・外貨建転換社債型新株予約権付社債(一括法)の発行者側の会計処理
会社法では外貨建転換社債型新株予約権付社債の転換による新株の発行を現物出資と捉えているため、外貨建転換社債型新株予約権付社債の発行と転換による株式の発行を分断して考える。 
※外貨建転換社債型新株予約権付社債の会計処理は一括法が一般的であるため、ここでは区分法は取り扱わない

(以前見たように、転換社債型・・・とは、社債と新株予約権がそれぞれ単独では存在し得ないものである。
対してその他の新株予約権付社債(転換社債型新株予約権付社債以外のもの)とは、社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在し得るものである。 前者(転換社債型)の権利行使に伴う払込方法は代用払込のみ(現物出資)のみであるのに対し、後者(その他・・・)の権利行使に伴う払込方法は、代用払込に加えて現金払込がある。
今回は外貨建における転換社債型新株予約権付社債の会計処理をみていく。)

決算時:決算時の為替相場(CR)で換算(換算差額:「為替差損益」)

権利行使時(転換時):権利行使時の為替相場で換算し、払込資本に振替(換算差額:「為替差損益」

・発行株式数の算定
~外貨建転換社債型新株予約権付社債の発行株式数の算定~
外貨建転換社債型新株予約権付社債は、転換によって発行される株式数が変動しないように、通常発行条件に転換価格と固定された転換レートが盛り込まれる。この場合、転換に伴い交付すべき株式数は、次のように算定する。

交付株式数=額面金額×転換レート÷転換価格

※上の式は、権利行使がされた時に何株を相手に渡すのか、を算定する式を表している

設例
1.会計期間は4.1~3.31
2.H21.4.1に次の条件で転換社債型新株予約権付社債を発行した。発行時の為替相場は1ドル=120円であった。転換社債型新株予約権付社債は一括法により処理する。
額面金額:1000千ドル
払込金額:1000千ドル(平価発行)
転換価格:50千円
換算レート(転換レート):1ドル=150円
利息:なし
3.H21年度の決算時の為替相場は1ドル=130円である。
4.H22.10.1に上記新株予約権のうち20%が権利行使され、新株を発行した。新株の発行時に出資された額は1株当たり40千円を資本金とする。管理行使時の為替相場は1ドル=135円であった。

発行時:(借)現金預金 120,000 (貸)社債 120,000
※一括法による処理である。区分法であれば、貸方で新株予約権も把握する。

H21年度決算時:(借)為替差損益 10000 (貸)社債 10000
転換社債型新株予約権付社債はCR換算する。
※10000=1000ドル×CR130ドル-簿価120,000(借金が12万から13万に増加、借方で損(費用)を計上) 

権利行使時
まず、転換社債型新株予約権付社債を権利行使時の為替相場で換算し、その後払込資本に振り替える

(借)為替差損益 1000 (貸)社債 1000

※1000=評価差損。前期末の社債の簿価は
(発行時)120,000+(為替差損益)10000の130,000
このうちの20%、つまり簿価26,000分が権利行使されるわけだが、
これとCR換算の差額、すなわち1000ドル×20%×CR135=27,000との差額1000を為替差損益に計上すると共に社債を増額する。

少しわかりにくいので言い換えると、当社の社債1000千ドルの前期末簿価は前期末為替相場1ドル130円であるため130,000。そして権利行使時点では1ドル135円の135,000が社債の簿価となる。この135,000の20%が27,000、つまり換算前の26,000との差額1,000を振替前に認識することが必要となるのである。


(借)社債 27,000 (貸)資本金 24,000、資本準備金 3000

※問題文中の転換価格、これは要するに権利行使価額である。今回これが50千円となっているが、社債の現物出資50千円ごとに1株交付されることを意味する。一方の転換レートだが、これは為替相場の変動リスクを抑えるための(発行株式数の変動を抑えるための)予め決められたレートである。

以上より、額面1000千ドルのうち20%、即ち200千ドルが現物出資された事になる。これに予め与えられた転換レートが1ドル150円。つまり30,000千円が出資されたのであり、これに対して50千円ごとに1株、30,000÷50の600株が交付される。

さらに、今回資本金に計上される金額24,000だが、ここにも注意が必要である。問題文はあくまで1株当たり40千円を資本金とするのであり、転換価格の50千円は無関係である(4/5としないことに注意)。係る出資に対して発行される株式数は600株であるので、単純に600×40の24,000が資本金、残額の3,000が資本準備金に組み入れられる。