[設例]
・当期首(×1年4.1~×2年3.31)に額面500ドルのA社社債(利息なし、満期日×6年3.31)を450ドルで取得し、その他有価証券に分類した。取得価額と額面金額との差額は金利調整差額と認められるため、償却原価法(定額法)を適用する。なお、取得時の為替相場は1ドル=100円であった。
・A社社債の×1年度末の時価は465ドルである。
・×1年度の決算時の為替相場は1ドル=110円、期中平均為替相場は1ドル=108円である。
・その他有価証券の評価差額は全部純資産直入法により処理する。また税効果会計は適用しない。

[解答]
まず今回はこちらの記事の続き。
外貨建のその他有価証券が債券の場合、評価差額は時価変動と為替相場変動の2つの要因から生じる。この時の評価差額は?原則としてその他有価証券評価差額金とするが、?容認として為替差損益とその他有価証券評価差額金に分けることもできる。

まず取得は450ドル、HRが100円なので
(借)投資有価証券 45000 (貸)現金預金 45000

次に決算時。最終的にBSに記載する金額はその他有価証券なので時価×CR。今回は465×CR110=51150である。
これより前の段階として償却原価の適用がある。これは額面と取得原価の差額50を保有期間5年で割った1年当たり10ドルの増加部分が該当する。この10ドルは利息と考えられるので、ここに乗じる相場はAR108円である。

(借)投資有価証券 1080 (貸)有価証券利息 1080

さて、取得原価45000に利息1080を加えた46080が償却原価である。この46080とBS計上額51150との差額は二通りの処理方法がある。原則は全額をその他有価証券評価差額金とする方法。容認は差額をその他有価証券評価差額金と為替差損益に分割する方法。原則法に基づけば

(借)投資有価証券 5070 (貸)その他有価証券評価差額金 5070

となる。問題は容認法。時価変動部分から生じる損益はその他有価証券評価差額金とし(損益は繰り延べられるが)、為替相場変動から生じる損益は為替差損益とする。この時の計算は以下。

まず償却原価法を適用した46080は償却原価460ドルに基づいたものである。ただしこの460ドルはCR換算されていない。これをCR換算すると
460×CR110=50600となる。この金額が有価証券の時価評価をしなかった場合の数字である。よって46080と50600との差額は相場変動部分から生じる収益であり、容認法によれば為替差損益となる。

(借)投資有価証券 4520 (貸)為替差損益 4520

また、上の50600とBS計上額51150との差額550こそが時価変動部分。
あるいは別の観点から(CRは110と固定した上で)(時価465-償却原価460)×CR110=550とも計算できる。

(借)投資有価証券 550 (貸)その他有価証券評価差額金 550