こんにちは、
株式会社Lean Stack代表の吹上由樹です。

 


 

【著者プロフィール】

 

吹上由樹(ふきあげ よしき)
株式会社Lean Stack 代表取締役

 

2021年4月 経済産業省へ入省
2023年7月 経済産業省を退職
2023年9月 株式会社Lean Stack設立

 

弊社HP:https://www.leanstack-buzz.com/

 

YouTubeチャンネル:DXできるくん🔽
https://youtube.com/channel/UC-f1ZI9MiME-GC0l1gwNf4w?si=WeyqGjBSvVXwSaDB

 

はじめに


「税理士の仕事って、AIで何が変わるんですか?」

 

最近、こうした相談が一気に増えました。

 

一方で、こうも聞かれます。

 

「請求書や領収書を入れたら、情報漏洩しませんか?」

 

と。

 

では、どうすればいいのか。

 

結論から言うと、税理士の仕事はAIが効く場所と、効かない場所がはっきりしています。

 

そして、効く場所は「業務を5つに分ける」と一気に見えてきます。

 

本記事は、税理士事務所が現場レベルで使える形に要点を整理してお話ししていきますので、ぜひ最後までご覧ください^^

 

1. なぜ「業務を5つに分ける」ことが必要なのか


税理士事務所の仕事は、
ざっくり言うと次の5つに分かれます。

 

1つ目が仕訳・記帳(入力と整理)
2つ目が月次の報告(レポート作成と説明)
3つ目が税務申告(決算・申告書作成)
4つ目が問い合わせ対応(顧問先からの質問)
5つ目が付加価値提案(顧問料アップにつながる支援)

 

ここで大事なのは、「5つのうち、どこが詰まっているか」です。

 

1社だけなら小さな手間でも、顧問先が50社、100社と増えた瞬間に効いてきます。

 

そもそも、AIは「魔法」ではありません。

積み重なった数十分を、毎月まるごと効率化することにあります。

 

効率化した時間で一体何をするのか。
ここが超重要ポイントです。

 

本来いちばん価値が出るのは、顧問先の信頼を積み上げる時間です。

 

これは容易に想像できるかと思いますが、AIではできないわけですね。

 

AIを使って顧客と信頼を構築できる時代も来るかもしれませんが、今すぐは絶対に無理です。

 

ここに我々人間の価値が集約されていると思うんですね。

例えば、レポートの説明と事業拡大につながる提案に時間を回せるかどうか。

これからのAI時代では、まさにここが勝負になります。

 

2. 具体的な活用法:業務別に見る「AIが効く所/効かない所」


ここからは、5つの業務ごとに整理します。

初心者の方は、「自分の事務所ならどこから触れそうか」を探しながら読んでみてください。

 

1. 仕訳・記帳:領収書の山を「入力」から解放する


仕訳・記帳は、多くの事務所でスタッフの時間を最も吸い込む領域です。

 

領収書・請求書を受け取り、数字が合っているかを確認し、勘定科目を判断し、会計ソフトに入力する。

しかも、二重チェックも入る。

 

これは、まるで──終わりのないベルトコンベアです。

AIが効くのは、この中の「入力」を減らす部分です。

 

  • 領収書をスキャンしてPDF化

  • AI(OCR=画像から文字を読み取る技術を含む)で、日付・金額・取引先を読み取り

  • Excel/CSVに整形して一覧化

  • 最後に人が確認して、会計ソフトに取り込み

 

ポイントは、ここです。

会計ソフトごとに“取り込みの形”が違う

さらに、銀行口座やカードごとに科目コードや管理番号が違うことも多い。

 

ここを揃えないと、AIは迷子になるので、注意が必要です。

 

なお、現場では、「そもそも記帳を外注する」選択肢もあります。

外注は、スタッフを抱えずに回せる一方、枚数が増えると費用も増える。

 

だからこそ、まずは自社の方針を決めます。

 

  • 外注で割り切るのか

  • 内製し、AIで入力を薄くするのか

 

ここが決まるだけで、打ち手が明確になります。

 

2. 月次報告:レポートは「作る」より「話す」時間に寄せる


月次報告は、実は事務所ごとに最も“差がつく”業務だと思っています。

 

現金残高が減っている。
原価が跳ねた。
利益率が崩れた。

 

こうした変化に気づき、顧問先に一言添えられる人は、信頼が積み上がります。

 

ただし問題があります。

 

顧問先が増えるほど、「何を話すべきか」を毎月思い出すだけで大変です。

 

AIは、ここで役に立ちます。

 

  • 前月比・前年差の変化から、“話すべきポイント”を自動で候補出し

  • 異常値(急に増えた費目など)の一次検知

  • 面談用に「今回確認したい3点」を箇条書きで出力

 

面談でのあなたの仕事は、結局「判断」と「会話」です。
AIは、まるで──副操縦士

操縦桿を握るのは、あなたです。

注意点は、業界の前提です。


例えば、粗利率の“普通”は業界で全く違います。

 

ここはAIに任せきらず、「この顧問先の基準値」を先に渡すことでズレを減らすことができますね。

 

3. 税務申告:ここはAIより「既存ソフト」が速い


税務申告(決算・申告書作成)は、意外ですがAIで無理に自動化しない方がいい領域です。

 

理由はシンプルです。

 

税務申告に特化した会計ソフト・申告ソフトが、すでに最短ルートだからです。

ここを“AIで一から作ろう”とすると、遠回りになります。

 

ただ、AIがまったく使えないわけではありません。

 

  • 決算前のチェックリスト作成

  • 売掛金回収や請求漏れなどのリマインド文章の作成

 

こうした「周辺のコミュニケーション」に寄せると、効果が出やすいです。

 

4. 問い合わせ対応:質問は「2種類」に分けると設計できる


顧問先からの問い合わせは、受ける側は本当に大変です。


でも、ここは分解できます。

問い合わせは、大きく2種類です。

 

A:会計ソフトの中身を見ないと答えられない質問

 

「この請求、どうなってますか?」
「この取引、どの科目で処理しましたっけ?」

 

これはWebにも、過去チャットにも答えがありません。


答えは“あなたの画面の中”にあります。

 

このタイプは、調べるのは人間が最速です。


その上で、AIに「返信文の下書き」を作らせるのが現実的です。

 

B:一般知識+事務所の方針で答えられる質問

 

年末調整の期限、消費税、予定納税など。


法改正が絡むと、最新情報を追う必要があります。

 

ここは「社内のQ&A」と「最新情報」を組み合わせる設計が効きます。

 

  • よくある質問と、事務所の回答方針を1枚のシートに集約

  • 国税庁などの公式情報(PDF含む)を参照しながら回答を組み立て

 

育てるほど、問い合わせ対応が軽くなります。


ポイントはいかに質問をパターン化してAIに学習させるかです。

 

とりあえず全部の情報をドカンとAIに入れてしまえば、いいように思えますが、実は違っていて、情報量が多すぎると逆にAIはバカになります。

 

もっと厳密に言うと、飛ばし飛ばし情報を確認していくことになるので、精度が落ちるって感じですね。

 

これは絶対に頭に入れておいてください。
案外盲点です。

 

5. 付加価値提案:顧問料アップは「情報収集」と「提案の型」で決まる


最終的に、事務所の売上を伸ばすのはここです。

 

補助金・助成金の情報。
地域ごとの施策。


顧問先の状況に合わせた次の一手。

 

しかし、最新情報を追い切るのはベテランでも難しい。

 

AIでできることは、主に2つあります。

 

1つ目は、情報収集の自動化。


「この顧問先なら使えそうな制度」を定期的に拾い、候補を出す。

 

2つ目は、提案の下書き化。


顧問先のWebサイト(公開情報)を読み込ませて、
「何を提案すると刺さりそうか」を叩き台にする。

 

さらに踏み込むと、顧問先の数字(原価率、販管費、広告費など)と組み合わせて、外部パートナー紹介や改善テーマの提案にもつなげられます。

 

できるようになると、顧問先から見た体験はこう変わります。

 

「処理してくれる税理士」から、
「次の一手まで一緒に考えてくれる税理士」へ。

 

3. 小さく始める3ステップ


「でも、何から始めれば……」

大丈夫です。


最初から全部はやりません。

Step 1: 5つの業務を棚卸しする(所要時間30分)

紙でもExcelでもOKです。

5つの業務を書き出して、こう分類します。

 

  • 時間を食っているのはどれか

  • ミスが起きやすいのはどれか

  • 提案に時間を回せていない原因はどれか

 

ここが見えると、打ち手が決まります。

 

Step 2: 1業務で試す(1週間)

 

おすすめは、効果が見えやすいこの2つです。

 

  • 記帳の入力:スキャン→読み取り→Excel/CSV化→人が確認

  • 月次報告の準備:話すポイント3つをAIに候補出しさせる

 

KPIはシンプルで十分です。

 

  • 所要時間:何分減ったか

  • 修正回数:何回手直ししたか

  • 差し戻し:顧問先からの確認が増えたか減ったか
     

Step 3: ルールを1ページにする(2週間後)

 

続けられるかどうかは、技術より運用です。

最低限、これだけ決めてください。

 

  • 入れてよい情報/ダメな情報

  • 匿名化のやり方(顧問先名・個人名を伏せる等)

  • 出力の最終チェック観点(数字、法律、表現)

 

この1ページがあるだけで、現場は動けます。

 

AIは、決して敵ではありません。

 

あなたの仕事を奪うのはAIではなく、AIを活用できる税理士事務所です。

 

個人的には逆にAIを使って新たな仕事を生み出そうとする姿勢が今後重宝されていくのではと思っています。

 

少しでも参考になる点がありましたら幸いです。

 

それでは、本日もお読みいただきありがとうございました!!

 


 

【著者プロフィール】

 

吹上由樹(ふきあげ よしき)
株式会社Lean Stack 代表取締役

 

2021年4月 経済産業省へ入省
2023年7月 経済産業省を退職
2023年9月 株式会社Lean Stack設立

 

弊社HP:https://www.leanstack-buzz.com/

 

YouTubeチャンネル:DXできるくん
https://youtube.com/channel/UC-f1ZI9MiME-GC0l1gwNf4w?si=WeyqGjBSvVXwSaDB

 

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