田中英和先生の審査基準 | プロ社交ダンサーブログ@西荻窪→荻窪→荻窪・五反田・都立大学

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荻窪サード・ダンススクール・五反田ヤナガワダンススタジオおよび都立大学ウエダダンススタジオでプロダンサーをやっている小野大輔のブログです。
社交ダンス教師・プロ競技ダンサーやってます。
現在は小野に代わって牛が記事を書いています。

以前読んだ記事ですが、素晴らしい内容なので紹介します。
元全英ファイナリスト・全日本チャンピオンの田中英和先生が自身の審査基準を明示した文章です。
ボールルームダンスを愛する多くの人が一読すべきだと思います。

エッセイ
「ダンスはどこへ行くの?(続)~審査をするものとして~」よりそのまま転載。

 
<私の審査観点>

a) ジュブナイルにおいてはまっすぐに立つこと、正確なリズム、思い切りの良さ、伸びやかさ、足の伸ばし方、足の揃え方などが大きく評価されるでしょう。
これらが将来性あるダンサーの基本と考えます。

b) ジュニアクラスではさらにカップルのポジションや一体感、スピードやパワーなどが加味されるでしょう。

c) 年齢とともにスペースの使い方、スピードの緩急、音楽的な強弱などの良し悪しが大きなウェイトを占めるようになります。
フットワークやエネルギーレベルを上げるベースアクションにも大事な観点になります。

d) 学生やアマチュア成人クラス、そしてプロのレベルともなれば、クラスによって差は出てきますが、一般にコレオグラフィーが複雑になりムーブメントも大きくなってきます。
そのコレオグラフィーの難易度とムーブメントの美しさ,大きさに加え、ポスチャー、ポジション,フットワークの正確さなどからくる一体感、スピードの緩急、エネルギーレベルの高さ、音楽的な表現力などが審査観点としてあげることができます。

e) 最近のアクロバティックなアクションに関しては、それが効率よく、効果的に用いられる範囲であればそれ自体は問題ではないと思います。
が、その派手なコレオグラフィーばかりが前面に押し出されるようであれば、運動神経の高さとしてある程度の評価はしても、ボールルームダンスの美の観点からアクション自体は審査の対象にはならないとします。

f) シニアやGシニア、Sシニアなどでは基本のテクニックに基づいたダンスであることは最も大事なことですが、大人のスタイルでカップルの味を存分に発揮していることをジャッジとして期待します。
若さに対抗するような上辺の派手さを追うダンスよりも、ポスチャーとポジションの維持、無理のないベースアクション、ボディウェイトの効率の良い使い方が審査の基準になります。

g) 「美」を求めている以上、どのクラスであっても外見的な判断として容姿端麗なカップルは有利であると言わざるを得ません。
が、それがすべてであるわけはありません。
それ以上にドレスや燕尾服、蝶ネクタイ、ダンスシューズをはじめ、ヘアスタイルや笑顔に至るまで、不自然な側面が見られないことが大きな審査要因であることは基本的なことです。

h) レベルが拮抗しているような場合、上記の外見的な要素に加えてスタミナもその順位に大きく影響をすることは明白です。