米国オーガニック・トレード協会では毎年、オーガニックに貢献したリーダー的な人々を表彰します。

 

今年も2名と1夫婦が選ばれました。

https://ota.com/news/press-releases/20271

 

その内の一人がMargaret Scoles さん。IOIA(International Organic Inspectors Association 国際オーガニック検査員協会)のExcecutive Director。受賞した賞は"GROWING THE ORGANIC INDUSTRY"。

 

他の一人はJaviar Zamoraさんで”RISING STAR"賞を受賞(1986年にアメリカに移住して、それ以来農業の勉強もし、今では大きな農場を経営し、従事者にも良い賃金を支払い、ローカルで小規模経営の生産者の良い成功例のロールモデルとなったため)。 Stephanie and Blake Alexandre 夫妻は”ORGANIC FARMERS OF THE YEAR"賞を受賞。アレキサンダー夫妻はカリフォルニア州で酪農から始め、今では養鶏、鶏卵、放牧豚と牛の飼育、そして今では牛乳や乳製品の製造も家族で運営して(全てオーガニック!)、また若者への教育へも力を注いでいることなどから受賞となりました。

 

記事を読むだけで皆さんに心から拍手を送りたいと思いました。

その中でもやはり先輩であり、仲間であるIOIAのマーガレットの受賞は検査員の私達にとって本当にうれしいことでした。

 

IOIAは私がオーガニック検査員の資格を得た組織であり、その後、立ち上げた日本オーガニック検査員協会(JOIA)の姉妹組織であります。

 

JOIAの検査技術講習会を受講した際はIOIAの検査技術講習会を受講したことにもなるのですが、IOIAは世界初のオーガニック検査員を養成する組織であり、世界で活躍する多くの検査員を輩出してきました。世界の多くの認証機関や政府関係者へのオーガニック検査技術指導も実施してきています。

 

マーガレットさんの言葉から...

「検査員は見えない存在だけれど、事業者と消費者間の重要なリンクです。検査員はラベルにオーガニックと書かれてある時、本当にそれがオーガニックであることをしっかり確認するのです。IOIAは世界中の検査員コミュニティを繋げ、検査員の声を集めて発信するためにも存在します。検査員の養成はIOIAにとって大きなミッションではありますが、ミッションはそれだけではないのです。しっかり訓練された能力ある検査員による厳格な検査を激励することも私の仕事だと思っています」

 

「この受賞は”私達の受賞”です。検査員が認証のプロセスにおいて重要なリンクであるということが認められたのです。」

 

オーガニック検査員は基準をしっかり把握し、検査前の検査場所の予習をしっかり行ってから現地に向かいますが、たいていの場合遠方が多い。

現地では生産者がしっかり基準を理解し、基準に見合った生産をしているかをてきぱきと確認してこなければなりません。また帰宅してからも報告書の作成があります。

 

検査内容は機密保持のため、誰にも言うことが出来ず。報告書で現地を見ていない判定員が状況を把握しやすいような報告書を時間をかけて書き上げても認証機関の人々と判定員が読むだけで他に見せることもなく...。自分で自分を褒めるしかなく...。

私は子どもが寝静まった夜中に報告書を書き上げて、「やった~!」と一人でよく拍手したものです。

 

オーガニック検査の仕事は決してたやすいものではないのですが、残念ながら日本におけるオーガニック検査員の収入は仕事量に見合ったものではありません。

しかしながら、素晴らしい生産者や製造業者の方々とお会いすることができ、取り組みも実際に見て、これらの生産者を客観的に報告することによってサポートできるという喜びがあるから私は続けられてきたのだと思います。

 

オーガニック認証品が出回るためには陰でオーガニック検査員が活躍しているのです。
マーガレットの受賞により、オーガニック検査員のオーガニック産業への貢献が認められて本当に嬉しいです。

 

将来的には日本でもオーガニック検査員の仕事がもっと認められて、報酬も仕事に見合ったものになることが私の夢です。