会計情報の副次的な利用

11.ディスクロージャー制度において開示される会計情報は、企業関係者の間の私的契約等を通じた利害調整にも副次的に利用されている。また、会計情報は不特定多数を対象とするいくつかの関連諸法規や政府等の規制においても副次的に利用されている。その典型例は、配当制限(会社法)税務申告制度(税法)、金融規制(例えば自己資本比率規制、ソルベンシーマージン規制)などである。
12.会計基準の設定にあたり最も重視されるべきは、本章第2項に記述されている目的の達成である。しかし、会計情報の副次的な利用の事実は、会計基準の設定・改廃する際の制約となることがある。すなわち会計基準の設定・改廃を進める際には、それが公的規制や私的契約等を通じた利害調整に及ぼす影響も、同時に考慮の対象となる。そうした副次的な利用との関係も検討しながら、財務報告の目的の達成が図られる。


おおまかに言って、概念フレームワークが定義する以前の財務報告の目的は情報提供機能利害調整機能の二項対立として捉えられてきた。しかし概念フレームワークは、本章第2項によって、財務報告の目的は投資家の投資意思決定に資する情報提供であるとの立場を明らかにしている。しかし、副次的とされた利害調整機能も、基準の設定や改廃においては考慮される、とある。利害調整はサブの機能とは言え軽視できるものではない、といったスタンスだろうか。

財務報告は情報提供機能を果たすことを目的としており、利害調整は目的としていない。財務報告の目的は『投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような、企業の財務状況(企業の投資のポジションとその成果)を開示すること』だからだ。しかし、そうはいっても目的から外れた利害調整機能も同時に果たしている。利害調整機能を担う法令は会社法、法人税法であり、財務報告の目的である情報提供機能を担う法令が金商法(と一部会社法)である。