監査実施論では主に監査人の実施する監査の内容について学習している。

これは、監査計画、リスク・アプローチ、内部統制、試査、監査調書経営者による確認書から成る。今回は監査の実施の中の2番目、リスク・アプローチについて。

?各種のリスク
以下が監査人が考慮すべき4つのリスク
(1)監査リスク(Audit Risk)
(2)固有リスク(Inherent Risk)
(3)統制リスク(Control Risk)
(4)発見リスク(Detection Risk)
について1つずつ見ていく。始めに覚えておきたいのは、こうしたリスクを考慮する理由。ここでいうリスクとは最終的に監査に失敗するリスクである。リスクの多寡を鑑みてそれに対応した確実な監査を行うべく監査人は計画の策定や改定する。

(1)監査リスク:監査人が、財務諸表の重要な虚偽のひょ時を看過して誤った意見を形成する可能性をいう。監査人はこの監査リスクを合理的に低い水準に抑えなければならない。監査リスクとは、最終的に監査に失敗するリスクを言い、以下の3つのリスクの合計でもある。つまり監査リスクとは、固有リスク、統制リスク、発見リスクの総体である。

(2)固有リスク:関連する内部統制が存在していないとの過程の上で、財務諸表に重要な虚偽の表示がなされる可能性を言う。(本来存在するであろう)内部統制をないものと仮定するのは、特定の事象についてそれが本質的に有するリスクをまずは把握するためである。特定の事象とは、ある取引、ある勘定残高などについて。例えば企業と銀行との取引であれば、親会社と子会社の取引よりはリスクは低そうである。あるいは、引当金の計上額は土地の計上額よりもリスクが高いと言えるかもしれない。会計事象に限らず、斜陽産業であればそうでない産業に比べてリスクは高いだろうし、経営者の性格によっても恐らくリスクの上下はあるだろう。こうした様々な事象が持つ、内部統制を抜きにした本質的なリスクを固有リスクと呼ぶ。

(3)統制リスク:財務諸表の重要な虚偽の表示が、企業の内部統制によって防止または発見・是正されない可能性を言う。つまり、しっかりとした内部統制が運用されている企業であればリスクは低いし、そうでなければ高まるリスク。

(4)発見リスク:固有リスクと統制リスクが企業に存在する(虚偽表示を生じさせる)リスクであったのに対し、発見リスクとは監査人が虚偽表示を見落とすリスクを言う。

次のリスク・アプローチ2では「重要な虚偽表示のリスク」について見ていく。