先日の神戸出張の機会に、尼崎市にある教育者・哲学者の森信三先生の資料館、「実践人の家」に行ってきました。
神戸のホテルに着いたのが15時半頃で、ホームページに17時までとあり、「来館の際には事前にお電話を」とあったので、急いで電話したところ、通常は16時頃には閉めてしまう、ということでしたが、待っていて下さるとのことで急いで出かけました。
三宮からJRで尼崎の手前の立花で下車。そこからiPhoneの地図を頼りに歩くこと10分弱、普通の住宅街の中に、これまたごく普通の住宅として建っていました。それもそのはず、ここは資料館というものの、森信三先生が晩年の一時期暮らしていたご自宅を、多くの蔵書や資料を展示するために昨年から資料館として公開されている場所でした。
チャイムを押して玄関を入ると、正面の畳の部屋にご年配の男性が正座しておられました。ご挨拶して中に入り「森信三の息子の森です」とおっしゃって差し出されたお名刺を見ると、なんと森信三先生の三男、森迪彦氏でした。ご子息直々にご案内頂ける、ということで恐縮するとともに大感激でした。森信三先生は晩年77歳から88歳までの時期をこの家で一人で過ごされ、脳血栓で倒れられてからは97歳で亡くなるまで迪彦氏宅で同居されていたそうです。
1階の居間には略歴パネルや蔵書の展示、直筆の書、そして小さな座像が展示されていました。迪彦氏から一つ一つ丁寧にご説明頂き、西晋一郎、西田幾多郎、芦田恵之助といった師や、東井義雄、坂村真民といった弟子とも言える人々との関係を知ることができました。
略歴パネル
書と座像
階段を上って2階には、先生が寝起きし、書斎として使っていた部屋と別室があります。
実際に先生が座っていた書斎机の前に座ると、何だか背筋が伸びる気分でした。
ここには自分が最初に読んで感動した先生の主著『修身教授録』の原稿もありました。
また、先生は特に江戸時代初期の陽明学者で近江聖人と呼ばれた中江藤樹を尊敬されていたそうです。
最後に関連書籍を数冊購入し、資料館を後にしました。
閉館間近に到着したにも関わらず、快く迎えて頂き、また1時間以上も丁寧に説明をして頂けて大感激でした。森信三先生の存在を少し身近に感じることができ、先生が唱えられた「立腰」の如く、自然と背筋が伸びる場所でした。また改めて『修身教授録』を読み返したいと思いました。