こんにちは、
株式会社Lean Stack代表の吹上由樹です。
社労士事務所向けDX支援「ヨハクル」
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はじめに
今回は、社労士事務所のDXについて、かなり耳の痛い話を書きます。
結論から言います。
社労士DXは、人手不足になってから始めても遅いです。
「人が足りなくなったら求人を出せばいい」
「忙しくなったらDXを考えればいい」
「今はまだ回っているから、もう少し後でいい」
この考え方はかなり危ないです。
社労士事務所のDXは
火事が起きてから買う消火器ではありません。
火事が起きる前に、そもそも燃え広がらない構造を作っておくものです。
求人を出さないと事務所が回らない。
残った職員さんが毎日残業している。
所長が面接、顧問先対応、給与計算の穴埋めまで全部背負っている。
この状態になってからDXを始めようとしても、正直かなり厳しいです。
なぜなら、DXには「考える余白」が必要だからです。
そして人手不足になった事務所から真っ先に消えるのがその余白なんですよ。
今回は、なぜ社労士DXは人手不足になる前に始めるべきなのか。
求人をかける前に
なぜ業務の形を整えるべきなのか。
ここを構造から書いていきます。
社労士事務所の人手不足は突然来る
まず、社労士事務所の人手不足は、じわじわ来るようでいて、現場感覚としてはかなり突然来ます。
ある日、ベテラン職員さんが退職を申し出る。
ある日、育休や介護で稼働が落ちる。
ある日、顧問先が増えたことで給与計算の件数が限界を超える。
ある日、繁忙期と助成金と入退社手続きが一気に重なる。
昨日まで「なんとか回っていた」事務所が
翌月には一気に回らなくなる。
これは決して珍しい話ではありません。
社労士事務所の業務は
もともとギリギリで成立していることが多いんです。
給与計算は毎月必ず来る。
締日は動かせない。
就業規則の修正依頼は顧問先都合で急に来る。
助成金は期限がある。
労務相談はトラブルが起きた瞬間に飛んでくる。
つまり、社労士事務所の現場は「少し余裕があるように見えて、実は人の頑張りでギリギリ吸収している」状態になりやすいんです。
そして、このギリギリを支えているのが、特定の職員さんの記憶と経験だったりします。
「A社の給与計算は田中さんしか分からない」
「B社の就業規則の経緯は前任者しか知らない」
「この助成金チェックはベテランが見ないと怖い」
こういう状態で人が1人抜けると
単に作業量が1人分減るだけではありません。
その人の頭の中にあった顧問先ごとのルール、判断履歴、気をつけるポイントまで、まるごと消える。
だから崩れるんです。
人手不足は人数の問題に見えて、実は知識の消失の問題なんですよね。
DXは余裕がない時ほど進まない
ここで大事なことを言います。
DXは忙しい事務所ほど必要です。
でも、忙しい事務所ほど進みません。
この矛盾が、社労士DXの最も厄介なところです。
DXというと、まだ「便利なAIツールを入れること」だと思われがちです。
でも、実際には違います。
社労士事務所のDXで本当にやるべきことは、
業務を棚卸しして、顧問先ごとのルールを言語化して、チェック観点を整理して、属人化した判断を仕組みに移していくことです。
給与計算であれば、
どの顧問先が何日締めなのか。
どの手当が課税なのか。
勤怠データはどの形式で来るのか。
前月との差分でどこを見るべきなのか。
誰が最終確認するのか。
こういう細かい情報を人の頭から外に出す必要があります。
就業規則でも同じです。
顧問先の業種、過去の相談履歴、社長の方針、過去に揉めた論点、修正時に注意すべき表現。
これらを整理しないままAIだけ入れても現場は楽になりません。
つまりDXは導入作業ではなく、業務の整流化なんです。
そして、この整流化には所長と職員さんの脳の余白が必要です。
考える時間。
振り返る時間。
試す時間。
現場からフィードバックを出す時間。
これが必要なんです。
でも、人手不足になった事務所にはその時間がありません。
目の前の給与計算を終わらせないといけない。
退職者の引き継ぎをしないといけない。
求人票を作らないといけない。
面接もしないといけない。
採用した人の教育もしないといけない。
この状態で「では、業務フローを棚卸ししましょう」と言われても、無理なんですよ。
正直、そんなきれいごとを言っている場合じゃない。
だから、人手不足になってからDXを始めようとする事務所ほど、結局DXが止まるんです。
必要性は最大なのに
実行余力は最小。
これが「あとの祭り」というやつです。
求人を出してからではあとの祭り
人が足りなくなったとき、多くの社労士事務所が最初にやるのは求人です。
もちろん、それ自体は間違っていません。
人が足りないなら、
採用活動は必要です。
でも、求人を出すことを「根本解決」だと思っているなら、そこはかなり危ないです。
なぜなら、求人はあくまで入口を広げるだけだからです。
事務所の中の業務がぐちゃぐちゃなままなら、
人を入れても苦しくなるだけです。
顧問先ごとのルールが担当者の頭の中にある。
マニュアルは古い。
チェック観点は人によって違う。
給与計算の引き継ぎは口頭ベース。
新人が入っても、何を見ればいいのか分からない。
この状態で採用すると、どうなるか。
教える側のベテラン職員さんの時間が削られます。
新人は、何が正解か分からないまま不安になります。
所長は、採用したのに現場が楽にならないことに焦ります。
そして最悪の場合、せっかく採用した人が「この事務所、思ったより大変すぎる」と辞めていく。
あまりにも辛すぎます。。。
でも、これが現実なんです。
社労士事務所の採用が難しいのは、
求人票の書き方だけの問題ではありません。
入ってきた人が立ち上がれる業務構造になっていないことが問題なんです。
だから本来は、人を採る前にやるべきことがあります。
仕事の形を整えることです。
誰が見ても分かるルールにする。
判断基準を残す。
チェックの手順を揃える。
AIや仕組みの中に、顧問先ごとの情報を積み上げる。
新人が入ってきたときに先輩の記憶ではなく、事務所の仕組みを見ながら立ち上がれる状態にする。
これをやらないまま求人だけ出しても、穴の空いたバケツに水を注いでいるのと同じです。
採用しても教育で消耗する。
育っても属人化する。
辞めたらまたゼロに戻る。
このループを断つには
人を増やす前に仕事の構造を変えるしかないんです。
社労士DXで先に減らすべき業務
それでは、人手不足になる前に、社労士DXで何から手をつけるべきなのか。
いきなり全部を変える必要はありません。
むしろ、全部変えようとするから失敗します。
先に減らすべきなのは、
毎月必ず発生して、
属人化しやすく、
教育コストが高い業務です。
代表格は、給与計算です。
給与計算は、社労士事務所の中でも特に人手不足への耐性が低い業務です。
毎月必ず来る。
支給日は動かせない。
顧問先ごとの例外が多い。
1円のミスが信頼に直結する。
そして、担当者の頭の中にルールが溜まりやすい。
ここを人の記憶と残業で回している限り、人手不足になった瞬間に一気に崩れます。
だから、まず給与計算のルールをAIや仕組みに移す。
顧問先ごとの締日、手当、控除、勤怠データの形式、確認ポイント、過去の判断履歴。
これらを事務所の資産として残していく。
ヨハクルで社会保険労務士法人フォーシーズン様の給与計算業務が80%削減されたのも、単にAIが計算しているからではありません。
人の頭の中にあったルールを、仕組み側に移していったからです。
就業規則も同じです。
社会保険労務士事務所アスタリスク様では、就業規則業務が95%削減されました。
これも、ひな形をAIに書かせて終わり、という話ではありません。
顧問先ごとの方針や、過去の修正履歴や、業種ごとの注意点を整理して、使える形にしていくから削減できるんです。
助成金チェックも同じです。
シンカ社会保険労務士法人様では、助成金チェック業務が80%削減され、書類作成・手続き業務も50%以上削減されています。
ここでも本質は、チェック観点を人の目と経験だけに頼らない状態にすることです。
AIに探させて、人が判断する。
仕組みに整えさせて、人が確認する。
この順番に変える。
社労士DXは、人を不要にする話ではありません。
人がやるべき判断に、人の時間を戻す話です。
雑務と確認作業と記憶依存に潰されていた時間を、顧問先対応や提案や労務相談に戻す。
これこそがヨハクルが社労士事務所に作りたい余白です。
人手不足に強い社労士事務所がやっていること
人手不足に強い社労士事務所は、採用がうまいだけではありません。
採用に頼りすぎない構造を先に作っています。
ここが決定的な違いです。
もちろん、いい人を採れるに越したことはありません。
でも、これからの時代、「いい人が採れたら回る事務所」は弱いです。
人材市場はどんどん厳しくなります。
社労士事務所の実務経験者は、業界全体で取り合いです。
未経験者を採っても、戦力化まで時間がかかります。
そして、育った人がずっといてくれる保証もありません。
だから、人手不足に強い事務所はこう考えます。
人が辞めても、業務知識が事務所に残る状態にする。
新人が入っても、先輩に聞き続けなくていい状態にする。
所長が現場に降りなくても、一定品質で業務が回る状態にする。
つまり、事務所の知識を人の頭から仕組みへ移しているんです。
これができている事務所は
採用にも強くなります。
なぜなら、求人で求める人材のハードルを下げられるからです。
「労務経験3年以上、給与計算経験必須、助成金も分かる人」
こんなスーパーマンみたいな人を探さなくてよくなる。
AIや仕組みが業務理解を支えるなら、求めるべきは「社労士業務を全部知っている人」ではなく、「仕組みを使って正しく確認できる人」になります。
応募できる人の母数が変わる。
教育の負担が変わる。
辞められたときのダメージが変わる。
これ、ものすごく大きいインパクトです。
社労士DXは
単なる業務効率化ではありません。
人手不足に耐えられる経営体質を作ることです。
求人を出す前にDXする。
人を増やす前に、仕事を軽くする。
採用で埋める前に、属人化を剥がす。
この順番を間違えた事務所から、これからどんどん苦しくなっていきます。
まとめ
社労士DXは、人手不足になってから始めても遅いです。
理由はシンプルです。
人手不足になった瞬間、DXに必要な時間も、脳の余白も、現場を巻き込む力も、求人と火消しに奪われるからです。
求人を出せば、すぐに人が採れるわけではありません。
採れたとしても、ぐちゃぐちゃな業務構造の中に放り込めば、教育する側もされる側も疲弊します。
そして、また辞める。
このループに入ってからでは
本当にしんどいです。
だから、まだ回っているうちにやるんです。
給与計算のルールを人の頭から出す。
就業規則の判断履歴を残す。
助成金チェックの観点を仕組みにする。
顧問先対応のナレッジを事務所に蓄積する。
人が足りなくなってからではなく、人がいるうちにやる。
ベテランが辞めてからではなく、ベテランがいるうちにやる。
所長が現場に張り付いてからではなく、所長に考える時間が残っているうちにやる。
社労士DXは
緊急対応ではありません。
事務所を人手不足から守るための、
経営の保険であり投資です。
「求人をかければ何とかなる」と思っている事務所ほど、これから苦しくなります。
逆に、「求人をかける前に、業務の形を整えよう」と考えられる事務所は、これから強くなります。
これは精神論ではありません。
構造の話です。
人が足りなくなってから焦る事務所と余裕があるうちに仕込む事務所。
3年後、その差はかなり大きく開いているはずです。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
「人手不足になる前に、どの業務からDXすべきか相談したい」
「求人を出す前に、給与計算や就業規則の属人化を整理したい」
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それでは、また次の記事でお会いしましょう。







