1.一株一議決権の原則
各株主は総会に出席して、決議に加わる権利(株主の議決権=単独株主権、共益権)を有する。議決権の数は、原則として1株につき1個である。

2.一株一議決権の原則の例外

原則:議決権の数は、原則として1株につき1個である

例外
1.議決権制限株式
2.自己株式
3.相互保有の株式
4.基準日後に株式を取得した株主
5.単元未満株主
6.株主総会決議についえ特別の利害関係を有する株主
7.公開会社でない株式会社において、株主総会における議決権に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めた場合

以下、上の7つを詳しく見ていく
1.議決権制限株式
株式会社は種類株式を発行することができる。議決権制限株式を発行している場合、当該株式を有する株主は定款の規定により、株主総会において議決権を行使することができないことがある。

2.自己株式
会社は、その保有する自己株式については議決権を有しない。これを認めると会社支配の公正が害される危険があるからである。会社が自己株式を取得する場合は、1.株主との合意によって自己株式を取得する、2.取得請求権の行使があった為、取得請求権付株式を取得する場合、3.取得条項付株式の取得、4.全部取得条項付種類株式の取得、などが考えられる。
例えばある株主は会社に対して当然に議決権を有する。それを行使する際に意思決定を行うのは当然に当該株主である。対して自己株式を所有している会社に議決権を仮に認めた場合、意思決定を行うのは取締役(乃至は執行役)になるものと考えられる。しかし取締役や執行役が意思決定を行えば、会社運営の為ではなく保身の為に議決権が行使されるのは必然である。この為、自己株式には議決権が認められていない。

3.相互保有の株式
株式会社がその総株主の議決権の4分の1以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして、法務省例で定める株主は、その有する株式について議決権を有しない。
例えばA社がB社株式の25%を保有しているとする。この時B社がA社の株式を有していても議決権は行使できない。
これは「2.自己株式」でみたものに類似する理由であるが、A社はB社に対し強力な支配権を有しており、B社に議決権を認めた場合、その意思決定はA社に基づくものとなる。つまりB社により行使される議決権はA社の執行役や取締役の支配下にあるため、308条により相互保有の株式は制限されているのである。 
また、A社がB社の、B社がA社の株式を25%以上保有している場合では、お互いに議決権を行使することができなくなる。

4.基準日後に株式を取得した株主
株主総会で議決権を行使すべき株主を定めるために基準日を設けた場合において、その基準日後に株式を取得した者は、原則として当該株式について、当該株主総会において議決権の行使をすることができない(会社が例外的に基準日後に株式を取得した株主の議決権を認める場合もある)。

5.単元未満株式
単元未満株主は議決権を行使することができない。

6.株主総会決議について特別の利害関係を有する株主
株主総会決議について特別の利害関係を有する株主も、原則として議決権を行使することが可能である。しかし、以下の3つに掲げる株主は議決権を行使することができない。

a.譲渡等承認請求があった株式を会社が買い取る旨の株主総会特別決議における、譲渡等承認請求者(譲渡承認請求を行った者を株主と認めるか、或いは当該株式を会社が買い取ることとするか、これを決定する会議においては、請求者以外の既存株主のみによって決定される)

b.包括承継により譲渡制限株式を取得した者に対して、株式の売り渡し請求をする旨の株主総会特別決議における、売り渡し請求を受ける株主(譲渡制限規定を設けていても包括承継は当然に起こりうるものであり、会社が、包括承継があったことを知ってから1年以内であれば、株主総会特別決議を経ることにより、当該株式の売り渡し請求をすることができる。)

c.いわゆる相対取引により自己株式を取得する場合の株主総会特別における、相対取引の相手方となる株主


7.公開会社でない株式会社における特則
公開会社でない株式会社においては、105条1項各号に掲げられた権利(剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会における議決権)に関する事項について、株主ごとに異なる取扱を行う旨を定款で定めることができる。 
例えば、株主総会における議決権について、「株主Aは議決権を行使することができない」と定款に定めることも、非公開会社では可能である。

~108条の定款規定と109条の定款規定の違い~
108条は株式の内容を定めたものであり、109条は、株主ごとに異なる取扱を定めたものである。

まずは108条の具体例をあげる。
1.A種類株式を有する株主は、株主総会において議決権を行使することができない
2.B種類株式を有する株主は、A種類株式を有する株主に先立ち、××円を限度として優先的に配当を受けることができる

次に109条2項(属人的定め)の具体例。
1.株主Aは株主総会において議決権を行使することができない
2.株主Bは他の株主に先立ち、××円を限度として優先的に配当を受けることができる
※109条2項は非公開会社限定の定めである。