金融商品会計基準では、金融資産の消滅、金融負債の消滅を認識するケースを定めている。今回は金融負債の消滅について。

・金融負債の消滅の認識要件

次のいずれか3つの消滅要件を満たした場合。

?義務履行:金融負債の契約上の義務を履行したとき(例えば借入金を返済した)
?義務消滅:金融負債の契約上の義務が消滅したとき(例えば借入金の一部を免除された)
?法的免責:第一次者の地位から免責されたとき(借入金の債務を他の者に引き受けてもらったとき)

ただし?の場合、第一次債務を引き受けてもらった者が倒産した場合、二次的に責任を負うといった条件があるときは、(一旦は財務構成要素アプローチに基づいて負債の消滅を認識するが)二次的な責任を新たに金融負債として認識する。



・デットアサンプション

さて、金融負債の消滅の論点で重要なもののひとつにデットアサンプションがある。デット(負債)アサンプション(引受)とは社債等の金銭債務をオフバランスするための手法

資金調達の手段として社債を発行していた企業の業績が振るって潤沢なキャッシュを用意できた場合、企業はこれを運用するよりも、発行していた社債を繰り上げ償還、買入償還したいと考える。しかし社債の買入償還は、その実務手続の煩雑さから容易なことではない。ここで企業は金融機関とデットアサンプション、負債引受契約を結び、社債をBSからオフバランすることができる(これは財務構成要素アプローチではなくリスク経済価値アプローチに基づいた会計処理)。

登場するのは三者。企業(社債発行会社)と社債権者と金融機関(銀行)。
企業は社債権者に対して毎年の利息と、満期日の元金を支払う法的契約を結んでいるが、余剰資金が生じ社債を繰り上げ償還したいと思っている。しかし繰り上げ償還や買入償還は困難なためその代替として銀行とある契約を結ぶ。内容は債務の履行の引受け契約である。この契約を結び、企業は銀行に金銭を預ける。この金銭は社債の残りの利息と元本である。銀行は毎年の利息を社債権者に支払い、また銀行は時期が来れば元本を社債権者に支払う。これは実質的に債務の弁済=社債を償還したのと同じ状態である。つまり企業は社債についてのリスクと経済価値を全て銀行に移転させたことになる。

ただし法的には相変わらず社債権者における債務者は企業であり、これが第一次債務者である。上で見た金融商品会計基準における負債消滅の要件である、法的免責(第一次債務者の地位から免責されること)は満たしていないため、このままでは社債をBSから消滅させることはできない。

しかしこの場合も商慣行を鑑みて、(経過的特例として)リスク経済価値アプローチによって処理する=社債の消滅を認識することができる。このあたりは以前見たローンパーティシペーションと同様の配慮である。