先日のリーダーシップ111で元最高裁判事の櫻井龍子さんからのお話で、今まで私が知らなかった最高裁の仕組みや事件内容の変化など知ることができ、お話に聞き入ってしまいました。

 

素晴らしい弁護士や裁判官との出会いがあり、弁護士は弱い人を助ける素晴らしい仕事だと思い、一時、頑張って勉強して弁護士か裁判官を目指そうかとチラッと思ったことがあったのですが、もちろんそんな頭はないし、話も上手じゃないし...諦めました。

 

でも今回櫻井さんのお話をお聞きして、裁判官のお仕事が想像以上にどんなに大変なことかがわかりました。

 

下記にお聞きした話の内容をメモ書きしますが、私の聞き間違いがある点もありますが、ご了承ください。

 

・最高裁判は個別紛争の対応手段。判決を整理。
 

・最高裁判所の役割は①法令解釈の統一、②違憲立法(行政)審査権の行使
 

・最高裁の裁判官は14名。内、6名が裁判官プロパー(30年以上の経験あるベテラン裁判官)、4名が弁護士(弁護士会から推薦)、2名が検察官、2名が行政担当者、1名が学者。櫻井さんは労働省に23歳から勤務していて平成20年から8年4か月間、行政担当者として判事に(70歳で引退)。このようにバックグラウンドが違うメンバーで成り立っているのは世界的に見てもユニーク。

 

・長官は天皇(内閣が決めた人を天皇が認証)、14名の裁判官は内閣が任命。誰がどのように選ばれるかわからない。
 

・立法府は新しい法改正はしないので案件は裁判所に持ってくる。その案件を個別に対応している。(裁判所は立法機能を持っている)
 

・全新受事件の最近5年間の推移として全事件数は減少(平成23年=4,059,782件、平成27年=3,529,977件)。民事・行政事件、刑事事件等、少年事件が減少する中で増えているのが家事事件(平成23年=815,523件、平成27年=970,018件)。家事事件は離婚や相続で、今まで家裁どまりであった案件が最高裁まで上がってきている。
 

・70年前に法律は作られて昭和に改正はあっても70年経っていると当時予想できなかった事例が次から次へと出てきてその度に対応しないといけない。例えとして、生殖医療や性同一性障害等。平成15年に特例法ができて、女性が男性に性を変えることが認められた。男性になった元女性が、女性と結婚して、女性が他の精子をもらって妊娠した場合、民法第772条で妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定するとあるが、特例法によって男性になった場合、夫の子と推定できると2013年12月に決定。

 

・最高裁判所に上告される裁判は1年に6000件あり、小法廷(5人X3名)は1年に2000件対応。(大法廷は重大な案件を15名で対応)。調査官(第一線の優秀なそれぞれの分野の裁判官)40名も補佐で文書審査。

 

・判事は一日10~30件のあらゆる事件の文書を集中して読まされる。

 

・男女3000人の裁判官がいて、その2割が女性。司法分野における女性の割合の推移は上昇しているもののまだ20%。最高裁は女性2-3名。検察官は女性は少ない。家裁には女性がいる。

 

・最高裁判事の仕事は気力、体力、知力がすりへるが、裁判官というのは中立公正が求められ、女性に向いている仕事。独立した仕事で残業はなく子育てと両立できる。宅調(家で調査)も週1回OK。3年に1回は転勤があるが、夫も裁判官だったら一緒に転勤できる。

 

・最高裁の判決に現れた女性の地位の状況として(櫻井さんが関わった案件)

 ①家族法関係事件の増加(再婚禁止期間一部違憲判決平成27年12月)ー女性のみ離婚した後、半年再婚できないとする民法の規定が100日を超える部分については憲法に違反すると判断された。

  夫婦同氏規定合憲判決(昨年、職場での旧姓使用が認められた)

 ②女性労働者の増加に伴う関係法令の拡充と訴訟

   マタハラ判決(平成26年10月)-均等法、育児法等

   セクハラ判決(平成27年2月)←言葉によるセクハラ

 

・今後の課題として、各級裁判所の裁判官のダイバーシティの推進。女性の率を高めないといけないが、その前に司法に関わる女性が増えないといけない。

 

・今後の課題として、訴訟による解決の支援(日本の個別紛争解決型司法の限界)。