映画の魅力の一つは、行ったことも見たこともない場所のことを疑似体験させてくれることにあると思いますが、この作品は自分には馴染みのないレバノンという国でどのようなことが起こっているのかを「体験」させてくれたという意味で、映画の魅力を感じさせてくれます。


12歳の少年ゼインが、両親を訴える、というショッキングな場面からこの映画は始まります。しかもその理由は「自分を勝手に産んだこと」。そこに至る背景を追っていく形で物語は進んでいきますが、そこにあるのはレバノンにある絶望的なまでの貧困。出生証明もないゼインは社会にとって「存在しない子供」として扱われながらも、懸命に生き延びていきます。その力強さ、健気さがいじらしい。蛇口をひねっても汚い水しか出てこないのに対して「なんて国だ!」と12歳の子供が毒づくところに、豊かな国に住む自分たちとの圧倒的な違いを感じました。


親にも見捨てられ絶望的な状況の中で終始笑うことを忘れたかのようなゼインが、最後に見せるはにかんだ笑顔に一筋の光明が見えた気がして救われました。




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