こんにちは、
株式会社Lean Stack代表の吹上由樹です。
はじめに
最近、士業の先生方からいただく質問で、圧倒的に多いのがこれです。
「AIに個人情報を入れて、本当に大丈夫なんですか?」
給与計算をAIで効率化したい。
でも、従業員のマイナンバーや給与データを扱う以上、情報漏洩が怖い。
手続き業務をAIに任せたい。
でも、顧問先の社員情報をAIに渡していいものか、不安がある。
気持ちは、痛いほどわかります。
士業の先生であれば、AI導入の話になった際、そのお声をいただくことがほとんどです。
実際に士業は個人情報の塊みたいな仕事をしています。
社労士なら
従業員の住所、家族構成、給与、マイナンバー。
税理士なら
収入、資産、取引先の情報。弁護士なら依頼人のあらゆるプライベート。
「それをAIに入れるの?」と不安になるのは、むしろ当然です。
でも、今回はこの質問に、本音で答えます。
結論から言います。
「絶対に安全」はない。
でも、基本的に大丈夫です。
そして、もっと言えば——あなたがすでに使っているツールと、同じ話なんですね。
「AIに個人情報を入れるのが怖い」の正体
まず、この不安の中身を分解してみます。
「AIに個人情報を入れるのが怖い」と言うとき、具体的に何が怖いのか。
多くの場合、こういうイメージだと思います。
「入力したデータが、AIの学習に使われて、どこかで流出するんじゃないか」
「自分が入れた顧問先の情報が、他の人の回答に混ざって出てくるんじゃないか」
「なんとなく、クラウドに個人情報を預けること自体が怖い」
これ、全部理解できます。
でも、ひとつずつ見ていくと、実態とイメージのギャップがかなりあるんですよね。
ChatGPTに入力したデータは、どうなるのか
一番多い不安が、「入力したデータがAIの学習に使われるんじゃないか」というもの。
これ、2024年くらいまでは確かにグレーな部分がありました。
でも、2026年の今はかなり整備されています。
まず、ChatGPTの有料プラン(Team / Enterprise)は、入力データをモデルの学習に使わないことが明確にされています。
OpenAIの利用規約にはっきり書いてある。
Claude、Geminiも同様です。
ビジネス向けプランでは、入力データをモデルのトレーニングに使用しないことが明示されています。
さらに言えば、API経由での利用は、どのサービスでもデフォルトで学習に使われないのが標準になっています。
つまり、ビジネス用途で適切なプランを使っている限り、「入力したデータがAIの学習素材になって、他の人の回答に出てくる」ということは、基本的に起きません。
「なんとなく怖い」の大部分は、初期のChatGPTの印象が残っているだけなんですよね。
そもそも、マネーフォワードも同じ構造です
ここが、一番伝えたい話です。
「AIに個人情報を入れるのが怖い」と言っている先生方に、聞きたい。
マネーフォワードは、使っていませんか?
-
freeeは?
-
SmartHRは?
-
ジョブカンは?
-
King of Timeは?
これらのクラウドサービスに、顧問先の従業員情報を入力していますよね。給与データも、勤怠データも、マイナンバーも。
あれ、全部クラウドに送っているんですよ。
マネーフォワードのサーバーに、顧問先の給与情報が保存されている。SmartHRのサーバーに、従業員の個人情報が保存されている。
それに対して、「情報漏洩が怖いから使わない」と言っている先生、今ほとんどいないですよね。
なぜか。
「ちゃんとした会社が、ちゃんとしたセキュリティ対策をして運営しているから、大丈夫だろう」と判断しているからです。
実際、マネーフォワードもSmartHRも、ISO 27001やSOC2といったセキュリティ認証を取得して、データの暗号化、アクセス管理、監査ログの取得など、かなり厳格なセキュリティ体制を敷いている。
AIサービスも、まったく同じ構造なんです。
ちなみに、OpenAI(ChatGPTの運営元)はSOC2 Type IIの認証を取得しています。
データは暗号化されて保存・通信され、厳格なアクセス管理が行われている。
Anthropic(Claudeの運営元)も同様に、エンタープライズ向けのセキュリティ体制を整えている。
「AIにデータを入れるのは怖い。でもマネーフォワードにデータを入れるのは大丈夫」——これ、冷静に考えると、論理的に矛盾しているんですよね。
両方とも、「信頼できる企業のクラウドサービスに、データを預けている」という点では、まったく同じ構造です。
「でも、AIは何をしているかわからない」への答え
「マネーフォワードは給与計算ソフトだから、何をしているかわかる。
でもAIは中身がブラックボックスだから不安だ」
この意見もよく聞きます。
確かに、AIの内部処理はブラックボックスです。
でも、ここでちょっと考えてほしい。
ぶっちゃけたところ、マネーフォワードの内部処理も、あなたには見えていないですよね?
マネーフォワードのサーバーの中で、あなたの顧問先のデータがどう処理されて、どこに保存されて、誰がアクセスできる状態なのか。
具体的に把握していますか?
していないはずです。
「ちゃんとした会社だから、ちゃんとやっているだろう」と信頼しているだけ。
AIも同じです。
大事なのは、内部処理の仕組みを全部理解することじゃない。
そのサービスが、どういうセキュリティポリシーで運用されているかを確認すること。
-
利用規約を読む。
-
セキュリティホワイトペーパーを確認する。
-
認証を取得しているか調べる。
これだけでいいんです。
マネーフォワードを導入するときにやったのと、まったく同じことを、AIサービスでもやればいい。
特別なことは何もありません。
本当に気をつけるべきこと
ここまでで、「基本的には大丈夫」という話をしてきました。
ただし、「何をやっても大丈夫」とは言いません。
気をつけるべきポイントは、あります。
1. 無料プランで業務データを扱わない
ChatGPTの無料プランは、入力データがモデルの学習に使われる可能性があります。
業務で使うなら、必ず有料のビジネスプランを使ってください。
これは鉄則です。
月額数千円をケチって、顧問先の個人情報が学習データに使われるリスクを背負う必要は、まったくありません。
2. 必要以上の情報を入力しない
AIに処理を頼むとき、「念のため全部のデータを入れておこう」はやめてください。
マイナンバーや口座情報など、その処理に必要のない情報は、そもそも入力しない。
これも当たり前のことですよね。マネーフォワードを使うときだって、不要な情報をわざわざ入力したりしないはずです。
3. 事務所内のルールを決める
「どのAIサービスを使っていいか」
「どんなデータを入力していいか」を、
事務所として明確に決めておく。
スタッフが勝手に無料のAIツールに顧問先のデータを入力する
——これが一番危ないパターンです。
ツール自体の問題ではなく、使い方の問題なんですよね。
これも、マネーフォワードやSmartHRの導入時に「この情報はここに入力する」「このアカウントで使う」とルールを決めたのと、まったく同じ話です。
「絶対に安全」は、どこにも存在しない
ここで、正直に言います。
「AIは100%安全ですか?」と聞かれたら、答えは"No"です。
でも、これはAIに限った話じゃない。
マネーフォワードは100%安全ですか?
SmartHRは?
ジョブカンは?
どのクラウドサービスだって、100%の安全保証はしていません。
情報セキュリティの世界に「絶対」は存在しない。
もっと言えば、あなたの事務所のパソコンやファイルサーバーだって、100%安全ではないですよね。
-
USBメモリの紛失。
-
メールの誤送信。
-
パソコンの盗難。
-
ランサムウェア。
事務所内でデータを管理していたって、リスクはゼロにはならない。
「AIだから危険」ではなく、「どんなツールでもリスクはあるから、適切に管理する」。
これが、正しいスタンスです。
そして、正直に言わせてもらうと、大手AIサービスのセキュリティ体制は、多くの士業事務所の自前のセキュリティより、はるかに堅牢です。
SOC2の監査を通っている会社と、パスワードが全PCで同じ事務所。
どちらが安全かは、言うまでもないですよね。
情報セキュリティを理由に「使わない」は、別のリスクを生んでいる
最後に、もうひとつだけ。
「情報漏洩が怖いからAIは使わない」
この判断自体は尊重します。
慎重であることは悪いことではない。
でも、その判断の裏側で、別のリスクが静かに膨らんでいることにも目を向けてほしいんです。
AIを使わないことで…
-
業務効率が上がらない。
-
人手不足が解消されない。
-
残業が減らない。
-
ミスが減らない。
そのミスが原因で、顧問先の給与に間違いが出る。
手続きの期限に遅れる。
情報漏洩のリスクを避けた結果、業務ミスで顧問先に実害が出ている——これは本末転倒ですよね。
リスクを「ゼロにする」ことは不可能です。
大事なのは、リスクを「比較」して、総合的に合理的な判断をすること。
AIを使うリスクと、AIを使わないリスク。両方を天秤にかけて、冷静に判断してほしい。
そしてほとんどの場合、適切な使い方をすれば、AIを使うリスクのほうが、はるかに小さいんです。
まとめ
「AIに個人情報を入れて大丈夫なんですか?」
この質問への答えは、こうです。
「絶対」はない。
でも、基本的に大丈夫。
ビジネス向けの有料プランを使えば、入力データは学習に使われない。
セキュリティ認証を取得した大手サービスは、多くの事務所の自前管理より堅牢。
そして何より、あなたがすでに使っているマネーフォワードやSmartHRと、まったく同じ構造です。
マネーフォワードにデータを預けられるなら、AIにも預けられる。
怖がるべきポイントも、気をつけるべきポイントも、同じ。
「なんとなく怖い」で立ち止まるのは、もったいない。
正しく知って、正しく使えば、AIは士業の仕事を圧倒的に楽にしてくれるツールです。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
「AIのセキュリティについてもっと詳しく知りたい」
「うちの事務所でAIを導入するとき、何に気をつければいいか相談したい」
「まず、うちの業務でAIがどれくらい使えるか見てみたい!(無料でお見せしております)」
という方は、以下の公式LINEからお気軽にご相談ください。
LINE相談はこちら!
↓
https://lin.ee/I73KUiN
YouTubeでもAI・DXの情報を発信しています。
↓
https://youtube.com/channel/UC-f1ZI9MiME-GC0l1gwNf4w?si=WeyqGjBSvVXwSaDB