1.当期中に保有または売買したその他有価証券の内訳は次のとおりである。その他有価証券の評価差額は全部純資産直入法により処理する。

(1)時価のあるその他有価証券


取得原価 前期末時価 当期購入額 当期末簿価 当期末時価
A株式

6,000 6,000 6,500
B株式 10,000 12,000
10,000 13,000
C株式

2,000

D株式 8,000 9,500


E株式 20,000 17,500
20,000 7,000

?C株式は当期中にその全てを1700で売却している。
?D株式は当期中にその全てを10300で売却している。
?E株式は時価の回復可能性がないため減損処理を行う。


(2)時価を把握することが極めて困難と認められるその他有価証券


取得原価 前期末時価 当期購入額 当期末簿価 当期末時価
F株式 13,000

13,000
G株式 21,000



H株式 15,000

15,000

?G株式は当期中にそのすべてを18,000で売却している。
?H株式は実質価額が著しく低下した為、実質価額4500に帳簿価額を切り下げる。

2.貸借対照表の純資産の部におけるその他有価証券評価差額金の前期末残高は600、当期末残高は2100であった。
3.法定実効税率は40%とする。

[解答]
この設例は「株主資本等変動計算書における株主資本以外の項目の表示について」である。
その他有価証券から生じ得るBS純資産の項目は「その他有価証券評価差額金」である。
ここで設例の(1)と(2)があるが、(2)の時価の把握が困難な邦貨建その他有価証券証は、期末に時価評価が行われない。これらに係る処理としては、売却または減損に限定される。売却損益や減損損失からは「その他有価証券評価差額金」を認識しない。
結論として、(2)の時価を把握することが極めて困難なその他有価証券の資料は不要である。

よって必要となる資料は(1)のみ。以下にもう一度示す。



取得原価 前期末時価 当期購入額 当期末簿価 当期末時価
A株式

6,000 6,000 6,500
B株式 10,000 12,000
10,000 13,000
C株式

2,000

D株式 8,000 9,500


E株式 20,000 17,500
20,000 7,000

まずは前期の資料から見ていくが、取得原価と前期末時価の差額はその他有価証券評価差額金として認識されているはずである。ただしその他有価証券評価差額は税務上認識されず非課税であるため、税効果会計を適用する必要がある。
B社株式を例にとってみると、取得10,000から前期末時価が12,000となっているためこれを時価評価する。ただし税率40%部分は繰り延べるため、その他有価証券評価差額金の変動額は推移した金額のうち60%になる。
(借)投資有価証券 2000 (貸)その他有価証券評価差額金 1200、繰延税金負債 800
※その他有価証券の評価差額からは会計上の損益も認識されないため「法人税等調整額」は計上しない。

以上のようにすると、前期のその他有価証券の変動額は2000+1500-2500=1000のうちの税率以外の部分、1000×0.6=600がその他有価証券評価差額金の残高である。

次に当期末の残高だが、A・B社株式の変動額3500×0.6=2100となる。株主資本等変動計算書における株主資本以外の項目の表示をいま問題としているので、前期末残高600から当期末残高2100、この当期変動額を原則として純額表示する。
※なおE社株式取得原価20,000から当期末時価7,000は減損処理を行っている。
(借)減損損失 13000 (貸)投資有価証券 13000
これについてはその他有価証券評価差額金が生じていないため、SSからは除外される。

~当期変動額を純額表示する方法(原則)~
株主資本等変動計算書(一部)

評価・換算差額等

その他有価証券評価差額金


前期末残高 600


当期変動額



株主資本以外の項目の当期変動額(純額) 1500



当期変動額合計 1500


当期末残高 2100

原則は純額表示であり、項目ごとの変動事由を記載することはしない。