[設例]
1.前期末から外貨建貸付金を300ドル保有している。
2.上記貸付金のうち200ドルを期中に現金で回収したが、残りの100ドルについては期末において未回収である。貸付金の決済時の為替相場は1ドル=116円である。
3.決算時の為替相場は前期末1ドル=110円、当期末1ドル=120円である。

[解答]
・決済時
(借)現金 23200 (貸)貸付金 22000、為替差損益 1200
※一応付記するが、キャッシュ・フローの論点なのだから、重要なのは借り方の「現金」の項目に着目することである。

・決算時
(借)貸付金 1000 (貸)為替差損益 1000


CSにおける外貨建取引の処理だが、「現金及び現金同等物に係る換算差額は独立表示」する規定がある。ただし今回の決済時におけるCIF23200は、現金及び現金同等物に係る換算差額ではなく、貸付金の回収であるため、独立表示するわけではない。なお当然だが、金銭の貸し付けは投資、借り入れは財務の区分である。

直接法

営業活動によるキャッシュ・フロー 0
投資活動によるキャッシュ・フロー
貸付金の回収による収入 23200

※この時PLにおける損益をベースとしてCFを作成するのは間接法であり、直接法は純粋に仕訳上あらわれる「現金」の項目にのみ基づいて作成される為、作成に関して言えば、間接法の方が優れた(というか、よりコストの少ない)方式である、と言えると思う。その上で、なお閲覧の際は直接法の方がシンプルで利用が容易だと思うのだが、単にCSに慣れていないだけかもしれない。


間接法
※復習だが、CSにおける外貨建取引の処理について。
外貨建の現金及び現金同等物は独立して表示する。ただし今回は現金ではなく貸付金より生じるCFであるのでこの限りではない。
つぎに間接法における為替差損益の処理についてだが、これは為替差損益を生じさせる原因となった取引の内容が営業資産、営業負債にかかるものか、又は営業資産、営業負債以外のところから生じたかにより異なる処理が必要となる。
営業資産・負債、すなわち売掛金、買掛金、受取手形、支払手形等から生じる為替差損益については処理は不要である。
対して、営業外の取引から生じる為替差損益、すなわち貸付金、借入金、現金及び現金同等物から生じる為替差損益は、CSにおいて「為替差損益」として調整が必要になる。

営業活動によるキャッシュ・フロー
税引前当期純利益 2200(当期のPL項目は借り方の為替差損益二つ(1200+1000)である)
為替差損益(△は益) △2200(当期の為替差損益は収益2200なのでCSにおいてマイナス調整)
営業活動によるキャッシュ・フロー 0(2200-2200)
投資活動によるキャッシュ・フロー
貸付金の回収による収入 23200

※直接法・間接法の両者は、営業活動の区分の小計欄以降(つまり投資活動以降)は完全に一致する。今回も直接法と間接法の両者が一致していることを確認してほしい。