本日2012年6月12日(火)読売新聞朝刊(10面:投書)にこんな投書を見つけました。
「自由に作文を書く楽しさ」
と題された42歳主婦の方の投稿文です。
ご自身が小学生の頃に、作文を書くのが好きで原稿用紙に10枚くらい、思いのままに文を綴っていたそうです。
字の汚さや、まとまりのなさ、表現のつたなさなどがあるものの、当時はは書くことを心から楽しむことができていたと振り返られ、
現在、中学校1年生になる娘さんに対して、つい欠点を指摘してしまうが、もっと自由に作文を書かせ、いいところを見つけてほめていきたいとまとめられていました。
なるほど、確かに、作文に限らず学習にとって、「楽しむ」ことは大切な要素の一つです。
当塾、学習塾ラーニング・ラボでも、「楽しさ」は一つの重要なキーワードとして日々生徒さんと学習を進めております。
ただし、学習にとって、もちろん作文にとっても、「楽しさ」あるいは「おもしろさ」の先に(同時に?)もう一つ非常に大切なことがあることも知っておくと、日々の学習がより豊かなものになると思います。
というわけで、この記事に引っ張られ、少しコメントをしてみたいと思います。
作文には、例えば、日記などのように「自分のため」に書かれた文章がありますが、日常的な文章の多くは、「誰かのため」に書かれていることがほとんどではないでしょうか。
手紙、新聞・雑誌の記事、小説、取扱説明書などなど、ブログのようなものでも、「誰か」つまり「読者」がいて、その人に向かって書かれている場合が多いと思います。
ということは、「楽しく」書いていく、書くことが「楽しい」という状態の先に(あるいは同時に)、その文章を読んでくれる誰かに自分の想いがちゃんと届くように書いていなければ、せっかく書いたのに、真意が伝わらないということになってしまうかもしれません。
人の気持ちや考えていることをコトバにするのはとても難しいことです。
自分の気持ちや考えをコトバにするのでさえ難しいのですから、相手の気持ちや考えを理解するのは、もっともっと難しいことでしょう。
だからこそ、なるべく自分の気持ちや考えが素直に表れるように、コトバのルールに従って、文字も丁寧に読みやすく書いていくことがとても大切なことなのです。
つまり、「ここをこうすれば、もっとこんなふうな良い状態になる」とか「これはこんなことの役に立つ」という実感を伴ったスキルやテクニックの習得が重要だということです。
「楽しい」だけでは、単なる自己満足の、自分だけに閉じた学びになる恐れがあります。
分かりやすいところでは、単純な遊びなどがこの例といえるでしょうか。
一方で、「役に立つ」ということばかりに気持ちがいってしまうと、実感の伴わない、うわべだけの知識で終わってしまうかもしれません。
これは受験勉強などが典型的な例かもしれませんね。
どちらも大切な要素だということはお分かり頂けるのではないかと思います。
大きなお世話かもしれませんが、この投稿をした方も、
中学生の娘さんに対して、良いところをほめると同時に、
「この表現はおかしい」ではなく「この表現をこうしてみたらどうだろう」とか
「〇〇にしたら△△になって、もっと良くなるね」という感じで、
具体的な技術レベルでのコメントをしてあげると良いのではないでしょうか。
本当に大きなお世話ですが、このページをご覧の保護者の皆さんも、
「楽しさ」と「役に立つ感」が両立する学習ができるようなお声掛けや学習環境の整備を
ぜひお願いしたいと思います。
当塾では、日頃作文などまとまった量の文を書く機会が多くない皆さんのために、
夏休みの時期を使って特別講座を開催致します。
6回の授業で完結のお気軽にご受講頂ける講座となっています。
文章を書く上で必要な文法事項や日常的な学習方法などの基本的な話題をメインテーマとしています。
単に、スキルやテクニックだけの、ある意味無味乾燥な学習では、その時かぎり「実感のない学習」となりがちです。
作文は、自分の思いや考えをコトバにして、誰かに伝える作業です。
日頃から、自分の考えや思いに自覚的になることや、社会的に関心の高いニュースについての考えを持っておくなどをすることで、中身のある良い作文が書けるのだと思います。
しかし、こうした作業は一度や二度注意されて何とかなるものではなく、やはり習慣化が大切になります。
「継続」的に「反復」していく必要があることです。
ですから、一定の成果が出るには、個人差は当然ありますが、ある程度の時間が必要です。
しかし、一定程度繰り返し、習慣化が出来てくると、急に視界が開け、より自由自在に読み書きができるようになっていきます。
一見遠回りな方法かもしれません。
でも、そうした一見遠回りだけど、意味のある、骨太な学習を進めた先にこそ、本当に意味のある(役に立つ)学力が身につけられるのではないでしょうか。
夏期特別講座にご興味・ご関心のある方はこちらのページで概要をご確認ください。
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