※前回のエントリが中途半端になっていたので書き直し。

日本における会計ルールーは戦後まもなく(昭和20年代前半)制定された証券取引法(1948)、その翌年に制定された企業会計原則(1949)がある。

企業会計原則は、日本の企業の教育・指導的役割を果たす当時の唯一の会計原則で、これは昭和57年を最後に数回改正が行われてきたが、現在では多くが死文化している。中でも平成9年(1997)に第二次橋本内閣の下で提唱された金融ビッグバンの影響はとりわけ大きく、ここで数々の新しい基準(連結会制、記入商品、CS、R&D、退職給付、税効果、減損、企業結合等)が導入され、企業会計原則の重要性は著しく低下した。

平成13年にはASBJ=企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan)が創設された。ASBJはコンバージェンス(国際財務報告基準(IFRS)との差異の縮小)作業を行っており、プロジェクトのスケジュールを適宜公表している。

(※昨日もまた新たに更新された 
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/overseas/pressrelease_20100412.pdf 

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/overseas/pressrelease_20100412.jsp)

そもそも日本においてコンバージェンスが必要となったきっかけは、2005年頃にEUが(EU域内の)上場企業に対してIFRS(国際財務報告基準)の適用を義務付けたことにある。EU加盟国ではない日米はこの規定が適用されるわけではないが、EUは併せてEU域外企業に対しても「IFRSまたは同等な基準」の適用も義務付けている。そして「同等な基準」たりうるか否かを評価(=同等性評価)を開始したのである。ここで日本の会計基準とIFRSとの差異を縮小する作業、すなわちコンバージェンスの必要性が生まれる。コンバージェンスの過程において、日本のある種ずさんな多くの会計基準が改正を余儀なくされ、現在では企業結合、棚卸資産(LIFOの廃止)、リース(賃貸借から売買契約へ)、投資不動産、工事契約、資産除去債務等についてのコンバージェンスが完了している。

これらの多くの会計基準について、その改正の基準となる言わばメタ基準こそが「財務会計の概念フレームワーク」である。数々の会計基準をピースごとに個別に制定していくやり方はピースミール方式
と呼ばれ、アメリカはこのような方式のようである。ピースミール・アプローチは問題が発生した都度、それに対処して個別に基準を制定していく方法である。医学や薬学で言えば臨床医学に相当する。

これに対して研究医学に相当するのが概念フレームワーク論(コンセプチャル・フレームワーク論)である。病気の患者を治療するピースミールアプローチに対して、病理の真理を解明するのが概念フレームワークとも言える。市場や取引が多様化する中、ピースミールアプローチのみで構築された会計理論は、全体として見るとそれぞれが矛盾をはらむことになる。これに対処する為、体系方式である概念フレームワークはメタとしての理論を構築し、そこに基づいて個別の会計基準を制定していく演繹的なやり方である。ただしこちらは会計基準の上位概念であり、法律における憲法のような位置づけであるため、個別の対処における柔軟性は損なわれる。現在の趨勢としては概念フレームワークを指示していく方針らしい。そしてこの討議資料の作成者が企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan)である(これについては別項でまた説明)。