「精霊の守り人」シリーズを読了した。 | プロ社交ダンサーブログ@西荻窪→荻窪→荻窪・五反田・都立大学

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荻窪サード・ダンススクール・五反田ヤナガワダンススタジオおよび都立大学ウエダダンススタジオでプロダンサーをやっている小野大輔のブログです。
社交ダンス教師・プロ競技ダンサーやってます。
現在は小野に代わって牛が記事を書いています。

はじめのうちは派手な描写の少ない、手堅いが華のない物語だなあと思っていた。
しかし読み始めると止まらない勢いがあるので、行きつけの接骨院にあったということもありなんとなしにシリーズの半分、精霊、闇、夢、神までの守り人シリーズと聖霊に登場する皇太子が主人公の虚空の旅人とを読んでしまった。
ここまで読んでいる時点で 十分ハマっていると言えようが、本人としてはそういう気持ちではなかった。
たまたま電子書籍ストアのセールだったこと、接骨院においてあったシリーズを読み尽くしてしまったことでなんとなく続きを購入した。
が、これがある意味運の尽きであった。
読み出すとあまりに面白くて止まらないのである。
どうやら既刊の本を読んでいるうちにすっかり守り人シリーズの世界観に没入してしまったらしい。
正直、ファンタジー小説は小中学生の頃貪るように読んだものの、高校生くらいになると食指が伸びなくなっていた。
理由としては剣と魔法とか竜とお姫様とかそういうよくある設定に食傷気味になっていたこと、物語自体に現実味というか真実味を感じなくなっていったことがある。
実際小説はファンタジーに限らず基本的に作り物なのだが、それでもそれ自体が持つ力は作品ごとに大きく異なる。
僕はオタクであったのでゲームをやったりアニメを鑑賞したりするのが好きだった。
しかし、いわゆる「人間くささ」を登場人物の行動や言動に感じられない作品に対しては、いつの頃からか全く面白いと感じなくなった。
例えば主人公が選ばれた血筋で無敵で異性にもモテて何をやってもうまく行って……のような作品は触れるのが苦痛にすら感じられる(最近ではファンも目が肥えてきてというか多少スレてきたのもありこんな荒唐無稽なものはないだろうが)。
その点、精霊の守り人シリーズでは映画のような華やかな魔法めいたものはほとんど出てこないしこの世のものでない存在の描写もかなり落ち着いた描写で通されている。
昨今のハリウッド映画さながらのド派手な効果を伴う描写に慣らされた感覚からすれば冒頭で書いたように華がない、地味な作品に感じられるのは当然だと思う。
しかし、守り人シリーズの魅力はそういった視覚的効果(文章なのに視覚的効果とはこれいかに?)とは別のところにある。
著者の堅実な筆力によって快適に物語を読み進めていくうちに、はじめのどちらかといえばマイナスよりだった印象が変化していくのが分かった。
この作品の魅力は、主人公の女用心棒バルサや皇太子チャグム、バルサの相棒的存在で呪術師のタンダやその師匠トロガイなど登場人物に対して「ああ、こういう人いそう」「この人はこういう行動をとりそう」と読み勧めていくうちに自然に感じさせていくところにある。
作品世界のような環境に限定せずこういった人はどこの世界にでもいるだろうし、ある状況に置かれたときに行動を起こして物語を作っていくのだろうなと感じさせたから、僕はこういう感想を持つに至った。
これが守り人シリーズの持つ力であり、物語の展開に僕を熱中させた原因である。
かといってただ現実を描くだけではない。
そこには非現実の世界を舞台にしたからこその登場人物たちの希望や絶望も穏やかに織り込まれている。
もともとは児童むけ小説だったという経緯もあるが、物語だからこそ、全てがうまく行ったわけではないけれど納得の行くハッピーエンドを迎えることもできる。
著者が用意してくれた異世界にふらりと遊びに行く気分で読んでみると、とても楽しいのではないかと思う。


via Daisuke & Kana
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