[設例]
下記の資料に基づき、当期の損益計算書(売上総利益まで)を完成させる。

[資料1]
決算整理前残高試算表(一部)

借方項目
・繰越商品:82400
・未着品:19800
・仕入:1,145,000

貸方項目
・一般売上:1,522,000
・未着品販売益:91,000

[資料2]
決算整理事項および参照事項
1.未着品販売に関する事項は次の通り
(1)未着品の期首商品棚卸高は25400
(2)当期中に貨物引換証と引換えに商品68200を引き取っている。
(3)当期の未着品販売は原価率72%で行っている。

2.手許商品の期末棚卸高は85900である。

[解答]
特商全般に言えるが、この問題は何度も紙に書いて練習したい。
未着品ボックスと仕入ボックスのふたつを作成して数字を把握して解いていく。

まずは未着品から見ていこう。未着品に関するデータは以下。

・前T/B未着品:19800
・前T/B未着品販売益:91,000
・未着品の期首商品棚卸高は25400
・当期中に貨物引換証と引換えに商品68200を引き取っている
・当期の未着品販売は原価率72%で行っている

まず期首の25400が借方に。それから現品引取68200は貸方から仕入勘定に出ていっているもの。
次に前T/Bの未着品19800について。未着品は仕入のように商品(というか貨物代表証券)を表すので、当然これは資産である。この前T/Bの残高が19800ということは、当然借方の項目。今回は分記法であるので、前T/Bの未着品残高は期末未着品の有高を表す。

もう一度、未着品勘定を構成する要素を考えてみると、借方は期首の未着品、当期に取得した未着品からなる。貸方は、現品引取した金額、未着品販売に対応する売上原価である。
貨物引換証が期首に25400存在し、当期に取得し、この一部は現品引取として消費し(68200)、また一部は他者に転売することで消費したわけである。そして結果としての残高が19800、ということである(ボックスを描けばすぐ分かると思うが)。

すべきは『当期の未着品の取得高』と『未着品販売を行った分に対応する売上原価』ということになる。当期の未着品取得高は逆算により求めるので、先に計算するのは売上原価から。ここで次の資料。

・前T/B未着品販売益:91,000
(3)当期の未着品販売は原価率72%で行っている。

原価率が0.72ということは利益率は0.28。売価を1とすると販売益91,000は0.28である。ということで91,000÷0.28=325,000が未着品販売の売価。ただしここで求めたいのは売上原価部分なので、売価-利益によって原価を求める。325,000-91000=234,000。これが当期に貨物代表証券を外部に転売した金額である。

この時点で貸借差額により貨物代表証券当期取得だか296,600を算定することができる。

次に仕入ボックス。仕入れに関する資料は以下。

・前T/B仕入:1,145,000

ここで肝心なことは、この仕入の借方1,145,000のは未着品の現品引取高68,200を含んでいるということ。ただしこの1,145,000は未着品の売上原価234,000や(上で計算した)取得高296,600を含んでいないということにも注意。

そもそもここで扱っているのは分記法なので、仕入勘定自体を用いないとも思うのだが、恐らくは当期の売上原価を算定する上での便宜的な用法かと思う。それで上の未着品の現品引取は既に織り込んであるのに対して売上原価は織り込まれていないことについては、実際に手元商品となっているか否かの違いだろう。仕入勘定を手元商品勘定としてみれば、未着品販売原価が含まれないことは自明であるし、現品引取したものに関しては以降は一般商品売買として扱われるので、当期の一般売上高に対する売上原価を構成することになる。

ただしPL上の売上原価を構成する、『期首商品棚卸高』は通常の繰越商品に未着品の期首残高を加えた合計額を表示するし、また、同じく売上原価を構成する『当期商品仕入高』は通常の(現品引取分を除いた)当期仕入高に未着品の当期首得高を加えたものを記載する。
実際にPLの売上原価については下のようになる。

PL売上原価

期首商品棚卸高:107,800
当期商品仕入高:1,373,400

合計:1,481,200

期末商品棚卸高:105,700

商品売上原価:1,375,500



※期首=前T/B繰越商品82,400+期首未着品25,400
※期末=期末手許商品85,900+前T/B未着品19,800

※当期仕入=通常の当期仕入1,076,800+未着品取得高296,600
(通常の当期仕入=前T/B仕入1,145,000-現品引取高68,200)

ここでのポイントは、当期商品仕入高の算定上、現品引取高は控除するところ。何故こうした処理をするかについて説明する。
そもそも未着品勘定と仕入勘定を分けているのは手許商品か否かである。現品引取高は実際に商品を引き取っているわけだから、これは当然仕入勘定に算入される。ただしこの処理は、当期の仕入高の増加を認識する為ではない。未着品が手許商品になったことを表しているのだ。現品引取によって未着品から仕入に振り替えられた商品はもちろん一般販売
される。しかしこの原価の把握は一つ前の段階、すなわち未着品勘定において把握されるものである。

当期の未着品勘定の借方は期首25400と当期取得296,600である。これに対して未着品勘定の貸方は、『借方で取得した、あるいは期首から保有している資産が、どのように引き取られ、販売され、もしくは期末に残存しているか』を表したものである。

商品だろうが貨物代表証券だろうが、当期の費用は期首+当期-期末である。現品引取高とは、期首から保有の、あるいは当期に取得した貨物代表証券が形を変えたものであり、いずれにしても現品引取をする為に生じたコストは未着品勘定の借方で把握されるべきものである。つまりこれを仕入勘定に振り替えるからといって、振り替えた先の仕入勘定において更に当期の費用とするのはダブルカウントである。

なお資料より一般売上が1,522,000、未着品売上が上の計算から325,000、商品売上高(これらの合計)は1,847,000であり、商品売上原価を差し引くと、471,500の売上総利益が算出される。