[資料]
1.当社の会計期間は4.1~3.31である。
2.資源採掘業を営む当社は×1.4.1に採掘を目的として土地を借り受け建物を建設し操業を開始した。
3.当社は資源の予測埋蔵量に基づく採掘計画により、土地について5年にわたる事業用定期借地権契約を締結した。当社は当該契約に基づき、契約期間満了となる5年後に建物を解体し除去するとともに採掘跡地を埋め戻して土地を返還しなければならない。
4.過去当社は建物の解体等を専門業者に請け負わせ跡地の埋め戻しは自ら行った実績がある。
5.建物の解体等に係る割引前の将来CFの見積金額に期待値を使用し、また埋め戻しに係る割引前の将来CFの見積金額には最頻値を使用する。
6.将来CFが見積値から乖離するリスクは個々の将来CFの見積に反映させる。
7.将来CFの見積
(1)建物の解体に係る予想労務費は現在において解体業に従事する者を雇うのに要する平均的な賃金を基礎とする。生起し得る複数の将来CF(見積値から乖離するリスクを反映済み)及びその発生確率を次のように予測している。
・事象?:インフレ率補正前予測CF 700 発生確率 30%
・事象?:インフレ率補正前予測CF 1100発生確率 50%
・事象?:インフレ率補正前予測CF 1200発生確率 20%
(2)解体業者が建物の解体にかける間接費及び設備費用は労務費の80%と見積もられる。
(3)解体業者は労務費及び間接費等に利益を加える。解体業者が建物を解体し除去する際に稼得する利益は、過去の実績から労務費及び間接費等の合計額の20%であると仮定する。
(4)当社は過去に自社で行った半分程度の規模の採掘跡地の埋め戻しに要した社内の人件費及び間接費等の実績440に基づき土地の埋め戻しに係る人件費及び間接費等を2倍の880と予測する。また当社は当該埋め戻しにも使用する予定の汎用的な工機の買い替えを2年後に予定している為、これによる人件費及び間接費等の削減の仮定をおき、さらに見積値から乖離するリスクを考慮して、人件費及び間接費等の合計を870(インフレ率補正前)と見積もる。
8.×1.4.1現在における利付国債(期間5年)の流通利回りは年3%である。
9.5年間のインフレ率は年平均1%となると予想される。
10.法人税等の実効税率は40%である。
11.端数が生じる場合には小数点未満を四捨五入すること。

[解答]
まず今行っているのは「資産除去債務」の算定。有形固定資産の取得や建設に伴い、将来発生する蓋然性の高い費用を予め勘定に入れる処理である。なおこの会計基準は翌年度(2010年度)以降から適用されるが、それ以前の適用も認められている。

資料3より「解体」と「埋め戻し」が必要であり、その除去費用算定に用いる主な数字は資料7にある。資料6に将来CFが見積値から乖離するリスクについての記述があるが、以降の資料の数字はどれもリスクを織り込んだものである為、特別な計算を必要としない。

~インフレ率補正前の割引前将来キャッシュフロー~

・まずは解体について。資料5より解体に係るCFは期待値を用いるとある。資料7(1)の解体に係る労務費のリストより、700×30%+1100×50%+1200×20%=1000が建物の解体に係る予測労務費である。
また(2)より間接費は労務費の80%とあるため800を算定する。
(3)より解体業者の稼得する利益、{(1)+(2)}×20%=360を算定。

・次に埋め戻しのコストについて。資料7の(4)より結論部分の870がそれである。

・以上より(リスク反映済みの)割引前将来CFの合計は3,030となる。ただしこれはインフレ率補正前の数字である。

~インフレ率補正後の割引前将来キャッシュフロー~

資料9より今後5年間の平均インフレ率についての記述がある。割引前将来CFにはインフレ率を勘案しなければならない。

インフレ率補正前の将来CF3030×1.01×1.01×1.01×1.01×1.01=3185

~資産除去債務~
企業は割引計算において当然その割引率を設定しなければならない。
実際に割引率を考えるときは、長期の国債や最優良企業の社債など、安全性の高い長期の債権の利回りを基準に考える(DCF等は除く)。資料8に示される利付国債の流通利回り3%/年はすなわち割引計算における割引率を表したものである。

インフレ率補正後将来CF3185÷1.03÷1.03÷1.03÷1.03÷1.03≒2747

今回は資料が冗長だが、×1.4.1の操業時に計上すべき資産除去債務は2747である。