ライフデザイン学科 3年 斉藤 浩史

 今回のローカルデザイン研究会は坂井暖子さんをゲストに招き、「笑うまちぐゎー、おばぁーラッパァーズとスローデザイン」というテーマで話を聞いた。

 1.栄町市場とは

 栄町市場は、沖縄の県都那覇市の中心市街地の一角、交通の要衝である安里交差点に位置する古くからの市場である。第二次世界大戦後、米軍統治下におかれた那覇で最も早く闇市として発達した。その後、昭和30年代に整備され現在に至っている。

 栄町市場はいわゆる通りを中心とした商店街とは異なり、面として一塊りとなった市場を形成している。面積1.3ヘクタール程の中に建物が密集してありその足下部分に100を超える店舗がひしめきあっていて、迷路のようになっているのだ。

 しかし、新都市地区などへの郊外型大型商業施設の急速な立地や車社会への傾倒などの影響もあり、バブル以降10数年、栄町市場は厳しい状況が続いていた。

 2.栄町市場の復活

 栄町市場の人々は、市場が活性化することをあきらめていた。しかし、市場を利用する人が減った訳ではないのだ。商店の人と利用する人の認識の違いが問題だったのだ。栄町市場には、地域資源になるものがあることや、地域の人々の1つ屋根の下に暮らす大きな家族のような温かい人間関係という魅力があったのだ。

 栄町市場の活性化のために、栄町市場ファンクラブができた。このファンクラブは、市場の人は入れないというのが特徴である。20代から30代の人が中心となっている。さまざまな職業の人たちが集まっているので、栄町市場の活性化に貢献している。

 栄町市場では、いろいろなイベントを行った。1つは、栄町市場マンスリーイベントである。このイベントは元金がなくアイディアと知恵を出し合って作られた。ボランティアの人たちにも助けられたのだ。デザイナーズフリーマーケットなど、自分たちで物を作り、出すことによって若い人たちにも関心を持ってもらえた。他にも、エコ・マーケット化への取り組みがある。地域の循環システムの核になる、エコアップとなることを目途として生ゴミのコンポスト実験2回、ラッキーチケットつき空き缶回収機を設置し、空き缶のリサイクルを進めるとともに、エコステーションの設置、運営を行っている。また、周辺地域とのつながりを強化するためにエコマネーという地域通貨を作った。

 子どもの興味をもつ忍者祭りや、子どもたちがシャッターに絵を書くシャッターペイントというイベントも行った。

 栄町市場は、地域に対してなにができるか、周辺地域との関係をどのように結んでいくかを模索し続けている。

 3.おばぁラッパーズ

 栄町市場には、市場を有名にした人気のグループがいる。そのグループは、「栄町市場おばぁラッパーズ」である。

 ことの発端は、おばぁがラップを歌ったたら面白いのではないかというものだった。

 栄町市場にはミュージシャンが多い。昔ながらの雰囲気が残っている市場を好きな若者がお店をだす。その若者が、ミュージシャンだったり、客がミュージシャンだったりアーティストが多かった。さらに、昔ながらの繁華街だけあって、芸達者な店主や歌で優勝経験のある人もいたりして芸能の宝庫であった。

 芸能の宝庫である栄町市場では、実行委員会を作りCDを作った。いろいろなひとの協力によって栄町市場は知名度が上がっていき、地域が活性化したのだ。「おばぁラッパーズ」は、マスコミの注目をあび、県内テレビやラジオ、新聞がとりあげ、県内の一般レコード店でCDが販売された。そして、県外からも反響があり「おばぁラッパーズ」は有名になった。

 4.感想

 今回のローカルデザイン研究会の話を聞いて私が思ったことは、地域の活性化に必要なことは、地域の「らしさ」が大切なのだと思った。他の地域とは違う何かが、それぞれの地域にはあるはず。それをどのように活かすかが地域づくりには必要なのだと思う。地域に個性があるから、みんな違っているから面白いと思える。そんな地域が増えればいいと思う。

 また、人とのコミュニケーションが大切であると思った。地域の人間関係が悪いと、良い町はできないと思う。みんな家族のような人間関係がある地域が良いまちづくりができると思った。

 最後に、地域を活性化させるには地域の素材を活かすことがとても重要であるとともに、幅広い年齢層の人々とのコミュニケーションがとても大切なことだと思った。