仕訳の際に、製造間接費と原価差異の貸借を間違えていたので覚書。

まずは問いと解答の形から。月の実際製造間接費発生額は1,286,000円であったが予定配賦額は1,261,000円であった。先に正答を示すと

(借)原価差異 25,000 (貸)製造間接費 25,000

である。予定額よりも実際額が大きかった為、損失を計上することは明らかだが、そのため「差額分を新たな製造間接費の発生として認識」すると理解していたことが間違いであった。

この仕訳は価値の給付先が実在的な仕掛品ではなく、概念的な費用(損失)であることを表した仕訳である(と思われる)。

例えば勘定連絡図において、製造間接費は材料、労務費、仕掛品などと同列に扱われる。ここで材料や仕掛品、製品などの資産的性質を持つ勘定については理解しやすいと思う。材料を購入すれば借方が増加し、それを費消すれば貸方で減少する。そして材料の減少した価値は仕掛品の借方に給付されることで贖われる。

対して労務費には当初違和感を覚えた。財務上の会計感覚で言えば発生時、つまり実際の給料日に借方で費用計上し、相手勘定は現金になるのが妥当だと思われたからだ。だがこれは管理会計が目的とするものを考えればその違いは解消される。その名の示すとおり、製造コストを管理して役立てる為には、上述のタイミングでは遅すぎてまるで役に立たない。ゆえに発生の目処が立つコストは、ある程度先回りして認識する。労務費で言えば、そこで発生する費用がどのように給付されるか、あるいは給付先が曖昧なものについては、どれだけ製造間接費として集計するか。この部分の情報を得たいが為に、その体系が財務会計とは異なるものと思われる(類推ばっかだけど)。

同様に製造間接費については、費消された材料や役務の給付先が明らかでなかったものを借方に一旦プールしておく、いわば資産的な性質を持つものとして理解しても問題なさそうである。プールされた価値は実際に発生したコストであるから、何らかの配賦基準を以って仕掛品に給付し、後に回収されなければならない(企業的に)。

ここで冒頭の話に戻るが、予定配賦額と実際発生額に差異を認識した場合。これは先程定義したような製造間接費の借方増加、つまりなんらかの材やサービスを費消してコストをプールするような経済活動では明らかにない。まず前提として、仕掛品に配賦される製造間接費は「予定配賦率」に基づくという事実がある。そして製造間接費の実際発生額が予定配賦額を上回った場合、超過額はどの仕掛品にも配賦されないという事態が発生する。そしてこの行き場の無い、かつ実際に発生してしまったコストを取り合えずプールしておくのが原価差異a/cである。これは予定配賦額が実際発生額を上回る(有利差異の)ケースもある為、のちに相殺され得ることからの処理である(と思う)。

以上から製造間接費が借方残高(予定額より大きい)場合は不利差異、貸方残高(予定額より小さい)の場合は有利差異を認識し、どちらの場合でもそれぞれ原価差異勘定に振り分けられる。