前回は自己株式の取得と消却について説明した。今回は処分について。


まずは新株発行と自己株処分の比較。

・発行:株主が金銭を払込み、企業は株式を交付
・処分:株主が金銭を払込み、企業は株式を交付

外形上はまったく同質のものである。違いを挙げるならば株式の出所である。新たに刷ったものを渡すのか、会社の金庫から出してきたのかの違いである。いずれにせよ企業にすれば資金調達であって経済的実態はほぼ同一である。

ただし新株の発行が純粋に純資産のプラスになるのに対して、自己株の処分は純資産のマイナス(自己株式)をマイナスする。
自己株式の処分の場合は、まず最初に純資産のマイナスである自己株式を減少させ、処分差額についてはその他資本剰余金になる。

前回と同様の論点だが、自己株式の処分とは出資のようなものである以上、処分差益によって利益剰余金を増加させるのは大間違いである。なぜなら実態は「出資」であり資本取引である。簿価と処分価額を比して損益を出すことはできない。

例えば100で取得した自己株式を150で処分したとする。この150の内訳は、払い戻した100の資本が再び還ってきたものと、さらに追加で出資された50の資本と見ることができる。この50については資本金・資本準備金のいずれにも該当しないため、その他資本剰余金に振り分けられるのである(=配当原資とすることができる)。

あるいは処分差損を例に取ってみる。100で取得した自己株式を80で処分した。この場合20の損失を出してしまったわけだが、これは株主に対する払い戻しが確定したと考えられる。つまり消却の場合と同じケースである。よって処分差損の場合もその他資本剰余金の減少によって処理される。

以上が自己株式に関する理屈だが、「自己株式によって変動する純資産はすべてその他資本剰余金」と覚えることが出来そうである。