされる。

・予定原価法
これは月末仕掛品を実際原価ではなく予定原価(正常原価)によって計算する方法である。この方法によれば、月末仕掛品の実際原価は計算されないことになる。

月末仕掛品原価=単位当たり予定(正常)原価×月末仕掛品数量
完成品原価=月初+当月製造費用-月末仕掛品原価

・無評価法(無視法)
期末仕掛品の数量が毎期ほぼ等しい場合には、当月製造費用を以ってそのまま完成品総合原価とすることができる。この方法は、月末仕掛品の計算は行わず、月初仕掛品原価をそのまま月末仕掛品原価とする計算方法である。

月末仕掛品原価=月初仕掛品原価