・繰延資産の意義:既に代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用を、その効果が及ぶ数期間に合理的に配分するため、経過的に貸借対照表上資産として計上された項目(実務対応報告 2・1)

まず最初に、繰延資産として計上できる項目は次の5つに限られる
1.株式交付費
2.社債発行費等(社債発行費+新株予約権発行費)
3.創立費
4.開業費
5.開発費

※ただし繰延資産の計上はあくまで容認処理にすぎず、原則は発生時の費用処理である。

上に挙げた5つのうち発行費関係の償却期間は3年、それ以外は5年である。会計処理としては、償却費を資産から直接控除する。また換金価値のない繰延資産は当然に残存価額ゼロとして計算する。

<解説等>
ある大きな支出を一会計期間の費用とするのは企業の負担となる。まず繰延資産の意義、つまり条件として支出の効果(支出しなかった場合と比べて例えば将来CFの増加する状態)が将来にわたって発現すると期待される場合としている。将来的に企業に正の効果をもたらすのであれば、理論的には費用収益を期間対応させるべきであり、当該支出を繰延資産として数年にわたって費用配分することが認められる。

しかし繰延資産には実体や換金価値がない。にも関わらずこれを資産計上することは、結果的に資産と負債の差額としての純資産を構成することになる。この意味で繰延資産を計上することは会社債権者を害しているとも言えるため、最長償却期間が定められている。もちろん最長償却期間の規定はあるものの、企業にとっては一時償却するメリットはないため、通常は最長償却期間にわたって費用処理されるものである。また各繰延資産の最長償却期間は理論的に設定されたものではないため単純に覚える必要がある。

上の「繰延資産の意義」で説明した通り、その計上の条件としてその効果が将来にわたって発現するものと期待されるものである必要がある。ひるがえせば「支出の効果が期待されなくなった繰延資産」はその未償却残高を一時に償却しなければならない(繰延資産の減損処理)
(例)
・社債を償還した場合の社債発行費
・採用した新技術の利用を中止した場合の開発費
・新規開拓した市場から撤退した場合の開発費