退職給付会計の骨子は「退職給付引当金=退職給付債務-年金資産」の式で表される。
今回は退職給付債務、つまり現時点で積立てておかなければならない金額は幾らなのか?についての計算方法を詳しくみていく。

~退職給付債務の算定手順~
?退職給付見込額の計算
?退職給付見込額(?)のうち当期末までの発生額の計算
?退職給付見込額のうち当期末までの発生額(?)を利率および残存勤務期間に基づいて割引計算


以下でそれぞれを詳述。
?退職給付見込額の計算
将来の退職時に支払われる年金の総額である。つまり退職給付見込額は退職一時金+年金資産により表される。退職一時金とはその名の通り退職時に一括して支払われる退職金を指し、退職年金とは退職後の一定期間に渡って支払われる退職金を指す。
そして重要なのは退職時の金額である。将来の退職であっても退職時の金額を求めるのであるから、一時金については割引計算を要しない。ただし退職年金については退職時までの割引計算を要する。さらに、従業員の退職は(現時点での)未来事象であるため、必ずしも予定されたタイミングで退職するとは限らない。このため、退職給付見込額の計算にあたっては退職率および死亡率を加味する必要がある。

?退職給付見込額(?)のうち当期末までの発生額の計算
退職給付見込額、つまり支払われる予定の退職金とは労働対価であって毎期、費用処理される性格を持つものである。ただし注意したいのは「退職給付見込額/勤務期間」ではないということである。
この時点で求めたい金額は、入社時~当期末までの労働に対して発生した退職金である。よって退職給付見込額のうち当期末までの発生額=退職給付見込額×入社時~当期末までの勤務期間/入社時~退職時の全勤務期間である。
前者と後者は同じようで少し異なる。例えば条件を3000の退職給付見込額、全勤務期間30年、入社~当期末までが20年に設定する。畢竟目的は当期に係る費用の算定ではあるが、当期の退職給付費用を3000/30では求めない。この時点での計算は3000×20/30に留まる。あくまで当期末までの累計負債を求めているのである。なぜなら?は次の?の「退職給付債務」の算定に至る過程であって、一会計期間の退職給付費用は「退職給付債務-年金資産」によって求めるからである。

?退職給付見込額のうち当期末までの発生額(?)を一定の割引率及び残存勤務期間に基づき割引ことによる退職給付債務の算定
これはそのまま与えられた金利をもって、退職時から当期末まで割引計算を行うだけである。