こんにちは、株式会社Lean Stack代表の吹上由樹です。

 

社労士事務所向けDX「ヨハクル」(https://www.yohakuru.com/)は、事務所の定型業務を仕組みで減らすためのサービスです。公開済みの実績は、次の3件です。

 

  • シンカ社会保険労務士法人様は、助成金チェック業務を80%削減し、書類作成・手続き業務を50%以上削減しています。

  • 社会保険労務士事務所アスタリスク様は、就業規則業務を95%削減しています。

  • 社会保険労務士法人フォーシーズン様は、給与計算業務を80%削減しています。

 

無料相談の窓口は、こちらです。

 

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「アプリを入れれば完了」「全員がデジタル払いになる」は、どちらも説明として足りない

 

顧問先から、こんな言葉が出てくることがあります。

 

「Payでも給与を払えるようになったと聞きました。アプリを入れれば導入は終わりですよね」

 

「導入したら、うちも全員デジタル払いになるんでしょう」

 

「ポイントや電子マネーで払えば足りるのでは」

 

いずれも、ニュースを聞いたあとの自然な反応です。給与計算を受ける事務所でも、同じ質問が顧問先から届きやすくなっています。

 

ただ、厚生労働省の説明を読むと、どれもそのままでは通りません。

 

  • 賃金のデジタル払いは、受取方法の選択肢の1つにすぎない

  • 希望しない労働者への強制はできない

  • 使えるのは、厚生労働大臣が指定した資金移動業者の口座だけ

  • 現金化できないポイントや暗号資産での賃金支払いは認められない

 

つまり、アプリの登録だけでは足りず、労使協定と個別同意、銀行等の選択肢の提示まで含めた段取りが先です。導入の話と、全員の受取方法変更の話を、いっしょにしないことが大切です。

 

この記事では、個々の業者の手数料や受入上限の比較ではなく、顧問先への最初の説明と、事務所側の確認項目として整理します。

 

何が認められるのか——指定資金移動業者の口座だけ

 

 

 

賃金は現金払いが原則です。労働者の同意があれば、預貯金口座への振込み、証券総合口座への払込みに加え、厚生労働大臣が指定した資金移動業者の口座への資金移動(賃金のデジタル払い)も認められます。

 

ここで押さえるのは、次の点です。

 

  • 使えるのは、指定を受けた資金移動業者の口座だけ

  • 資金決済法の登録を受けた資金移動業者すべてが使えるわけではない

  • 令和8年7月1日現在、指定は4社(一覧は厚労省のページで確認)

  • 現金化できないポイントや暗号資産での賃金支払いは認められない

 

「Pay系のアプリなら何でもよい」ではありません。顧問先には、まず厚労省の指定資金移動業者一覧を一緒に確認する、と返すのが安全です。個別の業者を勧める必要はありません。一覧は変わることがあるので、説明の直前に厚労省ページを開き直すのがよいです。

 

一部だけをデジタル払い、残りを銀行口座等にする扱いも可能です。後から銀行口座等へ戻すこともできます。受取方法は、一度選んだら固定、ではありません。

 

導入しても全員デジタル払いではない——強制禁止と選択肢の提示

 

 

 

導入は、受取方法の選択肢を増やすことです。事業場が導入しても、全員の受取方法の変更は必須ではありません。

 

希望しない労働者に強制してはいけません。同意なしの強制は、労働基準法違反となり、罰則の対象になり得ます。

 

使用者にも導入義務はありません。労働者から希望が出ても、いきなりアプリの案内から始めるのではなく、労使協定の締結を先に話し合う必要があります。

 

説明のときも、次が必須です。

 

  • 預貯金口座への振込み、または証券総合口座への払込みもあわせて提示する

  • 形式だけの選択肢提示では足りない

  • 説明の委託は、指定資金移動業者に限る

  • 委託先が説明を怠れば、説明が行われたとみなされず、使用者が違反になり得る

  • 同意の取得自体は、使用者自ら行う

 

導入したから全員がデジタル払いに切り替わる、と顧問先に返すのは、やってはいけません。

 

アプリ登録では足りない——労使協定と個別同意の段取り

 

 

 

厚労省の使用者向けの流れは、おおむね次のとおりです。

 

  • 指定業者の確認

  • 導入サービスの検討

  • 労使協定の締結

  • 労働者への説明(銀行等もあわせて提示)

  • 希望する労働者の個別同意の取得

  • 支払事務の確認・実施

 

労使協定に書くのは、少なくとも次の4項目です。

 

  • 対象となる労働者の範囲

  • 対象となる賃金の範囲とその金額

  • 取扱指定資金移動業者の範囲

  • 実施開始時期

 

あわせて、就業規則・給与規程の改定要否も確認します。

 

同意は、書面でも電磁的記録でも構いません。同意時には、次を取ります。

 

  • 受取を希望する賃金の範囲・金額

  • 指定業者と口座情報

  • 開始希望時期

  • 指定代替口座(受入上限を超えた場合や、破綻時の弁済先など)

 

指定が取り消された、または辞退した場合は、対象労働者に速やかに確認し、労働者が指定する別の方法で以後の支払を行います。

 

給与計算を受ける事務所としては、受取方法の選択肢追加と、協定・同意の回収状況を、顧問先ごとに見える形にしておくことが現実的です。誰がどの方法で受け取るかを、支払日の直前まで曖昧にしないことが大切です。

 

効率化は、部分ではなく全体で進める

 

デジタル払いの導入で迷いやすいのは、アプリの画面そのものより、その前後です。

 

前には、指定一覧の確認、労使協定、就業規則・給与規程の見直し、説明と同意の回収があります。後には、支払事務の確認、一部受取と全額受取の混在、指定取消時の切替があります。アプリ登録だけを見ていると、この前後が抜けます。

 

事務所の仕事も同じです。公開済みの実績も、効果が出た業務は事務所ごとに違います。

 

  • シンカ社会保険労務士法人様は、助成金チェックと書類作成・手続き

  • アスタリスク様は、就業規則

  • フォーシーズン様は、給与計算

 

どれか一つの画面操作が軽くなっても、それで導入が終わったことにはなりません。受取方法の追加を、協定・同意・規程・支払事務まで一連の流れとして見ておくことが大切です。

 

今日、事務所が顧問先に確認すること

 

説明の入口は、次の確認に絞ると動きやすいです。

 

  • 厚労省の指定資金移動業者一覧(令和8年7月1日現在4社)を、顧問先と一緒に見たか

  • 労使協定の有無と、協定に書く4項目の下書きがあるか

  • 就業規則・給与規程の改定要否を確認したか

  • 説明時に、銀行等の選択肢もあわせて提示する文面になっているか

  • 希望する労働者だけの個別同意(書面または電磁的記録)を回収する段取りがあるか

  • 一部デジタル払いと、後からの銀行口座等への変更も可能だと伝えたか

  • 指定取消・辞退時に、別の支払方法へ切り替える手順を決めたか

 

賃金のデジタル払いは、厚生労働大臣が指定した資金移動業者の口座への支払という選択肢の追加です。導入しても全員の変更は必須ではなく、希望しない労働者への強制はできません。導入には労使協定と個別同意が必要で、説明時は銀行等の選択肢もあわせて提示します。ポイントや暗号資産での賃金支払いは認められません。

 

「アプリを入れれば導入完了」「導入したら全員デジタル払い」「ポイントや電子マネーで足りる」と顧問先に返すのは、やってはいけません。

 

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本日も最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

この記事はnoteにも掲載しています。
https://note.com/leanstack/n/nade373e41cd6