繰延税金資産の回収可能性


繰延資産は将来の法人税の支払額を減額する効果を有するものである。

したがって、繰延税金資産の計上に当たっては将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうか(繰延税金資産の回収可能性=)について十分検討しなければならない。

ここで、将来課税所得が生じないと見込まれる場合には、税金負担額を軽減することにはならないため、繰延税金資産の計上は認められない。

また、過年度に計上した繰延税金資産についても、毎期回収可能性を検討し、回収可能性が認められない繰延税金資産については取り崩さなければならない。


例として、繰延税金資産(あるいは欠損金)が400あるとする。しかし翌期以降にまるで課税所得が生じる見込みがないとすれば、当該繰延税金資産(または欠損金)は資産性を有するとはいえないため、これの計上は認められないというわけである。

[設例]
1.H21年度において税務上の欠損金が15000生じた。なお繰越期間は7年である。
2.H22年度に1000、その後は安定的に毎期1500の課税所得が生じる見込みである。
3.税効果会計に適用する実効税率は40%とする。

[解答]
・H21年度
欠損金、つまり課税所得との相殺額は15000だが欠損金の繰延期間は最長で7年間である。15000の欠損金が生じた翌期から7年以内に15000の課税所得が生じない見込みであるならば、15000までに届かないと見込まれる部分は資産計上できない。この計算が本問である。

欠損金が生じた年から翌期以降の課税所得の見込額は
1000+1500×6=10000である。つまり5000部分については資産計上が認められない。
次に繰越欠損金は一年基準が適用される為、翌期の課税所得見込額1000と、その他の9000を区分する。

(借)繰延税金資産 400、繰延税金資産 3600 (貸)法人税等調整額 4000

・H22年度
この時点での一時差異は
将来減算(流動):1500
将来減算(固定):7500
であり、あるべき繰延税金資産は
流動:600
固定:3000
である。前期末との差額を計上する。

(借)繰延税金資産 200、法人税等調整額 400 (貸)繰延税金資産 600