為替予約:日本の企業が将来の外貨と円の交換レートを現時点で前もって確約しておくこと。外貨建金銭債権債務等の円貨による決済額を事前に確定することで、為替相場の変動リスクをヘッジすることができる。

直物為替相場と先物為替相場

直物為替相場(スポットレート):通常の為替相場

先物為替相場(フォワードレート):為替予約の締結に用いられる為替相場


為替予約の会計処理に関して、以下の原則と容認を頭に入れておく必要がある。
原則:『独立処理』
・経過的特例『振当処理』

独立処理:ヘッジ対象である外貨建金銭債権債務とヘッジ手段である為替予約とを別個に処理し、損益認識時点が一致しない場合にヘッジ会計を適用する方法である。
(問題となるのは取引発生後に為替予約を付すケースの1パターンのみである)

振当処理:ヘッジ対象である外貨建金銭債権債務にヘッジ手段である為替予約を振り当て、両者を一体として処理する方法である。
(問題となるパターンは主に2つ、取引発生後に為替予約を付すケースと、満期保有目的の債権に為替予約を付すケースである。重要度は前者の方が高い)

※以降は振当処理の説明である。
・取引発生後に為替予約を付した場合の会計処理
外貨建金銭債権債務を予約日の先物為替相場で換算し、簿価との差額を直々差額と直先差額に分けて処理する。

・直々差額:取引日の直物為替相場と予約日の直物為替相場との差額
当期の損益『為替差損益』
※これは取引発生後に予約を付すケースを想定している。例えば掛売りをした日が取引日、そこから一定期間が経ってから為替予約を付すとして、予約を付した日が予約日である。為替レートは日々変動しているので、取引日と予約日のレートは当然異なるものである。この差額を直々差額として当期の損益に算入する。勘定科目は「為替差損益」である。

・直先差額:予約日の直物為替相場と予約日の先物為替相場との差額
ここから生じる損益は「予約日から決済日にかけて期間配分」する。予約日と決済日の間に決算日が存在する場合(問題上はほとんどこのパターンである)、損益は当期と翌期にそれぞれ配分される。

~当期分と翌期分の配分額の処理~

1.当期の配分額
原則:「為替差損益」
・容認:利息の調整

2.翌期以降の配分額
・「(長期)前払費用」or「(長期)前受収益」

~直々差額と直先差額の会計処理が異なる理由~
直々差額は既に経過した期間に係る為替相場の変動であり、これを当期の損益とすることはイメージしやすい。
しかし直先差額を単純に当期の損益に算入できないのは、直々差額が二通貨間の金利差から生じる性格を持つからである。
具体例として、現在10000円を所持しているとする。現在の直物為替相場は1ドル=100円とする。さらに現在の日本の金利が年8%、アメリカの金利が年20%と仮定する。
10000円を所持していれば1年後には10800円となる。しかしこれをドルで100ドル所持していたとすると、1年後には120ドルになる。
もし仮に為替相場が一切変動しないとすれば、10000円をドルとして100ドル預金し、120ドルを1ドル=100円で換金すると12000円となってしまうが、この場合は1年後の為替相場(FR)が1ドル=90円となるのである。
1ドル=90円であれば、120ドルは10800円であるし、逆も当然10800円は120ドルとなり均衡が保たれる。
つまり現在の10000円と100ドルの価値が等しく、それぞれの金利が8%と20%であるという前提から、FRは自ずと1ドル=90円に決定されるのである。