「死ぬときに後悔しない生き方」内藤いづみ著(総合法令出版)

 

 

この本は、70代を過ぎて死への恐怖を感じている私の友達の少しでも励みになればと思って買いました。

友達に渡す前に先に読ませてもらいました。

 

この本には、在宅ホスピス医の内藤いづみさんが寄り添った方々の感動的なお話が載っています。

 

内藤さんのこの本で、特にそうだなと思ったのは(注: 内容を少し要約しました)

 

「終活」という言葉は目標に死があって、それに向かって生きている感じで、「いま」を生きる感じがしなくて楽しくない。

 

私達の目標は死ぬことではなく、いまを生きること。 最後の日のために今日何をすべきかではなく、いまを生きること。

 

今日をクリアにしておくことで、明日をもう少し深く生きることができる。

 

やらなければならないことを残していると、なかなか新しいことはできない。

 

死ぬために荷物を少なくしようというのではなく、新しい時間と空間をつくるためだと考えたら、その過程もポジティブなものに変わる。 

その結果、明日はより充実したものになるはず。

 

そうした日々を繰り返し、後に振り返ったら「良い人生だったな」と思えるのでは?と。  

 

あと私の好きなネイティブアメリカンの教えが引用されていました。

「人は生まれるとき、生まれてくる者が泣き、迎える人たちは笑う。死ぬときは送る人が泣き、死ぬ人が笑う。そんな人生でありたい」

 

 

この本と、先に薦められて読んだ「老いとは何かを伝えたい」新福尚武著(婦人之友社)

 

この本でそうだなと思ったのは、「老人観」の改め。

 

日本では、老いはいろいろと失っていき、老人は暗い悲しい哀れなものというようなイメージがある。

周囲からそう見られ、本人自身もそのようなイメージから脱却できずに悩み苦しんでいる多くの老人に接してきた精神科医の作者だからこそ、老いを正しくとらえ、それによく付き合うことを伝えたいと思って執筆なさった本。

 

私は人の名前がすぐに出てこず、「ボケの始まりかな~まずいな~」と心配していたのですが、この本に「正常なもの忘れ」と「ぼけのもの忘れ」の比較があって(P.118)、私のもの忘れは今のところ「正常なもの忘れ」とわかってホッ。

 

老いを迎える人は心身両面にわたって健やかに老いることを心がけなければならないけれど、予防すべき慢性病は

1,動脈硬化

2.糖尿病

3,肝障害

4.肥満、運動不足

 

動脈硬化は正常な老化現象として生理的に起こるもの。病的な動脈硬化は体質にもよるが高血圧、高脂血(コレステロール、中性脂肪の高値)、ストレス浸けの環境と関係が深く、脳卒中(脳出血、脳梗塞)の原因となるとのこと。

 

なるほどな~と思ったのは、作者によると、日本の老人は、「生きがいがはたらくこと」 に結びついていることが多いけれど、それは日本文化とのつながりが大きいと。

 

「罪を犯した罰として働かされる」という西欧の思想と違って、日本には「はたらくことが天意」で、はたらくことは「はた」を楽にすることという哲学があるので、はたらくことが生きがいの源となりやすい。

 

だから退職をして、働くことがなくなった場合、生きがいがなくなり、鬱や病気になっていくケースが多いのか!?

日本人の性質として、仕事でなくても何らかの活動をすることが老年の日本人には特に重要なのかもしれないと思いました。

 

本に「若さの文化」と「老いの文化」の比較も本著に書かれてあります(P.204)

 

「若」と「老」の対比は、

未熟に対して成熟、動に対して静、浅薄に対して深厚、華美に対して優雅、争いに対して和、断片に対して全体、分析に対して総合、自己主張に対して去私則天、刹那に対して永遠

 

「若さの文化」は認められているものの、「老いの文化」の確立の急務を作者は訴えます。

 

老若それぞれがその特色を発揮しながら、多層的構造の総合的文化を実現したら未来の新しい世界の形成に大いに寄与するだろうと。

 

この本を読んで...

・健全に老いを慢性病にならないよう努力する。

・仕事以外にも何か楽しみを見つけて、楽しいことに時間をとることを忘れない。

・今後とも若い人達からは新しいことや考えを学び、先輩方からは経験に基づいた知恵や考えを学んでいきたい。

 

と、思いました。

 

 

ご両親を長年お一人で介護して看取った友達。

長い介護が終わって、一人になっていろいろと考えるのでしょう。

 

友達がこれらの本で少しでも元気になりますように❣️