平成24年春の叙勲(29日付発令)が発表され、県関係者では242人が受章した。このうち瑞宝単光章を受けた千葉市の写真家、穴原(あなはら)博さん(63)に喜びの声を聞いた。
30年以上にわたって県の写真技能検定委員を務め、若きカメラマンたちを見つめ続けてきた。
「合格する人は会場に入ってからの動きを見るだけで分かる」という。その目は柔和そのものだが、カメラのファインダーをのぞくときは一転して鋭くなる。
医師だった父親の趣味が写真だった影響で、5歳のときからカメラに触れていた。現在、千葉市中央区で写真スタジオ「アン・コマーシャルフォト」を経営している。
長くフリーの写真家として、美術、報道、広告など幅広い分野で撮影。活動の場は国内にとどまらず、世界に及んだ。一方で、母校の千葉工業大学や写真専門学校などで30年間にわたって後進の指導にも当たってきた。
「世の中の流れを見ることができないと、単なる(カメラの)オペレーターになってしまう」
近年、写真学校では操作方法などを教えることが主になっているが、「写真を撮る『姿勢』こそ大切」と生徒に説いてきた。被写体選びだけでなく、同じ被写体でも撮り方一つで訴える内容が変わる。敏感に世の中の流れを写真に反映させることが重要という。
「ただ、言われたままに撮るだけではだめ」。その教えを受けた生徒たちは3千~4千人に上り、現在も各業界で活躍している。
「流れを見ることが大切」なだけに、写真検定では受検者が持参した荷物を置く位置などでも「最初から先の流れを読み、次の自分の行動につながったり、邪魔にならなかったりするようできる人は、だいたい合格した」と振り返る。
実は軍医だった祖父も日露戦争時の功績が認められ、100年以上前に同じ瑞宝章を授章している。「この上ない光栄なこと」と喜びを表し、授章式には祖父が受章時に着たフロックコートの現物を着ていくつもりだ。
出典:MSN産経ニュース