今日はWF-NET(ウーマンフードネット、女性で食品ビジネスに関わっている人々のネットワーク)のオンライン講習会。

 

アサヒ飲料㈱の大越洋二常務取締役兼常務執行役員に

「CSV活動を通じたロングセラーブランドのマネジメント〈「カルピス」の事例)」

について講義をしていただきました。

 

 

カルピス㈱はアサヒ飲料㈱と2013年に営業統合され、2016年に完全統合。

統合直後はアサヒ飲料で3位の売上だったのが、今ではNo.1の売上げとのこと。

 

「カルピス」は1919年に”日本初の乳酸菌飲料”として誕生した100年ブランド。

乳酸菌と酵母菌による2回発酵で世界的にもユニークな製造方法。

「カルピス」の生みの親の三島海雲氏は「カルピス」の基本価値とは=お客様に約束していること。

1.おいしいこと

2.滋養になること

3.安心感のあること

4.経済的であること

 

+情緒イメージ(夏、水玉、天の川、氷の音、朝顔グラス、初恋の味、絆、...)

 

カルピスはこの4つの基本的価値を磨き、70年代くらいまでは成長したが、市場の変化に対応出来ず、苦戦した時期があった。

カルピスは希釈して家で飲むものだったのに、1970年代後半から80年代にかけて清涼飲料は自動販売機やコンビニでの販売が拡大し、希釈飲料だったカルピスは苦戦(希釈したまま置いておくと下に沈殿する)。そこで安定的に品質を保て均質化する技術を確立して1991年「カルピスウォーター」を発売。それが空前の大ヒット!

 

ブランドの価値を正しく伝えるために、ブランドを大切にする人材の育成(社員や関係者全員が心の底からブランドを想う気持ちが重要)

社員一人ひとりがブランドを深く理解するためのテキストを準備し、「ブランドマスター」認定試験を実施。

 

ブランドを通じたCVS活動として、

 ・関東大震災での日比谷公園での一杯のカルピス

 ・グローバルな社会貢献活動

 ・「ひなまつりプレゼント」として幼稚園・保育園にカルピスを半世紀以上プレゼント実施(1963年の開始以来、延べ1億2,800万人を超えるこども達に1人1杯分のカルピスを贈呈。

 ・牛乳が苦手な人でも飲めるような植物(豆乳)ベースの新しいカルピス「GREEN CALPIS」を発売。

 ・日本の伝統文化である「発酵」の価値を世の中に伝播する活動を実施。

 ・コロナ禍の活動として医療従事者への支援や「おうち時間を楽しもう」活動の実施等。

 ・英語でCALPISは響きがよくないので(cow piss 牛のおしっこと聞こえる)欧米用にはCALPICOとして販売。

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カルピスの歴史、取り組みのお話をお聞きし、感動したのですが、私が一番印象に残ったのが、「カルピス」の生みの親である三島海雲氏のこと。

 

三島海雲氏は大阪のお寺の息子で西本願寺でも学び、「利他の心」を重視した方とのこと。

カルピスが社会貢献活動をしている根底には創業者の想い、”国利民福”「国と人の幸せに貢献したい」があるといいます。

 

三島海雲氏の想い

「私心を離れよ。そして大志をもて。人間である限り、欲望のない者はない。だが、その欲望は、小さな私欲でなく、もっと大きく、国家、社会に利福をもたらすような欲望をもつことである。」

 

三島海雲氏の強い想いを社員の皆さんが理解し、引き継いできたからこそ、カルピスは人々から100年も愛され続けてきたのだと納得しました。

 

胸に響く素晴らしいお話でした。

カルピスは懐かしい味で、孫にも特別な飲み物として与えているのですが、お話をお聞きして新たな気持ちで有難くいただきたいと思いました。GREEN CALPISも飲んでみたいです。