これまで見てきたのは概念フレームワークの本体ではなく前文部分。本文は全4章からなるが、とりわけ重要なのは1章の「財務報告の目的」。なぜディスクロージャー制度が存在するのか、なぜ財務報告が必要なのか。これについて具体的に言及した基準は今まで存在しなかった。しかし概念フレームワークはこれを「投資家に対する情報提供」としている。

[ディスクロージャー制度と財務報告の目的]
1.企業の将来を予測する上で、企業の現状に関する情報は不可欠であるが、その情報を入手する機会について、投資家と経営者の間には一般に大きな格差がある。このような状況の下で、情報開示が不十分にしか行われないと、企業の発行する株式や社債などの価値を推定する際に投資化が自己責任を負うことはできず、それらの証券の円滑な発行・流通が妨げられることにもなる。そうした情報の非対称性を緩和し、それが生み出す市場の機能障害を解決する為、経営者による指摘情報の開示を促進するのがディスクロージャー制度の存在意義である。


まず経営者は企業の情報を知り得るが投資家はこれを知りえない立場にある。しかし投資活動には企業情報が不可欠である為、経営者はその情報を開示している。この「情報開示が不十分」であるとは、おそらく重要な虚偽表示や、開示すべき情報が開示されていない、もしくは統一的な形式による開示ではないことなどが考えられるが、こういった状況では自己責任に基づく投資活動を行いがたい。このため情報開示を画一化した「ディスクロージャー制度」に存在意義がある。

2.投資家は不確実な将来キャッシュ・フローへの期待のもとに、自らの意思で自己の資金を企業に投下する。その不確実な成果を予測して意思決定をする際、投資家は企業が資金をどのように投資し、実際にどれだけの成果をあげているかについての情報を必要としている。経営者に開示が求められるのは、基本的にこうした情報である。財務報告の目的は、投資家の意思決定に資するディスクロージャー制度の一環として、投資のポジションとその成果を測定して開示することである。

「不確実な将来キャッシュ・フロー」とは企業がこれからあげる利益。つぎに重要な一文、『財務報告の目的は、投資家の意思決定に資するディスクロージャー制度の一環として、投資のポジションとその成果を測定して開示すること』とある。ここで概念フレームワークは財務報告の目的を明確にしている。財務報告とは投資家の意思決定に役立つ情報提供であると。

3.財務報告において提供される情報の中で、投資の成果を示す利益情報は基本的に過去の成果を表すが、企業価値評価の基礎となる将来キャッシュ・フローの予測に広く用いられている。このように利益の情報を利用することは、同時に、利益を生み出す投資のストックの情報を利用することも含意している。投資の成果の絶対的な大きさのみならず、それを生み出す投資のストックと比較した収益性(あるいは効率性)も重視されるからである。

PLのみならずBSも重要であることに触れている。利益の絶対的な多寡よりも、純資産の額と比した利益が重要であると。
「企業価値評価の基礎」とあるが、ここでいう企業価値とは概ね株価を意味すると思われる。株価は利益に連動し、現在の株価が割安なのか割高なのかはPLの数値を価値評価モデルに算入して求める。将来的にこの株価の上下を予測する場合は、将来の利益を予測することである(=「将来キャッシュ・フローの予測」)。