1.当社の会計期間は4.1~3.31である。
2.×1.4.1に次の建物を取得し使用を開始した。
・取得原価:10,000
・耐用年数:5年
・残存価額:ゼロ
・減価償却方法:定額法
・当社には当該建物を使用後に除去する法的義務がある
3.資産除去債務は資産の取得時にのみ発生する。建物の除去に必要な将来CFの見積額及び無リスク利子率は次のとおりである。

日付:将来CF見積額、無リスク利子率
×1.4.1:1200、3.0%
×2.3.31:1200、2.8%
×3.3.31:1500、2.5%
×4.3.31:1100、3.5%
×5.3.31:1100、3.2%

4.×6.3.31に耐用年数の到来に伴い建物が除却された。建物の残存価値はゼロであり、除却に要した支出は1100であった。

[解答]
・資産除去債務の発生時
(借)建物 11,035 (貸)現金預金 10,000、資産除去債務 1,035

・×1年度決算時
(借)利息費用 31 (貸)資産除去債務 31
1035×0.03
(借)減価償却費 2207 (貸)減価償却累計額 2207
11035/5

・×2年度決算時
(借)利息費用 32 (貸)資産除去債務 32
(1035+31)×0.03

(借)減価償却費 2207 (貸)減価償却累計額 2207

資産除去債務の見積りの変更(増加)
資料より×2年度末に見積額が1200から1500に増加している。割引前将来CFに重要な見積の変更が生じた場倍の当該見積の変更による調整額は資産除去債務の帳簿価額及び関連する有形固定資産の帳簿価額に加減して処理する。なお見積もりの変更に伴い割引前将来CFが増加している為、見積の変更による調整額は変更時点の割引率を適用する

(借)建物 279 (貸)資産除去債務 279
※279=増加額300÷変更時割引率1.025÷1.025÷1.025(3年分)

・×3年度決算時
まずこの時点(というか3年度期首)の資産除去債務の残高を再確認しておく。発生時1035+31+32+279=1377である。この資産除去債務は割引後の数字である。割引前に予測された除去に係る費用は、当初1200としてきたが、前期末に1500に修正した。そしてこの1500のうち当初の1200については3%の割引率であり、加算された300については2.5%の割引率である。これら3%と2.5%の加重平均を取る、つまり1200:300の比で3%:2.5%を分ける(わかりにくい)。(3×1200/1500)+(2.5×300/1500)=2.9%となる。
この辺りの理解や説明が非常に拙いのでなんとか補足説明してみる。
現時点(×4.3.31)での将来CF見積額は1100である。しかし「利息費用は当期1年間を通じて生じた」ものである。つまりここでのベースは期首段階での1500を使用する。
この1500を割引率の異なる1200と300に分割する。1200の割引率は一貫して3%だが、見積額が増加したその時点の割引率は2.5%、つまりこれが300部分に相当する割引率である。あとは1200と300の比で3%と2.5%を平均する。

(借)利息費用 40 (貸)資産除去債務 40
※期首資産除去債務1377×2.9%

・減価償却
当期の期首時点での建物の簿価は、11035-2207-2207+279の6900である。この6900を期首から起算して3年で償却する。これが『見積変更による調整額を関連する有形固定資産の減価償却にて費用化』することである。

(借)減価償却費 2300 (貸)減価償却累計額 2300

資産除去債務の見積りの変更(減少)
将来CFの見積りの変更に伴い減少の場合であっても見積もり変更による調整額は資産除去債務及び関連有形固定資産の帳簿価額に加減して処理する。
見積りの変更の結果、資産除去に際して支払うコストは1100と予想された。これは当期末から2年後の数字であるから、2年分の割引が必要となる。『割引前将来CFが減少する場合はその変更時の割引率を用いる』のが基準だが、『過去に見積の増加があり、減少部分に適用すべき割引率が特定できない場合』は、加重平均した割引率を適用する。つまり前述の2.9%である。
当期末に(2年後に)1100のコストが発生するのはこの時点での決定事項である。これに対して現在までに積み上げた資産除去債務の簿価は1417である。
まずは1100の現在価値を求める。1100÷1.029÷1.029=1039である。次に資産除去債務の超過額を求める。1417-1039=378である。この378の超過額、つまり資産除去債務の減少を次の仕訳で表す。

(借)資産除去債務 378 (貸)建物 378

借方で資産除去債務を減少させ、貸方は建物の減額をもってバランスする。

・×4年度決算時

(借)利息費用 30 (貸)資産除去債務 30
※1039×2.9%

(借)減価償却費 2111 (貸)減価償却累計額 2111
※6900-2300-378=4222/2年

資産除去債務の履行時(×5年度決算時)

(借)利息費用 31 (貸)資産除去債務 31
変更後見積額1100-期首資産除去債務1069(最終年度は引き算で帳尻を合わせる)

(借)減価償却費 2111 (貸)減価償却累計額 2111

(借)減価償却累計額 10,936、資産除去債務 1100 (貸)建物 10,936、現金預金 1100
※1100=資料4より履行差額は生じていない
※10936=各合計額