先日、あるお母さんと面談をしました。

 

1年前、息子さんは中学に入学してからなかなか勉強についていけず、

日々の宿題や提出物をこなすことでいっぱいいっぱいになっていました。

ご両親はとても愛情深く、なんとか力になろうと

毎日宿題のサポートを熱心にしていました。

 

でも、一生懸命になるあまり

ご両親も息子さん自身もストレスや疲れがどんどん膨らみ

親子関係は悪化、お母さんもとてもつらそうに見えました。

 

その状況を見て私は

「息子さんとご両親の、今現在の幸せが一番大切なのではないでしょうか」

とお伝えしました。

お子さんが困らないようにするために

ベストを尽くすことは必要なのですが

お互いにボロボロになってまで頑張るのは違うような気がしたのです。

 

それに、他の皆さんと同じ宿題をこなすことは

その生徒さんには合っていないと感じていました。

お母さんには

お子さんのニーズに合った宿題を出していただけるよう

学校に相談してみることを提案しました。

 

その後、学校の先生方はとてもよく理解してくださり

宿題の量や内容を柔軟に変えてくれたのです。

「他の生徒たちだって忙しくても頑張ってやってるんだから

君だけラクな宿題を出すわけにはいかないよ」

なんて未だにおっしゃる先生方も多いのに

個別に対応していただけて、本当によかったです。

 

それからは無理なく自分のペースで家庭学習ができるようになり

親子関係もよくなったとのことでした。

1年前のお母さんのつらそうだった顔に、今は笑顔が増え

息子さんもいい表情で、自分の勉強を頑張っています。

 

学習面での困難が大きいお子さんの場合、

やはりどうしても一般的な学習内容、学習量をこなすのには

無理があるのが現実です。

ただ、どこまで頑張れるのか、どこまで伸びるのかについては

当然個人差がありわからないので

私たちも最初から、彼らが頑張ろうとしていることを

「やらなくていいよ」とは言えません。

 

見極めるポイントは

”本人がつらそうにしているか”

”保護者がつらそうにしているか”

の2つかな、と思います。

普段から見ていて、

この度合いが高まり「ちょっと危険だな」と感じたら

やり方を大きく変える提案をさせていただいています。

 

いくら将来のためとはいえ

子どもを思うがゆえのこととはいえ

今現在の親子の時間と幸せを犠牲にしてまで

周りについていくことにこだわる必要はないと思うからです。

 

皆と同じではなくても将来幸せになれる別の方法を

また一緒に考えていけばいいのではないでしょうか。

 

不登校生徒数が全国ワースト1の宮城で

今苦しんでいる子どもを

どうしたら一人でも多く守れるのか・・・

 

それぞれに違う理由はあると思います。

それでも全てに絡むのは

「皆に同じことを求める”集団教育”から

一人ひとりのニーズに合わせた”個別教育”へ」

というキーワード。

思いきったシフト転換が必要だと感じている先生方は

学校現場でもきっと増えているはずです・・・