まず、新株予約権付社債の論点の復習から。
新株予約権付社債には、1.転換社債型新株予約権付社債と、2.その他の新株予約権付社債がある。権利行使に伴う払込方法について、前者(1)は、代用払込のみしか認められない。後者は代用払込と現金払込のどちらかになる。これは転換社債型の新株予約権付社債が、社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在し得ないためである。
現金払込とは、一般的な新株予約権の権利行使における払込方法である。権利行使価格を現金で以って払込み株式を取得する流れである。
対して代用払込とは、現金に代えて社債を用いることである。つまり社債の償還価額を以って新株予約権の行使価額の払い込みに代える処理である。会社法上は社債を現物出資するものと位置づけられている。
次に会計処理だが、転換社債型のものついては発行者側と取得者側により異なる。その他の新株予約権付社債(転換社債型ではないもの)については、発行者・取得者共に区分法によって処理される。転換社債型においては、取得者側は一括方、発行者側は一括法ないしは区分法による処理がなされる。本来、転換社債型は社債と新株予約権を分離して考えることができないが、発行者は社債部分と予約権部分の内訳を正確に把握できる為である。
一括法は、社債部分と新株予約権部分を一括して社債に準じて処理する方法である。一方の区分法は、社債は社債の、予約権は予約権の処理に準じる方法である。なおこの論点において取得者側の処理の重要度は相対的に低いものとされる。

設例:会計期間は4.1~3.31であり、社債の評価は償却原価法(定額法)による。

1.H21.4.1に新株予約権付社債を次の条件で発行した
・額面総額:500,000千円(額面10,000千円につき新株予約権1個が付与される)
・払込金額:500,000千円
・新株予約権1個の行使により発行される株式数:10,000株
・新株予約権の行使時の1株当たりの払込金額:1株当たり1000円
・利息:付さない
・償還期間:5年
同条件で普通社債を発行する場合、発行時の払込金額は480,000千円となる見込みである。新株を発行した場合には、新株に対する出資は全て資本金とする。また、当該新株予約権付社債は、転換社債型の新株予約権付社債ではない。
2.H22.3.31に上記新株予約権のうち20個が権利行使され、現金による払い込みを受け、新株を発行した。
3.H22.3.31、決算日につき決算整理仕訳を行う。
4.H23.3.31に上記新株予約権のうち30個が権利行使され、社債による現物出資を受け、新株を発行した。
5.H23.3.31、決算日につき決算整理仕訳を行う。

(単位:千円)
発行:(借)現金預金 500,000 (貸)社債 480,000、新株予約権 20,000
※問題文中の480,000と500,000の差額部分を新株予約権として扱う

行使:(借)現金 200,000、新株予約権 8000 (貸)資本金 208,000

決算:(借)社債利息 4000 (貸)社債 4000
※問題文中の480,000と500,000の差額部分を新株予約権として扱っているが、これが割引発行の差額として償却すべき部分でもある。差額20000÷償却期間5年

行使:(借)社債利息 2400 (貸)社債 2400
※2400=額面300,000部分に係る償却額。本来の償却額は20,000÷5年の4000であり、これの3/5の2400がこの部分の償却額

(借)社債292,800、新株予約権 12,000 (貸)資本金 152,400
※292,800=480,000×3/5+償却2回分(2400+2400)
または、298,000=前期までの社債484,000×3/5+償却2400

決算:(借)社債利息 1600 (貸)社債 1600
※(額面200,000-払込192,000)÷5年