「連携」から始まる「食育」と「地域づくり」
たべもの教室“バッタクラブ” 管理栄養士・国際薬膳師 川畑輝子さん
江戸川大学社会学部ライフデザイン学科3年 駄賃場 桃子
● バッタクラブ誕生秘話~始まりは歯科医院~
川畑輝子さんは、旦那さんが歯科医院を開いたことから、歯科助手として働いていた。しかし、「子供に甘いものを与えていないのに虫歯ができる」「食べなければ虫歯ができないのに」といったような単純な考え方の親が多いことを知り、ショックを受け、栄養士としてできることはないかと考えた。食の楽しさ、喜びを感じて欲しいと思った。食べることで元気になることを感じて欲しいと思った。そこで、医局で子供の歯に良いおやつづくりの料理教室を開いた。
また、歯科医院にくる子供をみているうちに、朝ごはんがあごの発達に影響することにも気づいた。栄養士とは関係のない仕事をしていると考えていたことが、実は最も関係の深いものだったのである。
● 歯のつくりと食べるべきもの
人間の歯は、犬歯:切歯:臼歯=1:2:4でできている。犬歯の役割は肉を噛み千切るため、切歯は野菜を小さく切るため、臼歯は穀物をすり潰すためにある。この歯の構造から考えると、食べるべきものが見えてくる。歯から、食べるべきものの割合がわかる。
● お茶とバッタクラブ
お茶を飲む頻度が高い子供は、健康な子供が多いと感じることがあった。カテキンやポリフェノールといった難しいような言葉がある反面、日常茶飯事という言葉もあるくらい、お茶は親しみのあるものだということもわかる。みんなで食事をする際、お茶が登場することが多いことから、お茶は食事を楽しませる役割もあると考えた。お茶を飲むということは、誰かしらと食事をしているのではないか。自分がお茶の役割になりたいと考えた。
バッタクラブという名は、強い歯でバリバリ葉を食べるバッタのように、という気持ちから名づけた。
● バッタクラブの活動
・子供クッキング~何でも手作りしてみよう~
工場で作っているものは何でも作れるのだということを伝えたかった。うどんやカッテージチーズ、マジパン、ウインナーなど、様々なものを作った。チーズは牛乳からできていることを初めて知った女の子がいた。自分でつくり、「え~すごい、おいしいじゃん。」という言葉を聞いたとき、お茶的な役割ができていることを実感した。児童センターや公民館、自宅を利用して行っている。
・パネルシアター、紙芝居
教育現場でも連携をはかっている。幼稚園では、栄養素を列車に見立て、全てが揃わないと走り出さないという仕組みの話だ。小学校では、乳製品ができる仕組みをパネルシアターで伝える。PTAには、早寝早起き朝ごはんを薦めている。
・田植え
普通の田植えだけではなく、その農場で育てた合鴨も一緒に育てて食べる。合鴨を絞める現場も見せる。殺す現場を見せて、食育に悪影響が及んだことは経験からは一度も無い。それは、家族がきちんと何のために殺すのか伝えてコミュニケーションをとっているからだという。どのようにして鶏肉ができているのかを伝えるために行っている。絞める現場を見て、鶏肉を食べなくなった子はいない。
● 残したいこと、伝えたいこと
どうせ自分の体になるものならば、安全で身近にあるものを食べてもらいたい。作っている人を考えて、残さずに食べてもらいたい。これは廃棄問題にも関わる。誰がどうつくり出したものかもわからないものを食べていても、安全だという思い込みがある。本当に安全か、自分の体を守るのは自分である。
● 感想
実家で暮らしていた頃は、祖母が畑をやっていたので、ほとんどその野菜を食べていた。魚も、近くで獲れたものを食べていた。肉は店で買っていたが、一人暮らしをしている今ほど不安を感じなかった。一人暮らしを始め、全てを自分で判断するようになり、食べ物にも気を使うようになった。始めは、祖母や知り合いが作った、獲ったものではない野菜や魚を買うことに抵抗があった。
今回の講演を聞き、何でも揃うようにはなったが、いちいち疑って考えなければならないといった、便利なのかめんどうなのかよくわからない世の中だと感じた。そんな中で自分を守るのは自分で、知識をつけなければならないと感じた。歯の構造が食べるべきものに繋がるということが印象に残り、興味深かった。