・資料

1.従業員Aは24歳で当社に入社し勤務年数33年(当期末現在57歳)である。
2.当社の定年は60歳であり、Aは3年後に定年退職となる。
3.退職給付債務及び勤務費用の算定に用いる割引率は年3%である。なお割引率年3%の場合の現価計数は、1年後0.971、2年後0.943、3年後0.915とする。
4.従業員Aの退職給付見込額は次のデータにより推定すること。

(※以下は、退職時期:退職金額、退職率)
1年後:30,600,000、15%
2年後:32,200,000、20%
3年後:34,800,000、65%

問1:Aに係る退職給付見込額はいくらか。
問2:Aに係る退職給付見込額のうち、当期末までに発生している金額はいくらか。
問3:Aに係る当期末の退職給付債務はいくらか。

・解答
まずそれぞれの問で訊かれている意味を正しく把握すること。

問1の退職給付見込額は、Aに実際に支払われる退職金の期待値である。よって正答は
30,600,000×0.15+32,200,000×0.2+34,800,000×0.65
の33,650,000となる。

問2で求められているのは、上の退職給付見込額を期間配分した数字である。仮にAの退職が1年後だとすると、支払われる退職金の期待値は上の計算より、4,590,000であるが、これは当期末までの勤務年数33年と、更にもう1年勤務したことにより蓄積される退職金の期待値の総額である。よって
4,590,000×33年/(1年後の)34年=4,455,000
が(1年後の退職に係る)当期末までに発生している退職給付見込額となる。同様に2年後の退職については
6,440,000×33/35
3年後は
20,735,000×33/36
となり、当期末までに発生している退職給付見込額は合計の
31,262,000
が解答となる。

問3で求められているのは「当期末の退職給付債務」である。これは問1の「退職給付見込額」や、問2の「当期末までに発生している退職給付見込額」と明確に区別したい。問1及び問2は退職給付見込額であり、問3は退職給付債務である。つまりこれは実際にBSを構成する数値を求めているのである。上の2問との違いは、市場金利を計算に入れて割引計算を行う、という点である。問題文中に現価係数が示されているので、これを用いて次の様な割引計算の式を立てる。

各退職時期ごとの当期末までに発生している退職給付見込額×現価計数

つまり1年後は
4,455,000×0.971=4,325,805
2年後
6,072,000×0.943=5,725,896
3年後
20,735,000×0.915=18,972,525
これらの合計29,024,226がA氏に係る当期末の退職給付債務となる。