Barcas の”ゲルマン踏破行” -3ページ目

Barcas の”ゲルマン踏破行”

Aug.20.2010~Barcelona in Spain
Jun.11.2012~Dusseldorf in German


太陽の国から曇天の国へ。
生ハムの国からソーセージの国へ。
陽気なラテンから気難しいゲルマンの地へ・・・・・

対照的な二つの国を比べながら、ヨーロッパの魅力に迫ります!

今回初日から3日間フィレンツェの街に宿泊していましたが、中日にあたる2日目は、フィレンツェの街の外にドライブに出ました。


フィレンツェから南におよそ100㎞ほど下った場所にある『トランジメーノ湖』がその目的地になります。


Barcas の”ゲルマン踏破行”


Barcas の”ゲルマン踏破行”



中部イタリアでは最大のこの湖の湖畔は、今では静かな保養地ですが、私の周囲の日本人でわざわざここに行こうという人はまずいないと思われる地味な場所です。

実際、湖の湖畔のリゾート地区、そして丘の上の村には、結構な数の観光客がいたにもかかわらず、一人として日本人は見かけませんでした。


でも、私にとってここは、どうしても行ってみたかった思い入れの深い場所。


以前にも触れましたが、私達夫婦は塩野七生女史の『ローマ人の物語』を愛読しており、スペイン、イギリス、フランス、ドイツそしてイタリアは、その物語所縁の史跡のまさに宝庫なのです。


かつてカルタゴの英雄、ハンニバル・バルカがローマ軍を壊滅に追い込んだ古戦場がこの湖畔になります。

その時の様子を本の描写でよく覚えている家内は身震いしていましたが、私はやっと来られた感激でそんな感傷に浸ることもなく、ただぼーっと湖を眺めていました。


塩湖だとは聞いていなかったのですが、湖畔で車を降りた瞬間、潮の香りが鼻先を掠めたのが印象的でした。



この湖畔で唯一の町、『Castiglione del Lago』に移動します。

Barcas の”ゲルマン踏破行”

この古戦場近辺では、特産赤ワインがあるのですが、かつてここで命を落としたローマ兵達の赤い血で出来ているという言い伝えを持つ赤ワイン、その名も『Barca』


この土地を有名にした伝説の英雄(敵国ですが・・・)の名を冠したワインなんです。


そうです!

実はここに来たら是非、このワインを買って帰りたかったんです。

“Barcas”を名乗る男が、「Barca」と名付けられたワインを飲まない訳にはいきませんので(笑)


完全に“地酒”なので、ローマなど、他の都会で入手することはかなわず、この機会を待っていました。

実際ローマ、ナポリ、フィレンツェ等の街で必ず一度は探していたにもかかわらず、文字通り影も形も見つかりませんでした。


町に入っていきなりエノテカを見つけて飛び込みましたが、なんと!そこでも見事に“空振り”!!

訊いても『???』の反応しか返って来ません。


その土地のワインなのに、地元で手に入らないのか・・・それまでの高揚した気分はどこへやら、にわかにムクムクと頭をもたげてきた不安を胸に二軒目のショップで・・・見つけました!!!


Barcas の”ゲルマン踏破行”




Barcas の”ゲルマン踏破行”


なんと一番上の棚、あぶなく見過ごすところでした。


Barcas の”ゲルマン踏破行”


しっかりBarcaと書かれてます。


Barcas の”ゲルマン踏破行”


ワインの名前はともかく、美味しいかどうか分からない為、とりあえず5本買ってきました!!

今年中に一本は空けるとして、最低3本は日本に持って帰ってチビチビやりたいですね。

あの青空と湖を思い浮かべながら・・・。


念願のワインを手に入れてすっかりご満悦だったらしく、家内からは『もうこの町は離れても良さそうだね・・・』と言われてしまいました。


次に訪れた町は『モンテプルチアーノ』です。


続く

先週木曜日に身うちの不幸があり、告別式だけでも参列出来ればと、急遽金曜日に

休みをもらって日本に戻って来ました。


仕事の関係上月曜日は休めない為、日曜日中にはデュッセルドルフに戻ってきて

いなければなりません。


欧州時間の金曜日朝(7:25デュッセルドルフ発)のエールフランス便、シャルルドゴール

で乗り継いで日本時間の土曜朝6:30に羽田着。

AM11:30からの告別式に参列してその日の深夜(土曜深夜0:40発)の羽田発便を

使って、再びドゴール経由でデュッセルドルフに戻るという“ウルトラとんぼ返り”でした。


また訃報を聞いた時私は出張でイギリスにいた為、木曜日の19:00頃に戻ってきて

翌朝また日本に向けて出発というスケジュールになったことも多少はハードな感じになりました。


羽田便をとれたことも大きかったと思います。

成田では距離の分だけ時間を取られますから。



さて。

往路便、ドゴール空港から羽田へはJAL便となりますが、機中面白い出来事がありました。


ボーイング777。私は3列シートの通路側。センター席と窓側には年配のフランス人の

ご夫婦がいらっしゃいました。


乗ってすぐに朝食が出た時のことです。


『ハンバーグとマッシュポテト(洋食)』『海老カレーライス(和食)』の二つの選択肢

を提示され、私は洋食、そのご夫婦は和食を選択しました。


またこのご夫婦はワイン党らしく、食事前から注文された赤ワインは次々とお代りされ、

既に4本のミニボトルが並んでいる状況。


私のプレートにはこの他にパンとチーズがついていたのですが、彼らのプレートには

チーズだけ


Barcas の”ゲルマン踏破行”



食事も後半にさしかかり、私のパンとチーズを頬張る姿を横目に彼もチーズを食べ始めた

のですが、そこで彼らはハタと気が付きました。


パンがない!!!


すかさずご主人がCAを呼び


『パンがないけど???』と英語で質問。


CAは、すかさず流暢な英語で


『パンは洋食を選択された方だけにつくもので、和食には付いておりません。

申し訳ございません。』


と返しました。


なるほど・・・と一人納得する私をよそに、ご主人は全く納得しておりません。


『チーズだけがあってパンがないのはおかしい。このチーズはどうやって食べろと?』


と切り返してきました。


CAは


『申し訳ございません。そいう決まりでございまして・・・』


と私の席を間に挟んで苦しい応酬が続きます。


『Strange・・・』


ご主人が奥さんと顔を見合わせて呟かれた言葉です。



なるほど・・・確かにフランス人のご夫婦からすれば、デザートでチーズが付いている以上

パンがないのは不自然という考え方なのでしょうが、一方で“和食”というカテゴリーに分類

している以上、航空会社としてはパンはつけない(ライスがある)という決まりにしたのでしょう。


第三者の立場からみると、これはやはり、JAL側にやや文化的な配慮が欠けていたと

言わざるを得ません。


エールフランスとJALのコードシェア便。


外国人の旅客も当然多く利用されることを考えると、“チーズ”というものを外国人がどう捉える

のか、その食文化を考慮しておく必要があるでしょう。


そもそも和食というカテゴリーに分類した海老カレーライスにチーズだけを中途半端に

付けておくからこういう面倒な事態になるとも言えます。



しかし・・・本題はこれからです。


数分後、件のCAはきちんとパンを持って現れたのです!!


『これをどうぞ』


と添えて。


もちろんフランス人ご夫婦は喜んで受け取られていました。



私は思いました。

さすがはJAL!これぞ日本のサービスだと。

他の航空会社では、なかなかこうはいかないだろうとも。


その一方でこうも思いました。

確かに感心するサービスではあるけど、このサービスは彼のフランス人ご夫婦にどれだけの

インパクトを与えるだとうか・・・!?と。


サービスをするなら、当然何かの報酬が必要になります。

この場合であれば、きめ細かい日本のサービスを受けて喜ぶお客様が次回もJALを

選んでくれれば、このサービスは効果的であったということになりますね。



ただこの場合どうでしょうか。

このような“きめ細かいサービス”の積み重ねはJALの期待通り次回の航空会社選択に

繋がるのでしょうか・・・。


もしこのようなJALのサービスに感銘を受けたとしても、航空運賃が往復で、例えば2万円

以上違ったら多分お客さんは安い方に流れるでしょう。


このケースでは『“きめ細かい無料サービス”は素晴らしいが、2万円の価値はない』

と判断されてしまったということです。


グローバルな競争がし烈化している現在、航空会社も厳しい価格競争に巻き込まれています。


現実には数千円単位での競争になっていることから考えると、このような身を切る型(パン無料)

サービスは結果的にはその企業のコストだけを増大させて、リターンは少ないということに

なりはしないだろうか・・・。


そう考えると、本当はこのケースではパンの無料サービスは控える、またはパンを別注文と

考えて支払いを求めるべきなのかもしれません。


でも、その場合は“日本式のきめ細かい配慮”が失われることになるでしょう・・・難しいところです。




日本のサービスと外国のサービスは同じサービスでも中身が違うと前から感じておりました。



日本式サービスは『対価を求めない好意&配慮=フリー(無料)が前提』

外国のサービスは『付加価値であって、当然サービスには対価が伴う』



日本で言う『これサービスしておきますから!!』という商売上の表現を見ればわかります。


ここで言うサービスとは無料であって、もしここで対価(もしくはチップ)を求めたら

『お金を取るならサービスじゃないじゃん!!』と憤る日本人は少なくないはずです。


そう、日本の文化ではサービスは原則フリー(無料)なんです。

対価を求める下心はあってもいいが、露骨に見えては美しくない、ということでしょうか。


どっちがいいとか悪いとかではなく、これは慣習の違いと考える他はありません。


が・・・少なくともこの慣習の為に、日本ではサービスを付加価値として金額に乗せる商売が

成り立ち辛いことは確かでしょうね。


サービスで儲ける欧米型企業と競争しなくてはならない日本の製造業に携わる人間としては

厳しい環境です。



ところでこの話には若干のオチがあります。

件の“パン事件”から数時間後のこと。


このご夫婦は揃って“機内散歩”に出かけられました。

“エコノミークラス症候群”を慮ってのことでしょうか。


彼らがしばらく帰って来ない内に、今度は菓子パンサービスが始まりました。


Barcas の”ゲルマン踏破行”



機内散歩中でご夫婦が空席の私達の列までやってきた先のCAさん。


いきなり私にパン3つ渡したかと思うと。。。。


『あの・・・英語出来ますか?先のご夫婦が戻られたら「これから先5時間程食事の

サービスはないので、その間はこのパンを食べて繋いで下さい。」と伝えていただけ

ますか?』!!!


いや・・・そりゃー伝えるのは構いませんけど、それを客に言わせるのはどーなのよ??

こっちから自発的に提案したならともかく・・・。



うるさいフランス人ご夫婦とこれ以上関わりたくなかったのか、本当に忙しくて改めてパンを

持って説明に来る時間がなかったのか・・・。


いずれにしてもこのCAさん、パンを余分にサービスした分はしっかり個人的に“元はとった”ようで・・・。

これでチャラということでしょうか。


まあ、私も退屈しのぎにじっくりやりとりを見させていただいたので、CAさんの依頼を快諾

させていただいたことは、ここに加えさせていただきたいと思います。


次回から、またイタリア旅行記に戻ります。

マナローラ(Manarola)での腹ごしらえで息を吹き返した私達は、最後の村『リオマッジョーレ』に向かいました。


ここは人口2000人、5つの村の中では最も大きな村です。



Barcas の”ゲルマン踏破行”


リオマッジョーレでも海鮮フリットが!

家内は、先ほどのイカのスナックの味が忘れられなかったらしく、もう一度食べたくて仕方なかったようですが、時間は既に15:30過ぎ。

夜の食事の時間(19:30~)を考えると・・・自重しておこうかという結論に。


Barcas の”ゲルマン踏破行”


行きは電車でモンテロッソから一駅ごとに各村を周ってきましたが、帰りは船でモンテロッソまで戻ります。



Barcas の”ゲルマン踏破行”


船が出港しました。リオマッジョーレの全景です。


Barcas の”ゲルマン踏破行”


隣村のマナローラの港です。

岩の間に船待ち人の姿が見えます。


Barcas の”ゲルマン踏破行”

マナローラの全景。


Barcas の”ゲルマン踏破行”

徐々にマナローラが遠ざかります。

Barcas の”ゲルマン踏破行”


さらに隣村のコルニリア


Barcas の”ゲルマン踏破行”

そしてベルナッソ


Barcas の”ゲルマン踏破行”


ベルナッソと一番奥のリオマッジョーレ。


Barcas の”ゲルマン踏破行”


そして私達が宿泊しているモンテロッソの町に戻って参りました。


Barcas の”ゲルマン踏破行”

リオマッジョーレに到着してから曇り気味でだった天気は、また晴天に。


Barcas の”ゲルマン踏破行”

狭いビーチにパラソルが密集しています。

地中海は潮の満ち引きがないので、これでOKなんでしょうね。



さて、無事5つの村全部を見て周ることができ、あとはホテルに戻って夕食までの休憩するだけですが、

実はこのチンクェテッレでの食経験にはもう一つ目標がありました。

この村の見所をご紹介いただいたブロガーさんから、せっかくチンクェテッレに来たのであれば、是非食べて来た方が良いとお薦めいただいていた『ファリナータ(Farinata)』です。


ブロガーさんからの“推薦状”をご紹介すると


・「ファリナータ(Farinata)」と呼ばれる、ひよこ豆の粉をオリーブオイルなどで練って焼いたピッツアのような形状のもの。

・これはこの地区でしか頂くことが出来ず、なおかつ今ではこの地区でも焼いて売っている店が
ひじょうに少ない。

・白ワインと良く合う


・モンテロッソのチェントロ入口広場(噴水がある)を過ぎて海を背にして左手にあるバールのような店でファリナータを焼いて売っていた。



このファリナータ、どういうわけか私も家内もてっきり『リオマッジョーレ』にあると思いこんでおり、町外れまで散々探しまわったのですが、どうしても見つからない。

途中で『違った!!リオマッジョーレではなくてモンテロッソ(宿泊している町)だった!!!』と判明し、今ようやく船で戻って来たわけです。


チェントロ入り口広場の左手のバール・・・あった!!!ちゃんと店の外看板にもピザ、フォカッチャに続いて書いてあるじゃありませんか!


Barcas の”ゲルマン踏破行”


私よりもむしろ家内がいさんで乗り込み、勢いよく注文したまでは良かったのですが・・・・・


『本日売り切れ』・・・・・・・・・


この時の脱力感は、ちょっと他では例えようがありません。

チンクェは次の日の朝出発の予定でしたから、もうあまり時間がありません。

明朝早くにもう一度このお店を訪れるにしても、果たして早朝からお目当ての商品が並んでいるかどうか・・・日本じゃありませんから。


どうしても諦めきれない私達は、近くのレストランのメニューにファリナータがないか訊いて周りましたが、皆一葉に『チェントロ入口の噴水横のバールにあるよ!』という答え。いや、そこは売り切れなんですけど・・・。


心を残しつつもホテルに向かってとぼとぼと戻り始める私達(大人)。

今頃になってこの日の疲れが襲ってきたかのように足取りは重くなりがちです。


ホテルまであと5分少々の距離まで来た時。


通り沿いに一軒のパン屋さんを見つけました。


未練たらたらの家内と私は『ひょっとするとパン屋さんになら・・・・・』と最後の希望をこの店に託す気になりました。

でも、どうせないだろう・・・と諦め半分の私を尻目に、お店に乗り込んだ家内から遂に“勝利の叫び”が聞こえて来るまでにそう時間はかかりませんでした。


やっと見つけたファリナータです。


Barcas の”ゲルマン踏破行”



Barcas の”ゲルマン踏破行”

お薦めに従い、白ワインをグラスで注文しました。

本当に相性ピッタリでしたよ~。

あっさり感があるひよこ豆にオリーブ油の甘みが加わり、癖になる味です。


早速家内には『ファリナータを作って欲しい!』と注文を出しておきました。

家内からの答えは・・・ご想像におまかせします・・・。



店内の壁にあるメニューをみると、一口にファリナータと言ってもどうも幾つかバリエーションがある様子。

私達が食べたのはトラディッショナルでしょう。


Barcas の”ゲルマン踏破行”


その日の夕食はホテル近場で済ませ、大満足のチンクェテッレ編は終了です。

翌朝10:30頃、私達は次の目的地であるALBA(アルバ)に向かって出発しました。



つづく