通常、「原価」といった場合は製造原価と販管費を含んだ「総原価」を指すが、製造業会計では主に製造原価を扱う。当然だが販管費を各製品に合理的に賦課することは難しいため、これは期間原価として処理される。

管理会計の復習となるが、製造原価を形態別に分類すると材料費、労務費、経費に分けられる。

材料費(素材費、買入部品費、工場消耗品費etc)
製品の製造の為に消費される物品を消費することによって発生する原価
特に追記することもないが、強いて言えば製造業会計では直接費/間接費の区分は重要ではなく、どれが材料費に該当するのかを簡単に判断できれば良いと思われる。工場消耗品費は、例えば工場内の移動手段として使用される自転車などもここに含まれる(いかにも経費に見えるので注意)。

労務費(賃金、給料、従業員賞与、退職給付費用、福利費etc)
製品製造のために労働力を消費することによって発生する原価

経費(原価償却費、棚卸減耗費、材料評価損、賃貸料、修繕費、電力量、旅費交通費etc)
材料費と労務費以外のコスト
経費については、材料費にも労務費にも該当しない全てのコストが集計される。ここが重要である。
例えば材料の棚卸減耗。これは一見すると材料費でも良さそうである。しかし「材料費とは製品製造のための材料の消費」であり、減耗は仕掛品/製品にならなかった材料であるため、これは経費として処理される。ただし経費として処理できるのは通常の原価性が認められる場合に限られる。製造に応じて不可避的に発生する減耗(気化とか)のみが経費としてCRに記載され、そうではない(つまり原価性のない)減耗は原則として特損、容認として営業外費用の区分に表示する。
また材料の評価損について。こちらは実際に材料の減少の事実がなく、通常は売上原価としてPLの費用項目になる。臨時かつ多額の価値の減少は特損となる。製造原価、つまり経費に算入されるのは、やはり製造に関連して不可避的に発生すると認められる場合であることに注意。


期末棚卸資産の評価
1.数量基準法(FIFO,AM)
2.売価還元法

商業簿記における期末棚卸資産の評価方法は上のふたつ。管理会計ではもっぱら数量基準を扱っていたが、ここでは売価還元法も扱う(売価還元法についての復習はこちら)。

また、数量基準におけるLIFOについてはコンバージェンスの中で消滅していくと思われる(ここでは割愛)。

さて期末棚卸資産の評価とは、「材料、仕掛品、製品」をどの金額でもって計上するかという論点である。

数量基準で言えば、材料は期首と当期分から期末分を除いて算定、これを仕掛品の当期投入材料費とする。これに加工費を加えた当期の仕掛品コストを算定し、期首仕掛品原価を加えて期末仕掛品原価を差し引き当期の完成品原価とする。完成品もやはり当期完成+前期からの繰越分-当期末棚卸資産の式で当期の売上原価を算定する。

次に売価還元法の話。これは少し変わったボックスを作成して計算する。
仕掛品と製品を合計したボックス、具体的には

借方:期首仕掛品、期首製品、当期製造費用
貸方:売上原価、期末仕掛品、期末製品

の形を取る。厳密には仕掛品の貸方に当期完成の製品が、また製品の借方にも当期完成の製品が記載されているが、これは貸借を逆にして同額であるため、始めから相殺して記載しないものとなる。

さて、もう一度
借方:期首仕掛品、期首製品、当期製造費用
貸方:売上原価、期末仕掛品、期末製品
この形をしっかり頭にいれたい。

期首仕掛品原価や期首製品原価はそのまま。
借方の「当期製造費用」とは、仕掛品ボックスで把握される、当期に給付した価値、つまり投入した材料費や加工費の合計を指す。これは(計算法にもよるが)完成した分は製品の価値となり、未完成のものは貸方の「期末仕掛品原価」を構成する。
貸方の期末仕掛品、期末製品は特に言うべきことはない。貸方の「売上原価」とは、製品ボックスにおける期首+当期-期末で把握される、当期に外部に販売した製品の原価を表している。

当たり前だがこれらの貸借は同額である。この売価還元法で何がしたいのかと言えば、期末の仕掛品、期末の製品の原価の算定である。

また、売価から還元するのであれば

※つづき