株式交付費:新株の発行または自己株式の処分にかかる費用


新株発行または自己株式を処分するということは通常以下のような取引である。

(借)現金預金 ××× (貸)資本金 ×××、資本準備金 ×××

(借)現金預金 ××× (貸)自己株式 ×××、その他資本剰余金 ×××
※自己株の処分差損が生じる場合は、「その他資本剰余金」は借方


どちらも資金調達である。このときにかかる費用とは、株式募集の広告費や金融機関/証券会社での取り扱い手数料を指す。株式募集や自己株処分により調達された資金は企業が半永久的に使うことができる。このことが、繰延資産の定義である『その効果が将来に渡って発現するものと期待』されると考えられるのである。

ただし資金調達を伴わずに発生する株式交付費も考えられる。株式分割や株式無償割当に係る費用がそれに該当する。「将来に渡って発現する効果」とは調達された資金を指すわけであるから、こうした資金調達を伴わない株式交付費は繰延資産として計上することはできない

先のエントリーでも触れたが、繰延資産の計上が認められるのは株式交付費を含めて社債発行非等、創立費、開業費、開発費の5項目に限定されるが、発行費関係の償却期間は3年、それ以外の後ろ三つが5年となっている。

また、株式交付費の償却は定額法のみが認められ、償却費のPL表示は営業外費用である。なお繰延資産の計上は企業と債権者の利害対立を孕む。早期の償却が求められるのはこうした理由からであるし、そもそも繰延資産の計上は容認されている処理であって、原則は発生時の費用処理である。

[設例]
1.当社の会計期間は4.1~3.31
2.H2年1.1に新株を発行し、その際に発行費用3,000を支払った
3.H3年10.1に自己株式を処分し、その際に処分費用7500を支払った
4.株式交付費を繰延資産として計上する場合には、会計基準の定める最長期間にわたり償却する

[解答]
まず資料4のボールド部分の記述だが、一般に会計の問題は年数を明示せずにこうした表記によるものが多い。つまり各繰延資産の償却期間は暗記する必要があるということである。

・原則処理

(借)株式交付費 3000 (貸)現金預金 3000

(借)株式交付費 7500 (貸)現金預金 7500


・容認処理
計上時

発行(借)株式交付費 3000 (貸)現金預金 3000

処分(借)株式交付費 7500 (貸)現金預金 7500

償却時(期末)
H2年3.31
発行に係る繰延資産
(借)株式交付費償却 250 (貸)株式交付費 250
※3000×3か月分(1.1~3.31)÷12ヶ月/償却期間3年

H4.3.31
処分に係る繰延資産
年間償却額2500×6/12ヶ月=1250

発行に係る繰延資産
年間償却額1000

計2250

(借)株式交付費償却 2250 (貸)株式交付費 2250

※複数の原因から生じる株式交付費の償却があるので、仕訳上は合計して表示